最近何かと福島県二本松市にご縁がある家人。夫婦の休みが一致した春のある日、二本松駅前のうまいイタリア料理屋のランチを食べるプランを実行に移してみた。
先日三春を訪ねて走った福島県中通りの国道・県道を、再び走破するものなり(福島県は東西に広いので、太平洋側を「浜通り」、内陸を「中通り」、山側を「会津」と呼称を三つに分けている)。
当日朝に念のため調べてみたら、件のイタリア料理店は定休日だった!!しかし二本松市街地の風情は筆者も大好物であり、幸い2014年11月の福島オフで「立美」という素敵レストランも自家薬籠中のものとした。また二本松から土湯峠(の道の駅つちゆ)に抜けるR459を初走破すること、土湯峠からR115を福島市内へ降りてきてジェラート屋Honey Beeでジェラートを食べること、
先日初めて走って感銘を受けた伊達市内から宮城県七ヶ宿へ抜けるK46を再び走ること、これら全部をひっくるめて楽しみだったので、開き直って初志貫徹、一路二本松を目指してみた。まずは宮城県白石市から丸森〜福島県保原方面へ抜ける。
R286で仙台市太白区生出を目指す
仙台市太白区坪沼
東北自動車道の脇を並走して村田町へ
K25脇の農道にて。蔵王を望む
Oh!阿武隈川!R349で梁川へ
さすがに葉桜ばかりだが、春真っ只中の宮城県南〜福島北部の緑は本当に美しい。きっと日々濃くなっている真っ最中なのだろう。丸森から阿武隈川へぶつかり、R349を伊達市梁川町へ抜けひたすら南下する。道々あまり見た事のない濃いピンクの花を付けた木々があちこちに密生している。初めはわからなかったがどうやら桃の花と思い当たった。昨年買った福島桃が極上に美味かったことが思い出される。福島は桃の一大産地なのである。なるほど。桃の花ってこんなにきれいなのか。
桃畑
これはしだれ桜と芝桜
R349をさらに南下してR114もまたぎ、針道なる地名のあたりで交差するK62へ右折する。このK62もまるで昭和のまま時間が止まったような風情の素敵ロード。天気も上々、のんびりペースで二本松へ。
安達ヶ原ふるさと村、レストラン立美と懐かしい(?)ポイントを通り抜ける。市街地で琴線に触れるお店を見つけられなかったら立美が保険である。とりあえず霞ヶ城方面へ進み、とある交差点で赤信号待ちをしていたら、その交差点の角に素敵な和菓子屋を発見。発作的に入店、おみやげを購入。
丹波屋菓子店が面する根崎交差点より安達太良山を望む。
このまままっすぐ進めば二本松城
改めてよさげな飲食店を探しつつ駅前方面に進む。しかしこの日、二本松市街地の飲食店は定休日のお店が多く「ここ!」というお店が見つからぬ。以前家人と入ったそば屋「やなぎや」へ入店してみたものの、満席だという。市街地を徒歩でぶらぶらしてみたかったので、それはそれで好都合。席を取ってもらうために名前を告げて、近所の和菓子屋へ羊羹を買いに行く。
羊羹を買うならここ!の玉嶋屋(福島県二本松市本町1丁目88)
和菓子のワンダーランド状態
画像左端の桃玉羊羹が超絶美味だった…(悶絶)!
