昨夜、とあるライヴのリハーサルでスタジオ入りしたのだけれども。終わって駐車場に戻るとなんと自分のMiToの隣に"Alfa Spider 2.0TS 16V"が。これは以前このログにも登場した、ドラマーにしてグランデプント乗りのT君のもの。実はMiToとグランデプントの2ショットを撮っておくか、などとデジカメを持参していたのだがこれは意表をつかれた。遅れて戻ってきたT君と立ち話。
私「これ走行距離何万?」
T君「11年落ちで5万くらいですね」
私「おお!食べごろじゃないですか!」
もともとはT君の父君のクルマであったが、最近自分のものにしたという。ちなみにこの個体、少し前に大金を投じて足回りのオーバーホールを実施したことを私は知っている。
ということで目をキラキラさせていたら運転させてくれるという。乗らいでか!
T君に助手席に乗ってもらい、まずは幌をかけたままで出発。基本的に人様のシートセッティングなどはいじらないで乗せてもらうことにしているのだが、自分にとっては随分「寝た」感じでの着座。しかしヘッドルームが全然無いので(笑)、むしろこうしたくなる。随分前にコクピットに座らせてもらった時よりもダッシュボードは適正な高さに感じる(以前は「そびえ立ってるな〜」と思った)。ペダル類が軒並み重い(笑)。クラッチも(すぐに慣れたが)重い。多分今までの人生で運転したクルマのどれよりも重い。へ〜。インパネは現在のラインナップ、159やブレラ、もちろん現行スパイダーにも通じる意匠。メーター類はさすがに90年代の匂いが漂う(スピードもタコも意外と針の動きは普通。もっと敏感に動くのかと思っていた)。センターコンソールに水温、アナログ時計、燃料計の三連小メーターがあるのがとにかくかっこいいと思う訳です。
T君曰く「色々な意味でダイレクト感があるクルマですよ」とのこと。笑いながら「轍があったら轍のとおりに進みますし」とも。運転してみると操作系がMiToとは比べ物にならないくらい重い。手応えがあるとも言える。ただ路面とタイヤの関係がいまひとつスタリングから伝わってこないような…。
「4,000回転から上の音はやっぱりいいですよ、ツインスパーク」とT君。連休中の深夜の若林区卸町界隈である。クルマなんか走っちゃいねぇ。「でも今日から秋の交通安全運動ですね」とも。なんだよ、怖ぇ〜な。こないだの自損事故といい、もう運転のことでケチがつくのはヤだよ。まぁスピードを出さなくてもエンジンの回転数を上げる方法はあるわけで。
というかMiTo比、2.0のツインスパークエンジンは「回してやるぞ!」と自分にスイッチを入れないと回転数など大して上がらない。やはり余裕が感じられるのである。とは言え何となくクルマとの関係に何か薄皮一枚挟まっているような感覚がどうしても…。と思っていたら「幌外してみます?全然印象が違いますよ」とのこと。外しましょう外しましょう。コンビニの駐車場に入れて外してみる。電動で開閉できるのだが故障しているとのこと(笑)。手動で下ろしてもらう。
さて再び走り出す。なんと!これがもう全然印象が違うのである。路面のショックや変な横Gなどが全部素敵にいなされてしまう。幌をかけていた時に感じたこれらのもやもやしたネガティヴな要素が、幌を下ろすことでそのまま頭上に蒸発していくかのようだ。なんてこと無い交差点での右左折がきっちり自分の手元でダイレクトにコントロールできている実感がふつふつと。いやぁこれは中毒になる。「結局この(幌を下ろした)状態で設計されているんでしょうね。いい具合にボディがねじれてくれて全体的にすごく良くなるんです」とT君。うわ〜。この頃には重いペダルやステアリングにも慣れてしまい、ひたすら楽しい。
あ、ちなみに4,000回転以上のTSの音、良かったです。MiToのエンジンとは違う(笑)。T君曰く「3.0 V6のこのスパイダーも運転してみたことがあるんですけど、そっちは完全にエンジンが勝っちゃってて。シャシーに。2.0の方がいろんな意味で卑猥度が高いです(笑)」。そうかそうか。卑猥なのか。きっと職業評論家なら「官能的」などと書くのだろう。でももっと野蛮な感じもするな〜。官能と卑猥の差はどこから感じるのだろうか…。などと一瞬考えたが、なんかもうどうでもいい(笑)。いろいろ欠点もあるのだろうけど、このダイレクトに機械を操作している感じがたまりません。あちこち行ってみたいな〜。
基本155の流れを汲んでいるらしく、今ならまだ部品の供給もじゃぶじゃぶあるらしい。「じゃあ、手放す時は声かけますんで(笑)」とT君は言ってくれたが、やっぱりガレージ保管じゃないと不安だよ、幌は(雨漏りも以前あったとのことだが、対策後は落ち着いているという…)。でも想像するとぽわわわわ〜んとなってしまうよ。マツダのロードスターの方がきっといろいろ洗練されていたり快適だったりするのだろうけど。
MiToに乗り換えたらあらゆる感覚がふにゃっと柔らかくてとまどう。別れたT君がとなりの車線で信号待ち。窓を開けて「クラッチが軽くて〜(笑)!」と声をかけたら「でもこのクルマで2時間も走ったらクタクタになりますよ(笑)」と返ってきた。それもそうかもな(笑)。