2010.01.26 Tuesday
続・顧問によるMiToアナライズ
MiToとはどういうクルマなのか。以前エントリーした「いろんな人のMiTo評が気になる」という駄文も、詰まるところ自分なりにMiToを理解する手助けとして、第三者の感性で捉えたMiTo像を知りたいという欲求に他ならない。などと大げさに書いたが、「オレはすごくいいクルマだと思うけど、ホントのところはどうなの?」という隣の家の芝生が青く見えたらヤだな的なサモシイ話なのである。
当「クルマで行きます」技術顧問T君が知人のMiToを乗り回しての感想を送ってきてくれた。顧問本人の承諾を得た上で、今回のこのログで一部引用しつつMiToとはどういうクルマなのかを探求してみたい。 顧問が先日運転したのは16インチのスタッドレスタイヤを履いた個体。その乗り味を確認した上で、顧問はまず日本版MiToの乗り味が硬いと言う。 細めのタイヤ&深めのロールが伊仏車の真骨頂と捉えるならば、155以降の日本向けインチアップ仕様はドレスアップに過ぎず乗り味に関してはハッキリ損なわれていたと思います。 ただ、159以降〜ミトも含めGMコントロール期のアルファは足まわりが頑丈になりインチアップが機能的に意味を持つレベルになったような気がします。服部さんに乗せて頂いた17インチのドッシリ感なんかはちょっとゲルマンっぽいとも言えますが(オペルコルサの足まわりなんで当たり前ですけど)、感傷的に「アルファっぽくない」というのは的を射てないと思います。ボディ剛性が上がり、サス取り付け剛性が上がり…、という技術的進歩や道路などインフラ整備&改良が進む以上、車も変わっていきますからね。時系列比較はナンセンスです。 ボディ剛性が高いという印象は私も同感であり、その印象がドイツ車(=ゲルマン)然としているという言に異論はない。実を言うと私が一番こだわっているのはここなのだ。オレは本当にイタリア車を買ったのか?と言う疑問である。顧問の考察はこの疑問に対しての考え方をかなり明確に導いてくれる。例えばこうだ。 商品の位置づけとしては「世界が望むイタリアンコンパクト」かと(笑)。イタリアらしいかは別として、欧州圏以外の人たちが描くイタリア車のツボはしっかり押さえてると思いますょ。カンヌではなくハリウッド版アルファ、みたいな(笑)。 映画「SAYURI」みたいなもんか(笑)。前述の技術的進歩とスポーツカーメーカーというイメージが合体し、イタリアンデザインでくるんだものがアルファロメオということに今後なっていくのかもしれない。となるとイメージやプロダクトの方向性の端境期の商品だとは言え、MiToはやっぱりイタリア車だ、ということになろう。 さらに顧問はMiToがスポーツカーかどうかということにも触れている。 長周期のうねりを60〜70kmで流しながら越えていく挙動なんかは「アルファだねぇ」と唸ることしきり。GTなのねー、と認識した次第。 GTと思わせる要素は他にもあって、トルクたっぷりのターボエンジンもその一助です。アルファはそもそも過給エンジンが不得意で(戦前の8C2300やティーポ33系ユニット除く)、やはりNAのイメージが強いです。アルファより車格が下の小型車(1L前後)には昔から過給ユニット積んだホットグレードがあったりしますが(イタリアの年齢毎に設定される排気量規制のためだと思われます)、いずれにせよMTを駆使してカッ飛ばすイメージでしょう。というかそうしないとトルク細すぎて走らない…。(中略) で、ミトの静かでスムースで回さずとも十分トルクが得られるターボエンジンは頻繁なシフトチェンジをドライバーに強いないという意味でスポーツよりはGTかなぁ、と。2→4→6速とかで走れますし。カリカリに走ることも勿論できるのですが、ちょっと気を抜いて流してる時のほうが気持ち良いかも知れません。 これも肌で納得できる感がある。以前も書いたが慣らし期間が終わり、エンジンが抵抗無くよく回るようになってきてからは、過剰な過給による「ちょっとアンタ、そんなにがんばらなくても」的なダイナミックモードよりも、4〜5,000回転くらいまで引っ張って走るノーマルモードの方が今は楽しい。で、2〜3速でアップダウンのあるコーナーをクリアしていく楽しみもあるが、直線をリラックスして走る楽しみもある。どっちが気持ちいいかと問われると、それは日々順位が入れ替わるので即答できない。 デザインに関しては現行アルファのベストでしょう。デザインだけでも積極的に選ぶ理由になりましょう。内外ともに良くできてると思います。 最終的に「アルファか?」と聞かれれば紛れもなくアルファでしょう。むしろプラットフォームやパーツ共用の制約が大きい中でよくここまでと思わせる仕上がりです。 そうなのだ。共用パーツが多いのに誰が見てもアルファだし、例えばグランデプントとの差異化もきちんとできていると思う。巧みだなぁと思わずにいられない。ちなみにグランデプント乗りの顧問、 ミトがイタリア料理店の人気看板メニューだとすれば、グラプンはその店の賄い飯ですかね(笑)。 とまとめている。思わず山田君に座布団持ってきてくれと叫びそうになる。 MiToはコーナリングがとても楽しい。さらに直線の安楽加減も嬉しい。その安楽走行中に、その気になればいつでも望むレベルの加速を得られるということも、逆説的にその安楽加減を味わうことを助けている。これらのことが顧問の考察でかなり論理的にわかってきたように思う。多謝。 |