ブレーキ周りの改造のために入庫したMiToの代車はプジョー 207GTiだった。昨年12月にも一度お借りしたSマネージャーの私物なのだが、何と言うか、いいぜぇ〜。MiToを高校生とすれば207GTiは社会人2年生くらいの違いがある。全体的に成熟している感触があるのだ。それは主に足さばきのマナーに由来する印象だと思われるが、インテリアの作り込みなどもやっぱり数段レベルが上。現状で総走行距離が78,000kmオーバーしているからダンパー類は本来の性能ではないと想像できるが、それでも「成熟」なんて言葉を使いたくなる味だ。
MiToと比較して気が付いた点を列挙していくと
<やや目線が高い>
ヒップポイントがやや高いので、コーナリング時に身体にかかる負荷が違う。もうちょっと低くても良い。207というクルマの出自を考えると仕方ない部分でもあるが。
<エンジンが気持ちイイ>
はっきり言ってターボ付きということに気が付かなかった。今この文章を打ちながらエンジンの感触を思い出してみているが、やっぱりターボの存在を思い出せない。MiToの1.4L+ターボと比べてたった200ccの違いなのに、この余裕はなんなんだ。ま、これはノンターボながらほぼ同じエンジンのシトロエン DS3に時々乗っても思うことでもある。
webCGのインプレッション記事によりとオーバーブーストがかかる条件があるらしい。曰く
・エンジンが温まっている(90度以上)
・ギアが3/4/5速のいずれかに入っている
・フルスロットル
・エンジン回転数が1600-4500rpm
だそうで、これらが重なるとブーストするらしい。通常の交通状況ではまず該当しないだろう。今日はワインディングに連れ出してみたのだが、「フルスロットル」という条件だけは満たせなかった。
<シートが素晴しい>
MiToのファブリックシートも大いに気に入っているが、207GTiのバケットシートはさらに素晴しい。ホールド感と居心地が非常に高いレベルで融合されていて、前述のヒップポイントの高さを帳消しにしてくれる。個人的には肩の部分のホールドがあるのがとても嬉しい。無理なくリラックスしているがちゃんと必要な緊張を保てるシートだと思う。MiToのシートもいずれもう少しホールド性の高いものに変えても良いかもな、と思わせるだけの味がある。
面白いことにMiToと車重がほとんど変わらないのに、207GTiは重厚な印象がある。コーナリングだけでなく、直線で加速する時ですらそれを感じる。MiTo比フロントが重いだろうからそれが原因ではないかと思うが、「鼻が重い」ということではなく「安心感につながる重厚さ」と言えば良いか。この重厚さが結果的にMiToよりも成熟しているような印象に結実していると思う。
5M/Tもエンジンの美味しいところをきちんと味わえるように調律されている印象。高速道路を走ればまた印象は違うだろうけれど(前述の記事によれば100km/hで3,000rpm弱だそう。Sマネージャーも以前「6速あると高速が楽なんですけどねぇ」的な発言をされていた)、これまた日常遣いでは5速で充分と思えた。
O.ZのイカすホイールにマランゴーニMythos。
当然17インチ。
Sマネージャーはマランゴーニ先輩でもある
全体的に見て、プジョー 207GTiはプジョーがこれまで培ってきた伝統(と呼ばれる買い手の妄想)と技術でコツコツとチューンナップした素性の良いクルマだと思える。一方MiToはやや邪(よこしま)なものが感じられる。足周りのチューニングをもっと煮詰めてからリリースして欲しかったし、ハク付けのための「d.n.a.」システムなど積まず、初めから「このクルマはこういうキャラ!」と決定打的な、煮詰めきったひとつの乗り味に統一して出して欲しかった。まぁぶっちゃけQVは言うに及ばず、CompetizioneもSprintも1.4Tに比べれば随分大人な乗り味で、つまりそういう煮詰めをある程度行っているとは思うが…。てかロードテストをユーザーにやらせんな!という話だが(笑)。
スロットルコントローラーやスプリング交換で愛着持てる乗り味にチューニングできたが、78,000kmを超えて走っている207GTiと比較してすら粗い感触を抱いてしまうMiTo1.4T。あくまで個人的な話だが、結局盾のエンブレムと個性的なエクステリア、そして「レースで活躍した過去」に対してお金を払っているのか?と自問してしまうのであった。