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多くの方にご覧いただき、かつ現在に至るまでお付き合いのある貴重なご縁をいただきました。ありがとうございました。
当ブログのコメント欄常連にして「クルマで行きます」関東支部員、Profumo姐さんから譲り受けた1台。病気で投与されていた薬の副作用で頭が狂っていたとは言え、筆者としては大胆な買い物である。薬以外の理由には、実は筆者の息子の存在も重要である。
なぜなら当家のロードスターは息子の持ち物だからである。便宜上名義は筆者で、任意保険は家人が負担しているが、ローンは彼が支払っている。BMW Z3(の中古車)を買うべくバイトで金を稼いでいた息子としても、ゼロから優良物件を探すZ3よりも、瓢箪から駒的な超美麗NCロードスターオーナーになれるのは望外の喜びだったようだ。唯一の問題はこのエントリーを上げている現在も彼はまだ免許が取れておらず(爆笑)、我が家の玄関前に停まっているロドっちを指をくわえて見ていることしかできないということだ(教習車トヨタ コンフォートに散々乗って帰宅した夜、自宅に入る前にロドっちの運転席に座ってひたすらシフトチェンジ動作を楽しんだらしい)。まぁあとは免許センターで学科試験を受けるだけなので、免許取得は時間の問題だと信じたい。ロドっちは2021年春に、彼の就職と共に仙台を離れる予定である。
ロードスターというクルマが如何にストイックで如何に楽しいかということは、当ブログでは様々に書いてきたつもりだが、思い返すに決定的なことは書いていないように思えてきた。もっともあのクルマはわかる人には多くを語る必要がないし、わからない人は乗ってもらう、あるいは運転してもらうしかない。それでも言葉だけでロードスターを説明するなら、「蒸留水のようなクルマ」であろうか。ロードスターには「走ること以外の機能」がほとんどない。走るしか能がない。余計な不純物がない様はまさに蒸留水である。だがそのおかげで物理の法則どおりの動きに運転手は晒される。適当な運転を電子制御安全装置で庇ってくれるお節介さはない。道具としてシンプルなのだ。
電子制御云々の伝で言えば、現代のクルマは「運転の下手な人でも運転できるように造られている」ということができるだろう。マニュアルシフト操作ができない。繊細なアクセルワークができない。正しい軌道で旋回することができない。美しい制動ができない。そういう人こそが自動車販売の最大ボリュームゾーンを作っている。だから不感症の権化みたいな自動車でも、ヘタクソが事故を起こさない製品を製造販売することは、経済活動としては至極当然の帰結ではある。だがしかし、自動車運転を知的興味の昇華や、身体制御の果てにある高度な運動体足らしめたい人種にとっては、甚だ迷惑な話でもある。いやいや、世の中の歩行者や自転車乗りにとっては、そんな危険な運転手を電子制御で庇ってまで世に放つなという話ではないか。
10年オチのホンダ フィットやスバルの絶版サンバーで教習所のお手本のような美しい運転をする人も中にはいるし、完全な実用車なのに乗ると破顔一笑してしまうような傑作グルマも折々に作られてはいる。しかしそれは稀有な例だ。そんなカオスな自動車世界において、ロードスターは希有な存在だ。常にギリギリでありソリッドであり、余剰のない不便なクルマである。例えば濡れた路面でアクセルを吹かしすぎると、リアが流れ出す。電子制御がエンジン回転数を絞ったりしない。だがそういう状態を体験すれば、クルマの乱暴な運転は本来危険な行為であり、だからこそ努力してそれを制御できるようになることは楽しいのだと、理屈ではなく体感できるのだ。
筆者ももれなくそういう体験をした。今はプン太郎に乗ってもフロントガラス越しに見える景色は微妙に違う。このクルマを速く安全に走らせる最適解は何か?と自分に問いかけつつ走っているし、自分の前や後ろのクルマ、次々と現れる対向車が妙な動きをしないか気になる。これってつまり、自分の運転操作・制御を意識しての運転であり、積極的な周囲の安全確認行為そのものである。ロードスターの運転体験で、それが自然に自分の中に湧き起こるのだ。免許取得と同時にロードスターを運転できる息子は幸せ者だ。
このエントリーを2020年最後のエントリーとしたい。読者のみなさまにおかれましては、つつがなき新年を迎えられるようお祈りいたします。そして2008年から続けてきたこのブログの更新は終了とし、今後はアーカイヴとしてご活用いただきたい。このブログを続けてきたおかげで、良いご縁をたくさんいただいた。感謝多謝である。
明日2021年1月1日以降は
https://withcar.mystrikingly.com
にて引き続きお会いしたい。ありがとうございました。
2020年を当ブログが総括すると、トピックは3つある。ひとつはコロナウィルスパンデミック、もうひとつは筆者の病気罹患と入院である。3−6月に2度入院したので、日本がコロナウィルスの危機と直面せざるを得なかった時期、もっとも安全な環境に筆者は隔離されていた。だから国内が一番混乱していた時期をよく知らない。6−9月は自宅でひたすら療養(散歩をしたり家事をしたり)していたのだが、こりゃ滅多にないひとりツーリング三昧のチャンスだぜ!とほくそ笑んでいたことをここに告白しよう。だが4週間の絶食で極限まで落ちた50歳過ぎのおっさんの体力がそう簡単に戻るものではない。プン太郎の運転すら青色吐息という体たらくが解消されてきたのは、11月も過ぎてからである。元に戻すには何年かかるか……。
三つ目はマツダ ロードスターことロドっちの増車である。これは今年というよりも、人生でもマイルストーンになるようなビッグイシューである。相変わらず前口上が長くて恐縮だが、2020年の振り返りは
2020年ツーリング編
2020年スペシャルイシュー・増車体験
2020年その他のトピック
の3編にまとめてお送りしたい。まずはツーリング編。
プントエヴォで行く!新春の猪苗代湖
プントエヴォで行く!牡鹿半島を堪能した初春
プントエヴォで行く!ヘンタイ諸氏が気仙沼・大島を訪れねばならない理由を説明します
プントエヴォで行く!岩手千廐・厳美渓
38日ぶりにプン太郎を運転した日
プントエヴォで行く!・宮城県道172号線に再挑戦
プントエヴォで行く!未踏の県北県道と最強ランチの終焉
プントエヴォで行く!どこを走ってもどこかへ出る2020
ロードスターで行く!灼熱と豪雨の宇都宮2日間
プントエヴォで行く!福島市街地放浪の旅
ロードスターで行く!東松島ご近所散歩的ツーリング
プントエヴォで行く!至福の岩手県道1号線他再び!
