2009.06.30 Tuesday
私は、だからMiToを買いました
7年間乗ったPeugeot307SWから乗り換えるクルマがなぜAlfaRomeoMiToになったのか。結論から言うとマニュアルトランスミッションと1.4リッターとは思えぬ低回転から出てくるパワー、そして締まったボディとその乗り心地である。
2008年後半あたりから、かなり積極的に試乗した約一年であった。 まず当然のことながら同じPeugeotの207GT、308Premiumには発表と同時に試乗してみた。このウェブログでも何度か書いたが、307SWと比べ当時は「乗り心地が硬くなった」と感じた。今思えばそれはむしろねじれ剛性が高まってコーナーでの接地感が増したり、サスペンションセッティングの結果だと思う。307SWは良く言えば柔らかく衝撃を逃がすタイプのクルマだったから、同じPeugeot車という先入観もあり、「オレのより硬い!」と思ったものと思われる。細かいことを言えば207は206の後継としては単に大き過ぎ、締まってはいるが軽快感が無いと感じたし、308は取り立てて文句は無いものの、プレミアム路線にふられたおかげで価格が一気に高くなってしまったことが不満だった。 Peugeotの台所事情などを考慮せずにもの申せば、207はあくまで206を継ぐモデルとしてもう一回り小さく設計すべきだと思うし(206+の売れ行きはどうなのだろうか。あれでいいじゃん!あれで)、308は、少なくとも日本では決してプレミアムブランドとしては認識されないと思う。乗り味は大変良いので残念。とは言え両車を購入候補から外したのは、結局のところ2台続けてPeugeotに乗るよりも、もっと他の輸入車の乗り味を体験したいと思ったからだ。 まるでドイツ車のようになってしまった207、308に試乗し、こういうことならVWとかでもいいのか?とも思った。もちろん。以前ほんのちょっとだけPOLOを運転したことがありめちゃめちゃ感動した記憶がある。それにちょうどGOLF Vがモデル末期だったこともあり、買って損することもあるまいとは思った。ただ自分にとってドイツブランドは「究極のクルマ選び」「人生アガリの時に乗るクルマ」というイメージがあったのも事実。GOLFが良いクルマだと言う評判にケチをつけるつもりは毛頭無いが、あまりにありきたりすぎるチョイスではなかろうか。 そんな折にVW Sciroccoのニュースを見た。とにかく背が低くてワイドトレッドが素敵!しかもきっと頑丈!ということで、一目惚れした男子中学生のごとくSciroccoのことばかり考えるようになった。 Scirocco本体には結局試乗はできなかったが、1.4のJETTAと2.0のGOLF VARIANTに試乗してみてしみじみ思った。価格的に手が届くVW車は、どれもこれも優等生過ぎる。クルマの出来はしっかりしている。運転していると、ネジの一本一本から精度を高めて丁寧に組み上げられたものなのだとビンビン感じる。だがその感じが常に運転手に対して「これだけちゃんと作っているんだからちゃんと運転しろよ!」と語りかけてくるように思えたのだ。 そんな毎回毎回ピシッと運転してばかりもいられないのが人生だ。たまにはこちらのだらけたムードも許容してほしい。それでもSciroccoが本体価格330万円くらいなら決心したかもしれないが、あの価格はもう自分にどうこうできるレベルではない。 AlfaRomeoMiToの場合ブランドネームはこれ以上無いものだし、あちこちの力が抜けていてとてもフレンドリーに思えた。個人的な趣向の差はあろうが、ダッシュボードの造形ひとつとってもSciroccoが「うまいこと部品使い回して整然と使いやすく仕上げました」的優等生な造形なのに対して、MiToは「いえ〜い、かっこいいだろ?機械っぽくてさ。ごちゃごちゃしてる?な〜に言ってんのぉ!これくらいのがかっこいいじゃ〜ん」的な、脳天気かつカッコつけ感が満ちあふれており、そこがたまらなく魅力的に思えた。 おまけにマニュアルトランスミッションである。(日本では)悪評高いPeugeot307SWのA/Tにもマニュアルモードはあったが、車重と加速感の関係からか、1〜2速で引っ張って加速するのは単にガソリンを道路にぶちまけつつ走っているように錯覚するものだった。MiToの1.4ターボエンジンはその点ゴキゲンに回転し身体をシートに押さえつけてくる。その感覚だって307SWから乗り換えればnモードで充分味わえるのだ。しかも燃費は倍くらい良い。 と、長々と書き連ねてきたが、トドノツマリこういうことではないか?「それにしても輸入車が好きな人間にとって、アルファロメオのオーナーであるという事実はなんと興奮する事実であることか!」自宅駐車スペースに赤いMiToが停まっているのを見ると、血流が少々早くなる気すらする。 ※追記 もちろん他にもかなり逡巡してMiToに絞り込んだ。逡巡の経緯はこちらもご参照されたい。 |