13万kmで3回目の車検を終えた我がMiTo。その際摩耗していた前後のブレーキ廻りを全交換。ローターもパッドも
ディクセルのもので統一してみた。換装後の走行距離が300kmを越え、ようやくアタリがついてきた感がある。ディクセルの最廉価製品なので、「純正以外だと、何があるかな?」の筆頭に検討されることも多かろう。現段階でのインプレッションをまとめてみたい。
2016年7月現在の筆者のMiToのブレーキ関連のパーツは以下のとおり。
DIXCEL ディスクローター PD type 2514997
DIXCEL ディスクローター PD type 2554970
DIXCEL ブレーキパッド Premiumタイプ 2514687(フロント)
DIXCEL ブレーキパッド Premiumタイプ 2753714(リア)
導入のメリット=低ダスト
ディクセル導入の最大のメリットはこれ。本当に汚れない。これまでもパッドだけはディクセルを使ったことはあるからそのことはよくわかっていたが、今回はローターも同時に、しかも新品に全交換。徹底して低ダスト傾向である。
導入後のデメリット=やや頼りない制動力のカーブ
直線的な効き具合。一見すると問題ないように思えるが、実は本当に速度を落したい制動中期が感覚的に物足りない。あとで詳述したい。
筆者の輸入車歴はプジョー 307SW(2002〜2009年)が最初なのだが、ファミリーユースの307SWの、なりに似合わぬブレーキの強力さに驚いた。思ったとおりに止まれる良いブレーキであった。と同時にブレーキダストの多さにも同じく驚いた。数日も走れば煤けて1週間もすると真っ黒である。以前から欧州車のブレーキダストの多さについては耳にしていたが、ここまでとは。
基本的にMiToもそれは変わらなかった。前輪だけがどんどん煤けていく(笑)。307SW時代は純正主義だったが、MiToに乗るようになってから一転して社外品の積極的登用に目覚め、ブレーキパッドは純正以外ではディクセルプレミアムとEBCグリーン(ベーシックグレード)の2種類をこれまでに試してみた。もっともEBCはフィアットグループにOEM供給しているようなので、確とはわからないが、MiToの純正ブレーキパッドがEBCである可能性も高い。そう考えると純正かディクセルプレミアムか、の2種類しか知らないことになる…。
一方ローターはどうかというと、まず純正ローターを9万km酷使し(途中研磨した)、5年目車検で交換するまで立派に働いてくれた。その後ローターをディクセルのものに換え、EBCグリーンとの組み合わせで2年間使っていたが、7年目車検でローターの交換を勧められたということは、ディクセルPD Typeローターの寿命は存外に短いと言わざるを得ない。またこの組み合わせではダストは(純正ペアほどではないが)盛大に出た。ということは、低ダスト化の主役はパッドであり、ローターは脇役だと言えよう。
以上のような経験から、筆者は
MiToのブレーキについては純正同士の組み合わせが最適であると結論付けたい。低ダストと感覚にリニアな制動力のどっちを取るのかという迷いは当然あるが、筆者は後者を取りたい。なぜかというと、ディクセルの特徴であろう「直線的な効き」をデメリットと表記しているように、このチューニングに少々疑問があるからだ。
さて直線的なブレーキの効き具合は善なのか?という問題。普段意識せずとも、ドライバーの感覚にリニアなブレーキの効き具合とは実は直線的な制動カーブではないと思う。ブレーキペダルを踏み始めてからクルマが停止するまで、制動力のかかり方には三つの段階があるのではないか。
1.初期
Bペダルを踏みブレーキが効き始める瞬間。今回アタリが付くまでは踏んだ瞬間の効き具合が唐突で、気を使った。
2.中期
踏み増して行くに連れて制動力が強まる時間。ドライバーは初期段階で制動を実感できると必要以上には踏み増さない。なので、この時間の制動力は「(感覚的には)踏みこまなくても制動力が増えて」いないと、感覚的には物足りない。
3.停止
速度が落ちるに連れてBペダルへの踏力を弱めていく。停止の瞬間が踏力最弱の瞬間である。この時間帯の制動力は逆に直線的じゃないと、必要以上の制動力を感じることになるし、結果的に「カックンブレーキ」になりがち。
今回ローターとパッドをディクセルに統一した結果、違和感を感じるのは2.中期の効き方である。この時間帯の効き方がやけに直線的で、感覚的には「どんどん踏み増していかないと効力が実感できない」のである。これを別の言い方で表すと「踏み始めと停止時には制動力をコントロールしている実感があるが、その中間が曖昧で無表情」である。アタリがついてきて、1.2.3.のつながりが滑らかになり違和感は薄れつつあるが、「もう命まかせます!」というほど信頼できる気もしない。
価格は魅力的だし低ダストを非難するつもりも毛頭ない。だが信じられる制動力あってこその加速でありコーナリングなので、よく考えてみたい。