C3で行く!山形県金山町移住計画
ロードスターで行く!第一次JR遠野駅前基礎調査
プントエヴォで行く!大和町でもみじ狩り
ロードスター・屋根を開けたいからご近所ツーリング
これだけ?と正直思う。仕方ないこととは言え、全然走りに行けていなかったんだなぁ。特に12月に1本もツーリングエントリーがないのは近年前代未聞ではないか。それを裏付けるのが2020年通年の走行距離である。
プン太郎 10,640km
ロドっち 5,774km
年間総計 16,414km
これまで年間2万kmは確実に走ってきた筆者だが、病には勝てなかったということか。2021年は心を入れ替え、様々に走りに行く所存である。
ようやくスタッドレスタイヤに履き替えたプン太郎を駆って、丸森町へ行ってきた。丸森・耕野のハチミツを買うためではあるが、往路はともかく、復路でどこか未踏破道をエンジョイ……という目論みもあった。まずは村田町を目指す。
時あたかも混雑必至な「年末の週末」だが、猛威を振るうCOVID-19の現状を考えると空いてなきゃおかしい……とも考えてしまう。つまり道路状況の予想は不可能と早々に断じて、朝7:30過ぎに自宅を出発したのが奏功したか、ファミリーマート村田小泉店までは好ペース。目的地の丸森町・八雄館は9:30開店らしい。いくら下道を低効率なコース取りで行くとは言え、仙台-丸森を2時間とはそもそも時間を多めに読みすぎ。ペースダウンを心がける。
専用設計のロードスターのロドっちと比べるのは酷なれど、プン太郎の根っこは実用車なのね、やっぱり……と思ってしまうのが運転姿勢。ビシッと背中を立て気味にして作るプン太郎の運転姿勢(とシートのホールド能力)は、どうしたって「バスの運転席」を彷彿としてしまう。それで快適なら立て気味でも寝気味でも良いのだが、ロドっち比プン太郎のシートでは横Gを強めに感じてしまう。その印象がクルマとの一体感として微妙な差になって現れる。なんてことを考えながら田舎道を進めていく。角田市内、産直販売所「あぐりっと産直広場」を南に曲がり、冬枯れの田園地帯を南下する。
手代木沼でまた一休み。時々トイレを使っていたが、実は沼そのものを見たことがない(笑)。駐車場から歩き出すと、お社があるではないか。八雲神社である。お参りしようと階段を上がっていくと、お社の脇から沼を一望できた。
ほとりにあるウッドデッキにも行ってみる。白鳥やマガンなど渡り鳥が200羽も……と、上記リンクには書かれているが、白鳥が20羽程度いただろうか。まだまだこれからどんどん飛来してくるのかもしれない。あたりは静かなので、目の前の県道を走るクルマの走行音がずいぶん聞こえる。
この手代木沼からさらに南下すれば、丸森町はすぐだ。ドン突きの阿武隈川でR349に合流し、町内へ入っていく。なんと八雄館はすでに開いているではないか。実は開店時間は9:00だったのだ。某GAFA企業の情報に踊らされたぜ。ともかくめでたい。さっそく入店。
ビニール袋にリンゴ詰め放題500円というのをやっていて挑戦してしまう。けっこうキツキツに詰めてレジに向かおうとしたら、お店の女性従業員……手っ取り早く言えばおばちゃんが、「あら、ビニール袋のクチは結ばなくていいんですよ(だからもっと詰めたら)」と声をかけてくれる。ありがたい話だが、こういう場面で筆者、がっつけない性分なのだ。人目気にせず……というのができない。ありがたい声がけを曖昧に受け流してハチミツを選んでレジに並んだ。すると別の女性従業員……平たく言うとおばちゃんが少し大きめのビニール袋を持って近づいてきたと思ったら、筆者の手からリンゴの袋を奪い、大きめの袋にスポッと入れて、余った部分にさらにリンゴを詰めてくれた。「ほら、はい!」と渡されて筆者反省。人の恩には素直に報いるべきである。
まるで「ハウス バーモントカレー」のCM撮影のような後部座席足元になってしまった。満足である。しかも時間は10:00。当然飲食店は開店前だし、腹も減っていない。サクッと帰ることにする。
