夏休みの惰眠を貪る息子を伴って、山形県・寒河江市と山形市内を走ってきた。日本国内が酷暑に晒される中、わざわざ仙台よりも気温が高い山形県内に赴く理由はもちろんある。
このブログの過去エントリーを丁寧に読み返していくと、道の駅「チェリーランドさがえ」が何度か登場することに気がつくだろう。チェリーランドさがえにはトルコに関連した施設や食べ物メニューが揃っていて(姉妹都市か何かなのだろう)、実際にトルコの人が作るケバブサンドが食べられる。息子はこのケバブサンドの大ファンで、よく筆者に「寒河江に行こうぜ、ケバブサンド食おうぜ」と言ってくる。が、「暑いからヤだ」とか「休日は混んでるからヤだ」とか、いろいろ理由をつけて筆者は息子を連れていかなかった。たまたま気が向いたら息子は夏休みだった。明かしてしまえば大した事のない理由だが、ひとりツーリングの行き先など、そんな理由で決まるものだ。
朝9時過ぎに自宅を出発。寒河江までのコースは仙台市内からR48で県境を越え東根市に入る、何の変哲もないもの。
R48
作並温泉を通り抜ける
たまたまこの日、仙台は予想最高気温が30度を下廻るという酷暑の八分休符みたいな日だったが、関山峠トンネルをくぐって山形に入ると、明らかに気温がどんどん上がる。あっという間に32度だ。仙台では窓全開で走れば暑さを我慢できたが、32度ではちょっと…。しかし久しぶりにエアコンロス無しにプン太郎を走らせると、やはり良い。運転のリズムを作りやすい。そして特に2、3速の2,800rpmくらいからのトルク感もりもりもり具合の楽しさと言ったら…。そいつを身体に馴染ませてしまうとその快楽にはもう抗えない。寒河江に着くまでエアコン無しで走ることにする。わはははは。
今回もなるべく未踏破の道路を探して走ってみた。R48を進み天童市へ入り、ローソン天童川原子本郷店のある交差点を北へ曲がる。ひたすら果樹園が続く地帯の、農道と思われる細い一直線の道路を西へ進む。走っているのは軽トラックばかりだし、道路の左右には農作業中の方々がちらほら見える。プン太郎で走るのはちょっと場違いな気がしたが、なるほど山形空港へのショートカットとしては理想的。
山形空港すぐ隣のナイスとんかつ屋「3男坊」まで来ると、あとは手堅くR287とK25でチェリーランドへ。表通りのR112からではなく、川沿いの堤防を走破して(笑)パーキングに乗り込もうとしたその矢先、その表通りの入り口からアウディ R8が入ってくるではないか!!実車を見るのは2度目だ。
ひっくーっ!(低い!の意)想像以上に車高が低いR8を後ろから見ると、「これ、どこに人が乗るんじゃ」という態である。V10モデルでLHD、助手席からは見目麗しい女性がすらりと降りてくるんだから、こりゃ決まりすぎだろ!R8氏と女性は冷房の効いた建物へ。筆者と息子は冷房の無いケバブ売り場へ(泣)。ケバブサンド、おいしいね。
隙あらば辛味スパイスを
増量しようとするトルコの人
うめえ
190ml
喰うもん喰ったらその次だ!!R287で朝日町へ南下。K18で白鷹町、そのまま山形県民の森を抜けて山形市内へ、蕎麦でも喰うか!という算段。ここからはログを取っておいた。
プン太郎の外気温計は34.5度なんてふざけた表示を続ける。残念ながらチェリーランドを出発する時からプン太郎のエアコンはON。あーあ。そんな猛暑の中、屋根開きで走るアルファロメオ スパイダーの後ろに付いた。
夏スキーのメッカ、
月山(がっさん)
尊敬せざるを得ない
このR287は道路左右の眺めも良く、前を走るクルマのペースさえ良ければ三桁国道の癖に侮れない道路だ。しかし途中からK18に入ると、こちらはさらにゴキゲンである。ゆるい上り勾配の片側1車線ワインディング。エアコンロスが恨めしいが、助手席に息子が乗っていることもあって目を三角にするようなペースでは走らないから、ここは良しとしよう。いくつか集落を経由しつつK143に乗り換え、さらに細くなったワインディングで白鷹町へ抜ければ、広がるパノラマに思わずニマニマしてしまう。いつもそうだが、この日も前走車も後続車も対向車もいない。陶然としちゃうね。
白鷹町内で分岐するK17で山形県民の森を通り抜ければ、ほどなく山形市街地だ。目指すは「梅そば」、先日食べられなかったリベンジだ!息子よ!梅そばの定休日を調べろ!!高校入学と同時にゲットしたiPhone8plusでGoogle検索!!「本日定休日だって」ずこー。すかさず目標変更。西蔵王公園の竜山を目指す。R348からだと交差点をふたつ曲がるだけで到着してしまうイージーさに驚いた。
「あんまり暑いからお客さん来ないよ!」とご主人がぼやくとおり、なるほどお客がいない。入れ替わりに高齢のご夫婦が退店すると、店内は筆者と息子だけに。窓は開け放たれており、ひっそりとした座敷席は居心地最高である。読者諸姉諸兄におかれては可能な限り竜山を訪れていただきたいと願う。そうこうするうちに蕎麦が運ばれてきた。
ケバブサンドを食べた後でもツルツル入ってくる逸品。竜山はそば打ちに必要な清涼なる水を求めてこの山の中腹にお店を開いたらしい。蕎麦も出汁もそれを実感できる味である。必要以上に太かったりボキボキいわない、蕎麦に思い入れのない筆者ですら積極的に足を運びたくなる。加えて蝉時雨を聞きながら座敷で蕎麦をすするというロケーション。浮世の憂さもしばし忘れられるというものだ。食べ終ったあと、この座敷で昼寝したら最高だろうなぁと本気で思わずにいられなかった。
竜山に来るといつも思うのだが、ここでお酒を呑んで温泉にでも入ったら極楽だろうなぁ。竜山では日本酒ももちろんおいてある。山形の銘酒「十四代」を推しているようだ。ただ立地条件から言ってクルマで来るお客がほとんどだろうから、酒のアテの種類自体はそこそこだけど、そんなことは瑣末なことだ。竜山でお酒を呑んで蕎麦を食べ、蔵王温泉に戻って風呂に入って寝る。これが西蔵王公園・蔵王温泉コンプリートコースではなかろうか。
そんな夢想をいつか叶えん。しかし今日は笹谷トンネルを抜けて定番コースで自宅まで帰るのみ(泣)。例によって釜房ダム湖畔で定点観測。
数年後に息子が免許を取ってBMW Z3を買ったら(欲しいんだそうだ。4気筒モデルなら中古価格も安いしな)、親子でツーリングに行けるだろうか。