ここのお菓子は何を食べてもおいしい。店員の対応も過不足ない上品なもので、買い物するのが楽しい。何よりも店構え、店内の柱一本に至るまで歴史を感じさせる銘店である。本当は練り切りなども買いたかったのだが、峠道ばかりの帰路を考慮して断念。二本松に二泊くらいしたいものだ。
満を持してやなぎやに戻ると、今度はスムースに着席できた。ここんちの蕎麦は白っぽい更科系の手打ちで、蕎麦食いじゃない筆者でもするする食べられる。例によってカツ丼とのセットを頼んだのだが、福島名物ソースカツ丼ではなく、卵でとじたいわゆる普通のカツ丼(煮込みカツ丼と称して区別している)とのセットにした。これが大当たり。
煮込みカツ丼とそばセット1,110円
家人が頼んだ味付けごはんとそばのセット。
ご飯といっしょに炊かれたゴボウが美味
筆者たちの隣の席では壮年のお坊さんふたりと年配の女性ひとりが酒盛りしており、大変うらやましい。酔って声が大きくなっている(そもそもお坊さんは声が大きい人が多い)。会話の中身が駄々漏れなのだが、それがいちいち可笑しい。曰く「最近じゃカミサンに運転を止められて。運転しないのが一番安全運転だってのよ。だから去年の6月にクルマを買ったけど、まだ3,000kmしか走ってないんだよぉ、これが。」「こんなオレにもさ、お金貸して欲しいって人がいんの。でもさ、てーちょ〜っにお断りしたのさ、うん。でね、貸してほしいって額から少しだけ少ない額をね、渡したの!使ってって。ねぇ?その方がいいよねぇ?その後ずぅっと返してもらえんのかなぁ、ダメなのかなぁって考え続けるよりもさ、その方がいいよねぇ?」「一生に一度はさ、オープンカーに乗りたいと思ってんの!それもさ、赤いのね。赤いオープンカー。」などなど。そのお坊さんたちが店を出ると店内は静寂に包まれ、奥のテーブルでひとりで食事をしていた女性客がお店の人に言った。「嵐が過ぎ去ったようねえ」。
以前食べたソースカツ重よりも煮込みカツ丼は美味しかった。大満足である。それでもまだ13:00過ぎ。さぁ次はR459を土湯峠まで上がるぜ。二本松市街地からR459への交差点は意外とすぐに現れて、初めて走るR459二本松〜土湯間はこちらも風情溢れる里山を縫う美麗な国道だった。特に安達太良山が迫る牧場地帯はまるでアルプスか!?と言うくらい美しい(アルプスには行った事ないけど)。
左奥の雪を戴いた霊峰が安達太良山
しかも岳温泉など、温泉好きには素通りが難しい地帯でもある。筆者は岳温泉街にあったソースカツ丼のお店「成駒」が気になって気になって。満腹だからさすがに立ち寄らなかったが、次は絶対ここにも来るつもりである。
道の駅つちゆ
土湯峠は以外と近かった。道の駅つちゆから今まで見下ろしていた街並みは、あれは二本松だったのか!という驚き。これまではひたすらR115の先にある福島市内ばかりに目が行っていた。二本松市内を見下ろしながら、二本松の丹波菓子店で買ってきた茶饅頭を食べる。風がやや強いが天気が良く最高である。すぐにR115を福島市内へ向かい、Honey Beeへ。ジェラートを食べる。
honey beeとアンポ柿のダブル
フォレストベリーのシングル
相変わらず美味。一寝入りしたいところだが、もう少し走って帰宅時間の目処を立てたいところ。フルーツライン(K5)と並走する一般道をちんたら走り、飯坂温泉に達する。
飯坂温泉で「温泉街旅情溢れる写真」を撮るのはちと難しい
R4に合流すると福島県国見まで北上、R456へ左折し、七ヶ宿まで再び峠道をぐにゃぐにゃ登る。前回走った時は曇り空の下、怖くてスルーした萬蔵稲荷神社に立ち寄ってみる。
やっぱり晴れてると気持ちよい。
K46から国見方面を望む
ずううううぅぅぅぅぅっと鳥居が続く。コワイ(笑)
人気の無い峠道に真っ赤な鳥居が連なる様は晴れた午後でもやはりコワイ。お社まで辿り着けず早々に走り出す。標高が高い峠道という事もあり、このあたりは桜もぎりぎり満開状態である。このK46を宮城県側に下っていった道沿いに上戸沢宿、下戸沢宿の看板が出ており、R113沿いの宿場町ばかり走り抜けてきた筆者は「七ヶ宿って言うけど、7つも無いんじゃね?」と思っていたが、なるほど、福島へ抜ける道にも宿場があったのか!と積年の謎が氷解。下戸沢宿には茅葺きの民家もまだ健在。秘湯入門編に良いのではなかろうか。
上戸沢宿あたりは桜が満開
七ヶ宿ダム事務所入り口脇も桜が満開。散り始め
七ヶ宿からはおなじみK51で村田町方面へ。途中側溝に脱輪している老夫婦のホンダ フィットに声をかけつつ(レスキューを呼んでいるとのことで放ってきたが、本当に大丈夫だったんだろうか。今さら心配になってきた)、結局仮眠も取らずに一路自宅へ。
K51、長老湖付近から不忘山を望む。
画家菅野廉が繰り返しモチーフにした山
風は強かったが春らしい景色に大満足の1日。今年のツーリングは未だ負け知らず!二本松〜土湯峠のR459に乾杯!!
約8時間30分/289km。
さすがに疲れた(笑)