丸森への往復でいつも気になるのは、西進すると「越河」だの「白石」だのと書いてある国土交通省の青看板である。R4側からそれらの道を走ったことはあるので、軽い山道のそれら道路が楽しいことは筆者も承知しているが、丸森側から西へ向かうと最後はR4にぶつかってしまうことが問題だ。それはあまり楽しくない。それでも白石市内への初踏破区間はこういう時に開発しておくべきである。K105と分岐するK24へ分け入ってみた。
帰宅後確認してみれば、それはK105という部分的には何度も走った県道なのだが、この日の初踏破区間も味わい深いワインディングだった。意外と人家が途切れないのも良い。里山を縫う良道である。木が生い茂って日光が当たりづらい路面には雪がまだ少し残っていたりもしたが、この日はほぼ全面的に路面はドライ。ノーマルタイヤで良かったじゃないか……と本気で思ってしまった。
里山を堪能してJR東北新幹線白石蔵王駅に出る。白石市街地に分け入るのも危険なので(さすがに混んでいる可能性がある)、不本意ながらR4へ乗る。途中R457に曲がり、先日ロドっちで通行止めを喰らったコスモスラインとの交差点へ。忌々しい工事中通行止めの看板は無くなっていたが、素直にR457をさらに遠刈田温泉まで進むのは遠回りすぎる。そこでコスモスラインを北上することにした。前走車は皆無でどうしてもペースがあがってしまう。ドライビングハイ一歩手前くらいまで行った。楽しい。
村田町へ戻ってきた。あとはあまりドラマがない。いや待てよ。元同僚が村田町の「歴史みらい館」という施設で働いている。遊びに来いと何度も言われているのに不義理をしていた(だって村田町が目的地ってこと、滅多にないんだもん)。公共施設の年末休館日は普通12月29日からだし、この最後の週末に休館しているはずもあるまい。そう考えて道の駅むらた敷地内にある「歴史みらい館」にプン太郎を乗り付けたのだが、驚いたことに休館だった。村田町やるなぁ。通用口付近に彼女のものと思われるホンダ フィットが停まっているのだが、職員通用口には呼び鈴もなく、年末に休日出勤している彼女を煩わせるのも本意ではないので、職場のアドレスに「来たけど帰るわ」とメールを一本入れて帰路についた。
帰宅してふとiPhoneの画面を確認したら、MAILER-DAEMONさんからfailure noticeが届いていた(笑)。
ヤマダ電機に寄って
プリンターのインクを購入
5時間/167km
余談:もうひとつ反省した話
上掲画像は往路、朝の8:30頃に村田町へ向かうK31で撮影したものである。どう考えても焚火や野焼きの煙じゃねーなと思いつつプン太郎を進めたら、案の定火災のようだ。火災現場はちょうど並走するE4東北自動車道の向こう側で見ることができない。が、反対側の集落内の消火栓からポンプ車に水を供給しているようで、消防ホースが数本道路を横切っている。当然ケーブルプロテクタ的な仮設のスロープがホースを保護しているのだが、このスロープの角度がキツイのだ。ヒトケタ台まで速度を落としているであろう前走車がぼよんぼよんと跳ねる。うわー、これプン太郎だとアンダースポイラーこするわーと思いつつ最低速度で進入していったものの、やはりこすった。くそー!
で、帰路。再びK31を北上していたら、まだホース渡してるじゃーん!もちろんあのスロープも同様である。その脇に警察官と消防署員が数名誘導に立っている。「スロープなんてこんなもんでいいだろ」的仕事に筆者ちょっと腹が立ってしまい、アプローチする前に一時停止し、窓を開けて「あのさー、このスロープ、もっと角度の緩いやつにしてほしいんだけど」とブー垂れた。まさかブー垂れられると思ってもいなかったのであろう現場の人たちは「あぁ、あははは」と力なく笑うばかりである。誘導してくれた年配の警察官がプン太郎の鼻先を見てようやく理解したようで、「あー!ゆっくり!ゆっくり!」と誘導し始めた。アプローチを始めても「ゆっくり! ゆっくり!」と何度も言うので、窓を開けたまま「わかってるっつーの!ゆっくりやるわ!」と言い返してしまった。ま、その警察官、まったく動じることなくさらに「ゆっくり! ゆっくり!」と誘導してくれたのだが。
帰宅して筆者再び大反省。年末の冷えこむ早朝から火事の消火と道路で交通誘導である。あの現場にいる人たちに対して、筆者はまず何を置いても「お疲れ様です!」と言うべきだったのだ。スロープの角度がキツイことなど些事ではないか(もっと角度が緩やかなものに速やかに買い替えて欲しいが)。修行が足りない。すみませんでした。
