2017.03.27 Monday
続・輸入車は公用車に向いているのか
先日のエントリー「輸入車は公用車に向いているのか」であるが、「プジョーもルノーもフランスじゃバリバリの公用車じゃん!」というご指摘をいくつかいただいた。まったくそのとおりである。筆者の拙い文章のせいで指摘コメントの入力といういらぬお手間をかけてしまった。
例えばこちらの記事に郵便配達車両として活躍しているシトロエン ベルリンゴ・マルチスペースなるクルマの写真が。 「サン・シェリー・ドブラック村 フランスの美しい村を訪ねる旅 NO18」 タイトルもやや曖昧なままエントリーしてしまったが、あのエントリー、筆者が意図したところは「日本に輸入されている自動車を、日本国内で公用車として使っても支障ないのか?」である。基本的に日本とイタリアやフランスとでは気候・環境が異なるはずで、自動車は輸出先の気候・環境に健康寿命が左右されると筆者は考えている※1。 有名な「イタ車は溶ける※2」などはその典型だろうし、家人のシトロエン DS3は触媒エラーが常態化している。家人のケースは実際に毒ガスをまき散らしているというよりは、センサーが過敏なため、警告グセがついてしまっただけだが。実際フランス本国で走っているクルマはどうなのだろうか。筆者は実際にフランスに行ったことはないし、そもそもフランスは国土も広くて気候も多様だろう(日本国内だって気候は充分多様だしな)。フランス車だから多湿に弱いってのはそもそも短絡的思考ではある。 別の視点。そもそも企画・設計・組み立て・管理が日本と異なる文化圏で行われていることも何かしらの遠因かもしれない。筆者が人生初の輸入車であったプジョー 307SW(初代)に7年11万km乗ってつくづく思ったのは、「これは異文化のセオリーに則って創られたクルマだ」ということだった。重要視するポイント、もしくは切り捨てるポイントが明らかに自分の知っている国産車とは違っていた。 しかし理由はどうあれ、プジョー/シトロエンやアルファロメオの製品に、特有のマイナートラブルが発生しやすいことは体感として事実だ。具体的なトラブルの内容や頻度について統計を取ったことはないが、クライメートコントロールパネルのバックイルミネーションがあっさり切れるとか、パワーウィンドウが降りたまま戻らないとか、国産車では絶無というわけではないが滅多に発生しないような軽微なトラブルが、イタリア車やフランス車では割と普通に発生する。ユーザーや民間のファクトリー、ディーラーの担当者が「フランス車(イタ車)あるあるですねー」というあれだ。 307SWに乗り始めた当初は面食らったが、すぐに「この走りがあるんだから細かいところはまぁいいか」となった。世の多くのクルマヘンタイも、根っこのところではこの異文化との触れ合いを楽しんでいる部分はあると思う。筆者がMiToに乗り続ける理由の幾分かは「異文化と触れ合う楽しみ」である。 積極的にそれを楽しめる人はそれで万歳だ。だが別に乗りたくもない207やDS3に乗ることになった復旧・復興作業の方々の中には、こんな使いにくい、あるいは脆弱なクルマよこされても困るよ!と思う人もいるのではなかろうか。趣味で乗るクルマは納得できるポイントがひとつあれば愛せるが、業務で乗るクルマはひたすら道具として安定した動作を求められるのだから。 2010年前後以降のイタリア車・フランス車は壊れなくなったとは言え、国産車と同じ感覚で維持することは難しい。それは金銭的支出に限ったことではなく、9の愛すべき点と引き換えに1の不具合を飲み込む、言わば「接し方」の領域での難しさだ。些細なトラブルを愛で塗りつぶせないと、単に壊れる信頼性の低いクルマという評価につながるかもしれない。 プジョー/シトロエン車が公用車として働くフランス本国でも細かいトラブルが皆無というわけでは多分ないだろう。でも郵便配達したり事件現場に駆けつけたりするわけだ、日々。と言うことはフランス人のクルマとの接し方、維持の心構えそのものが「異文化だから」なのかもしれない(大笑)。 ※1自動車は輸出先の気候・環境に健康寿命が左右される 以前K店長と話したことがある。「なんでアルファって色味が少ないの?」「実は本国ではもっと塗装色のバリエーションがある。赤とか黒とかのはっきりした色ではない、見る時間帯や角度によって微妙な変化をする凝った色もあるのだけど、本国とは紫外線の強さが圧倒的に違うので、日本に持ってくるとぜんぜん良くないってことが多い」。ジュリエッタやジュリアの本国カラーはそんなに多彩ではないようだが、塗装の発色ひとつとってもこんな風に違うのだから、構成している個々の部品の強度も影響を受けるんじゃないかと推測するものなり。 ※2イタ車は溶ける イタリア車(アルファロメオ、フィアットなどなど)の内装に使われる樹脂類は、日本国内で数年も使っていると表面が溶けてネバネバする。筆者のMiToはそんなことなくて、イタ車も変わったなぁと思っていたら、数年前からやっぱりネバネバし始めた。とほほ。アルコールで表面を拭き取るとかすると改善するらしい。筆者は放置。 |