JUGEMテーマ:ABARTH
病気のせいで体力も筋力も落ちてしまった筆者にとって、ラックに置いてある17インチのホイール+タイヤを上げ下ろしするのがもっともキツイ。その次にキツイのがタイヤを組み付ける工程である。要は重いのだ。こんなのが四隅のダンパーの下でバタバタ暴れるのを制御するのって、すごい技術だと思う。
タイヤ交換が遅れたのは、自分で作業することにこだわってしまったから。ホイールスペーサーを改めて組付けようと企んだせいだ。12月初旬にお願いした車検作業時に一緒に頼むという選択肢もあったのだが、純正状態こそ是とする正規ディーラー(株)イデアルさんに頼むには、ちと気が引けた。少々負担だが自分でやろうと決めていたのだ。しかしまさか、12月14日に積雪するとは思わなかった。
ヘロヘロになりつつようやく作業終了。なんと1時間近くかかってしまった。段取りがめちゃくちゃ、酷いもんだ。1本だけ極端に空気圧が減っているタイヤがあり、スローパンクチャーが疑われる。要経過観察ではあるが、一晩明けても問題なかったので多分大丈夫だろう。
お待たせプン太郎。次の休みはどこかへ走りに行こう。
総走行距離
プン太郎 77,633km(先月比+379km)
ロドっち 39,231km(先月比+631km)
筆者当月走行距離 1,010km
今月の2台
いやー、しくじった。プン太郎、いまだノーマルタイヤのままなのだ。なぜそんなことになったかというと、車検にノーマルタイヤのまま出して、12月14日の納車日が仙台の今シーズン初の積雪日だったのだ。夕方這う這うの体でなんとか帰着。そのままブランチ(賃貸駐車場)で冬眠……というわけでプン太郎、驚愕の379kmという月間低走行距離数を達成。こんなの走ってないのといっしょじゃん!
一方中古でもスタッドレスタイヤに交換したロドっちが、代わりの足として大活躍。当初はコーナーのたびにリアを振り回していたが、最近ではようやく圧雪路でもしずしずと走れるようになってきた。FR車両の所有が初めてのうえに、冬季の、しかも圧雪路を走るなんて……。人間、いくつになっても初めての体験ができるもんですね。
さてFRのロドっちで冬の仙台を走ってみると、世の中はFF車両だらけだと思わずにいられない。その中に生活4駆という滑った時だけ動力を流す簡易全輪駆動車が混じっていて、ジムニーだのスバル車だのゥラングラーだのは、実はそんなにいない。たまにいるFR車はロードスターと86/BR-Zくらいなものだ。NDや86がそれなりのスピードで圧雪路を走っているのを見ると、オレも負けられない!と思う。
この心境の変化はなんだろう。多分来春訪れる状況変化が呼び水になったようだ。2021年春の息子の就職を機にロドっちはいなくなり、1台体制に逆戻りする。同時に大排気量FR車に乗りたい欲望が沸々と筆者の中に湧き上がっている。順当に考えればロドっち不在の穴をアメリカン大排気量自然吸気FRで埋めるわけだが、そもそもダウンサイジングターボの正反対とはなにか?を考えた結果が「アメリカンマッスルV8いいじゃん!」なわけで、当初それは1台体制前提のプン太郎リプレイス案だった。だがこれまで筆者がツーリングなどで楽しんできた行き先や経路を改めて思い返してみると、プン太郎(あるいはMiTo)のサイズだからこそ楽しめる道行きだったと気づいたのだ。だって極端な話、田舎の農道を横幅1,800mm代のV8グルマでゆっくりと走って楽しいか?という話である。生き生きと走って楽しめる道路や状況が違いすぎる。マッスルカー乗ったことないけどさ。となると、マスタングでもチャージャーでもいいけど、大排気量V8を主力戦闘機にリプレイスしてしまったら、「戸締まりしっかり、どろぼうがっかり」の看板付近とか、七北田ダム北側の荒れた舗装のワインディングとか、そういう狭くてくねくねした道はあきらめろ、ということになる。
それは現在の自動車人生をリセットするようなものではないか。ちなみに以前にもリセット案件があって、それはプジョー 307SWにノックアウトされて、輸入車ライフを始めた時である。あの時ほどのインパクトが再びオレの身に起こるのか……!
いやいやちょっと待て。単純にプン太郎は保有したままにすればいいんじゃないか。そもそも当家の狭い駐車スペースにアメリカンマッスルカーなど置いたら、まずドアを開けられない。降りられないし乗れない。そうだ!プン太郎と共存してもらおうじゃないか。
そう考えると、もっと労わりつつというか、もっと大事にというか、端的に言ってもっと長持ちするようにプン太郎と接しなければ、と思うようになった。2020年4回目の車検で20万円だったら、2022年には30万円、40万円も視野に入ってくる。だがそこでめげてはいられない。そうなったら日々のメインテナンスでなんとかしようじゃあないか。いわゆる分散支払い型である。
まぁ程度の良いV8エンジンを搭載したクルマとなると、中走行車で600万円なんてのもザラで、役付きモデルだとあっという間にイッセンマンエンなんてことになる。それ、家をリフォームするかV8を買うかみたいな2択ですから。こりゃあ無理ですかね。
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プントエヴォ車検(4回目)
総走行距離77,608km
24ヶ月点検 技術料 34,000円
保安確認検査料金 8,000円
下廻りスチーム洗浄 技術料 6,600円
下廻り錆止めシャシ塗装 技術料 8,000円
ブレーキオイル交換+エア抜き 技術料 3,300円
オイルフィルター 73500049 1,770円
以上の技術料とフィルター代はイデアルサービスクーポンにて無料化
エンジンオイル交換 SELENIA ABARTH 5W-40 51029976 8,100円(@2,700*3.0)
TRANS BELT SPK1150 55232450 3,900円
上記技術料 6,000円
SPARK PLUG 55249868 7,360円(@1,840円*4.0)
上記技術料 4,800円
ウィンカーバルブ12V21Wアンバー V91191432 700円(@350円*2)
上記技術料 2,400円
発煙筒 22222 1,050円
ショートパーツ 2,000円
消費税 4,046円
値引きなどあり、車検費用は
91,856円
これにイデアルクーポンの代金を足す
106,000円
合計 197,856円
恐怖の見積もり編に書いたとおり、サービスフロントSさんの暗躍によって20万円の絶対防衛圏は死守された。ふー、危なかったぜ。本当はエアクリそのものを交換してしまうプランも一瞬頭をよぎったのだが(alfa_manbowさんには見透かされていたようだ)、とにかく今回は車検を通過することだけを重視した。今後にご期待いただきたい。
今回の車検は終わってみれば(内容としては)平穏無事だった。むしろ波乱があったのはイデアルさんのスタッフのみなさんで、K店長の秋田出向とか、Tさんが鎖骨を痛めたとか、驚いたり眉を顰めたり。まぁK店長はSさん経由で筆者のある相談に乗ってくれたり、Tさんは笑いながら話してくれはしたのだけど。お二方とも、1秒でも早い帰還、快癒をお祈りするものなり。
実はこの回収日は仙台でもはっきりと積雪があった日で、ホイールスペーサーを装着したい一心でタイヤ交換を先送りし続けてきたプン太郎はなんとノーマルタイヤ。本当ならエンジンオイルとフィルターを交換した効果を体感すべく、エンジンをぶん回しつつ帰途に就くところだが、大渋滞の幹線道路を静々と帰るしかなかった。そして寒波がいったん和らぐまでは、acatsuki-studio駐車部門スペシャルブランチ(賃貸駐車場のこと)でお休みいただくことになる。やむを得ぬ仕儀ではある。早くプン太郎でお出かけしたいものだ。おかえり!プン太郎!そしてごめん!プン太郎!
余談
イデアルさんから帰る間際、Sさんから「実は当店のユーザーさんで……」とお話しをいただく。その方は当ブログの読者様で、たまたまの来店時、入院中のプン太郎を目ざとく見つけ、「ありゃあacatsuki-studioのプン太郎じゃねーのか?」とお気づきになったらしい。わざわざSさん経由でそんなお話をいただくのも嬉しいことだ。LのYに乗っておられるという。お声がけありがとうございます。いつかお会いできたらゆっくりお話ししましょう。しかし同時に、プン太郎が「走る個人情報」であることが(またもや)実証されてしまった。
JUGEMテーマ:ABARTH
筆者の愛車アバルト プントエヴォことプン太郎が車検を受ける。現車検の満了日が2020年12月11日。もっぱら筆者の支払いの都合から満了日ぎりぎりまで受検を引っ張り、入庫は12月7日だった。お願いするのはこれまでどおり(株)イデアルさんである。2011年の国内初登録以来4度目の、筆者が2018年1月に購入して以来2度目の車検である。
さて事前に予約を入れていたので、入庫日当日、サービスフロントのSさんが粗見積もりを作ってくれていた。それによると約15万円である。なんとか12万で収まるといいなぁと思っていたが、最低限の検査だけで12万、それにフロアのスチーム洗浄とコーティング、オイルとフィルター交換という不可避メニューを乗せただけで14万3千円とかになってしまうのだな、これが。
さらにSさんから提案が(イデアルさんのサービスフロントはイニシャルSさんが複数人いて紛らわしいのだがやむを得ぬ)。イデアルさん独自のサービスクーポンを同時に購入すれば、さっそく今回の車検から適用でき、さらにはこの先のオイル交換も数回無料になったりして大変お得ですよ、ときたもんだ。同行してくれた家人も「あたしは買うね」と断言。プン太郎購入時もやはりそのクーポンは大活躍だった。筆者もそのありがたみはよくわかっている。しかし今回の支払いはさらに3万円程度上乗せになってしまう。車検の工賃はクーポンで賄えるのだが、クーポン本体の価格というものがあるのでそうなってしまう。
約18万円かぁ。
当初想定(というか勝手な希望)から6万オーバーである。うーむ、どうしたもんか。
考え方を変えてみよう。9年オチ/約8万km走ったイタリア車の車検が18万円。ま、故障しないことで有名なガンマプラットフォーム(GM開発)のクルマとしては中庸な値段と言えるかもしれない。それにあーだこーだ言ったところで、現状のメンテ内容はどれも今やらなきゃまずいものばかりである。こりゃ覚悟を決めるしかない。
続く
このjugem.jp上の12年間のエントリーは、アーカイブとしてこのまま置いておこうと思います。お時間のある時に新装版を閲覧いただき、早いうちに違和感を解消していただければと思います。ただし読者のみなさまからのブーイングが想定以上に多い場合は……。ちょっと考えます(笑)。
完全移行は2021年1月1日を予定しております。どうぞよろしくお願いいたします。
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病後体力が著しく落ちている筆者だが、なんとかやり終えた。もっとも家人に手伝ってもらったから完遂できたのだが、今回のことでわかったことがある。タイヤ交換で一番体力を食うのはタイヤをラックから降ろすこと、載せること。そして二番目に体力を食うのはボルト締め作業である。それを家人に任せたらなんとかできた。
C3のスタッドレスタイヤはコンチネンタル コンチバイキングコンタクト6。予算の都合で16→15インチへダウンしているのだが、足さばきには良い影響しかない。温和な足の正確がさらにマイルドになり、乗り心地はむしろ良くなる。だがEPSは16インチで調整されているようで、15インチのスタッドレスタイヤを履かせた後ではハンドルがやたらスカスカ動く。それだけが惜しい。
第二章
運転席側のパワーウィンドウが開ききったまま不動になってしまった我が家のロドっち。仙台市指定ごみ袋をテープで張り付けただけの養生策で駐車場に放置されてしまったのだった。
数日放置していたのだが(ヒドイ)、ある朝起きると空がどんより曇っているではないか!がっつり降られるとごみ袋養生だけでは心もとない。いろいろやり繰りして慌ててケンオートさんを再訪した。今度は無事に診断してもらえたのだが、前回冒頭の診断結果のとおり、スイッチ類の通電は問題なかったのだが、窓を動かすモーターが臨終していた。こうなると部品交換となるが、NC(=3代目)のモーターは在庫がないらしく、取り寄せに数日かかるという。「お値段はいくらくらいですか?」社長「うーん、NCのこういう交換はあんまりやったことがないんだけど、NA/NBよりも安かったはずなんですよね。たぶん3万円くらいじゃないかなぁと」。それなら工賃を加算しても5-6万円ではなかろうか。「お願いします。進めてください」ということで、その日は代車を出してもらい(スズキ ワゴンR)、帰宅した。
このワゴンRの試乗記をいつもならしたためるところだが、もうホントに乗るのも書くのも気が滅入るシロモノだったので、パスします。
預けて翌々日にはケンオートさんから修理完了の電話をいただく。間の悪いことに現場仕事が続いており時間を作れない。お知らせを受けたついでにエンジンオイル交換もお願いし、訪れたのはさらに二日後であった。
パワーウィンドウモーター交換
入庫時走行距離 38,711km
P/Wモーター交換 14,300円
上記工賃 6,000円
P/Wレギュレーターオーバーホール
上記工賃 9,000円
Moty'sケンオートオイル 5W40 ×4.3 6,450円(@1,200円)
エンジンオイルエレメント交換 1,200円
上記工賃 1,000円
消費税3,795円
合計41,745円
プジョー 307SW、アルファロメオ MiTo、アバルト プントエヴォ3台のメインテナンスを正規ディーラーにお願いし続けてきた筆者には、驚愕のリーズナブルさである。クレジットカードで支払ったのでさらに手数料が乗り、最終的には4万2千なにがしだったのだが、それでも。
名にし負うケンオートさんの現状では、
・ウチはとにかくNAの修理が多い
・ぼちぼちNBが入庫し始めている
・NCの修理経験はまだあまりない
だそうだ。プロショップ過ぎてNAオーナーの救世主になっている模様。逆に言えばNBがぼちぼちって、どれくらい耐久性が高いんだ!と呆れてしまう。今後どれくらいお世話になれるかわからないが、今回はお願いして大正解だった。敷地内にゴロゴロ停まっていた魔改造NAとか乗ってみたいものだ。
筆者周辺の数少ないMiToオーナーだったトーマスさんが、とうとうアルファロメオ MiTo QVを降りることになった。乗り換え先はなんとBMW M235i xDrive グラン クーペである。筆者は先日友人の135iクーペを試乗させてもらったばかり。その機動性、剛性感、基礎能力の高さなどにすっかり参ってしまった。エントリーのタイトルに「良すぎて欲しくない」とまで書いたほどだ。友人によると135iクーペの直接の後継は2シリーズクーペなのだという。その中のM GmbH謹製M235i xDrive グラン クーペ(以下M235i)である。そりゃ当然興味津々である。「ファーストインプレッションミーティング、やりませんか?」とお誘いしてみると「ぜひ」という嬉しいお返事。あお師匠とalfa_manbowさんにもご参加いただき、晩秋の試乗会が行われた。
快晴の11月下旬のある日、集合場所となった某洋菓子店駐車場に怪しいクルマが三々五々集まってくる。アルファロメオ 147(あお師匠)、155(alfa_manbowさん)、屋根開けっぱなしの筆者のロドっち。そんな90-00年代のヴィンテージ集団の中でM235iは異次元の存在感を示す。青なのか緑なのか、日光のあたり方で微妙な色味変化を見せる「スナッパー・ロック・ブルー(多分)」の塗色。複雑玄妙なカーブを見せる外皮のプレスと組み立て精度。一時期から一転して巨大化しはじめたキドニーグリルを擁するフロントマスク。とびぬけたクオリティの工業製品は見ただけでそれが伝わってくるものだが、M235iはまさにそれだ。ぽっかり空いたエアダクトや巨大で美しいブレーキキャリパーなどがその印象をさらに加速させる。我々の邂逅第一声は「うーん。こりゃすげえ」であった。
とりあえず座ったり眺めたりした後、トーマスさんを囲んでヒアリング。オーナーのファーストインプレッションを要約すると「乗せられてる感じ」なのだそうだ。『駆けぬける歓び』を社是とするBMW製品の印象としては、どうにも腑に落ちないインプレッションである。もうこりゃ走ってみないとわからない!ということで、まずはオーナーの運転で七ヶ浜町内を縦横に走り回ってみる。余談だが宮城県の海沿いの町七ヶ浜の道路は、アップダウンと適度なコーナーの連続で、あお師匠は「貸切にして走行イベントをやればきっと面白い」とおっしゃっていた。慧眼である。ちなみに納車から日が浅く、トーマスさんのM235iは実走行距離がわずか800kmほど。BMWは馴らし運転距離を2,000kmとしているそうで、この日はエンジン回転数上限3,000rpmという条件がついていた。公道でもあり「そっか、仕方ないな」というムードが参加者の中になかったわけではないが、その後走り出してみれば、上限3,000rpmでむしろ良かったと思えるほどの俊足ぶりをM235iは見せつけた。
この後の展開を時間軸で書いていくと、ただでさえ冗長な当ブログがさらに冗長になるので、同乗試乗も含めて筆者が得たもの・感じたことを、項目を立てて箇条書きにしたい。
1.全体的に高品質
2.動的性能の高みに悶絶
3.座り心地最高のイス(前も後ろも)
4.不思議なEPS(パワステ)
5.二面性のあるブレーキ
6.BMWなのに……なペダル配置
7.後部座席の罠
1.全体的に高品質
冒頭に外装の第一印象を書いたが、もちろん内装も組付け精度の高さは相変わらずで、アルファロメオ ジュリアの内装組付け工程管理者はBMWの担当者の爪の垢をエスプレッソに混ぜて飲むと良いと思う。イタリアの自動車に乗っている筆者からすると「なんというか、ここまでやらないとダメなんですか?」という気はする。Tシャツに短パンでは乗れないムードではある。
2.動的性能の高みに悶絶
筆者レベルではM235iの内外装を眺めただけで居住まいを正してしまう。だから加速・旋回・制動の高みについてをや。もう、今さら言わせんな、の世界である。三要素の性能が尖っているのではなく、加速中と言わず旋回中と言わず、常に姿勢はおそろしく安定している。その結果意外なほど安楽なのだ。これだけの高性能車に乗っているのに……と、ギャップに戸惑うくらいだ。高速道路で片道400km/往復800kmなんて楽勝だろうと思う。
3.座り心地最高のイス(前も後ろも)
その安楽加減をさらに加速させているのがこの「M スポーツ・シート」である。はっきりと硬く、身体が沈み込むマージンすらほとんどないのだが、反応の速い足回り(この足回りだけでエントリーが1本書けそうなくらい興味深い)と組み合わされると、不快ではまったくない。シートそのもののホールド感はガチガチではなく、腰周辺をソフトに固定してくれるGT的性格ではある。ちなみにオプションの「パーフォレーテッド・ダコタ・レザー」を装着。色はマグマ・レッドという赤ともオレンジとも言えぬ絶妙のウォームカラーだった。
ということで最新のBMWの、それもヤンチャ系モデルの出来栄えにはしゃいでいた我々だが、助手席や後部座席に座り、短距離でもステアリングを握らせていただくに至り、気になる点も見えてきた。
4.不思議なEPS(パワステ)
端的に言ってダイレクト感がわずかに薄い。コンフォートやスポーツの名で制御パターンが変わる。どのモードであっても中立からの切り始めに余計なフリクションはないし、手応えという意味では非常に好ましい反応をするEPSではある。いや重い軽いの話ではなく、どこかよそよそしいと言えば良いだろうか。よくよくそこに集中してみると、前輪の動きとステアリング操作の結果返ってくる情報に、紙1枚挟まっているようなもどかしさがある。これはあれだ、オンライン会議と同質のもどかしさである。可変ギアレシオ機構の為せる業なのだろうか。今回はその効能を実感できる高負荷な場面は無かった。だがこの違和感は先日の135iクーペの油圧アシストステアリングの甘美な印象との比較が原因ではないと思う。
5.二面性のあるブレーキ
ブレーキの効きそのものは強力なのだが、リニアリティという面では少々惜しかった。問題は踏み込み時ではなく、停止位置を決めるための操作である「抜く時」である。今さらこんなことを書くのは文字数を徒に増やすだけのような気もするが、クルマを停止させるために運転手が取る行動(運転操作)は2段階に、細かく言えば3段階に分かれている。停止する場面を思い浮かべていただきたい。まずBペダルを踏む。望む分だけ減速する。同時に減速し続けるに従って踏力を減らしていく。この段階が「ペダルを抜いていく動作」である。この時のペダルを通して足の裏が受け取る情報描写が甘い。踏み込み時の反応が鮮やかなだけに、この抜く時のふにゃっとした甘さがもったいない。
6.BMWなのに……なペダル配置
完璧だったあの135iと比べると、わずかではあるがA,Bペダルとも左に寄っている。2ペダル(8速スポーツAT)なので致命的ではないし、筆者の過剰な思い込みである可能性もある。世の中の自動車全体を見回してもM235iのペダル位置は正しいのだが、あのBMWで?とこっちも厳しくなってしまう。
7. 後部座席の罠
グランクーペである。流麗なスタイリングなのである。後部座席、シートの設えは破綻がないが、背面にきちんと背中を付けて背筋を伸ばすと、身長171cmの筆者ですらなだらかに下る屋根に頭がこすれる。
あまりにすごいクルマなのでつい粗探しをしてしまったが、2020年に購入する新車というカテゴリーでは間違いなくトップリーグにいる。加速・旋回・制動の各要素は高バランスで、当然高機能である。クルマの根源的な魅力はそれだけで充分担保できているのに、電子制御のオプションがこれでもかと付いてくる。細かくは味わえなかったが、エンジン、シャシー、エグゾーストサウンドまで個別に調整できる各モードや(今回は体験できず)、直前の軌跡を完全に再現してくれる機能(何を言っているかわからないと思うが、リバース・アシスト/後退時ステアリング・アシスト機能とはつまり、限定的な自動運転だ)など、電子制御で武装した先にある「自動運転の世界」がリアルに感じられる体験でもあった。
自動運転と言えば、我々クルマヘンタイには縁のない機能、縁を持ちたくない機能の筆頭ではあるが、M235iで垣間見たBMWのそれは、如何に人間を主役に据えようかという試行錯誤が感じられるものでもあった。実際に筆者も家人のシトロエン C3で高速道路走行時のクルーズコントロールには世話になっているわけで、そのありがたみを理解した上で、様々な電子制御技術を重畳するM235iでBMWが『駆けぬける歓び』を獲得しようと努力した痕跡はちゃんとわかる。とにかくあれだけの高性能を取っ散らかさずに、運転手とコミュニケーションが取れるものに仕上げようと努力し、なおかつ「安楽」にすら走れるように調律したことはさすがとしか言いようがない。
もっとも当然のことながら「安楽なだけの旦那グルマ」などではなく、おそらくちゃんとあたりが付けばワインディングへ持ち込んでも相当攻めることができるだろう。xDrive=FF由来AWDの強みは実はそういうステージでこそ発揮されるのかもしれない。つまりコンフォートとアグレッシブの両方を、高い次元で共存させたのがM235iだと言える。
一方で電子制御を重畳してなお人間を運転行為の中心に据えようと努力するのならば、EPSやブレーキなど、まだ煮詰められる部分があるとも思う。筆者個人としてはせめてパワステは電子制御ではなく油圧アシストにしてほしい。M235iはBMWの中でもその看板となる正統派セダンモデル3、5シリーズとは違う。そもそもBMWを選択するオーナーはかなりの割合で「運転そのものに興味があり、その高性能と対峙しよう」と考えている人々だろう。だとするといくつかの機能をあきらめることになっても、135i由来の油圧アシストステアリングを採用することで、M235iの運転体験は一層濃密になるはずだ。『駆けぬける歓び』の本懐はそこではないのか。
しかし。このことも声を大にして言いたい。そんな外野の野次を気にせぬ現状のままでも、M235iは多くの運転手の運転免許証の寿命を縮めることになるだろう。M235i xDrive グラン クーペに乗るということは、愉悦と背中合わせの危険、「停」ではなく「取」がすぐ目の前に迫る日々となるはずである。同時に運転に真摯に向き合おうとする人なら、「電子制御クエスト」としても楽しめるクルマである。トーマスさん、ありがとうございました。
午後の日差しがまぶしいぜ。冬が近づくにつれ空気が透き通っていくようで、遠くの山々が美しい。里も紅葉である。2020年の今年、とうとう蔵王には行けなかったなぁ……。なんだか走り足りないので、村田町へ抜けることにする。コスモスラインを走ろうじゃあないか。
コスモスラインを南下すると最終的にR457へ合流するのだが、途中ショートカットがある。牧場の脇を通り抜けるワインディングである。そりゃそっちにいくわい。
唐突な通行止め通告。すごすごコスモスラインへ引き返す途中農作業(?)をしているおじさんがいたので通行止めの理由を訊いてみた。
「牧場の先で通行止めなんですけど、なんかあったんですか??」
「いやぁああ?いつもは行げんだけっどもね」
「全面通行止めって看板が出てるんですよ」
「なんがあったのかもしぇねぇね」
「無理してUターンもできないところで止められても困るんで、戻ります。ありがとうございまーす」
「んでね」
コスモスラインに戻りロドっちを進めR457へ合流はしたが、そこから北も通行止めである。どうも工事中らしい。さてどうするか……。ここはひとつもう少し南下して鎌先温泉経由K254でK51へ合流し、少し遠回りをして遠刈田温泉に戻ってこよう……。
幸いこちらのコースはトラブルなし。K51沿いのジェラート屋さんが大繁盛。駐車場にあふれるクルマを横目に一路遠刈田へ。途中トイレ休憩。
遠刈田からK42で川崎町へ北上。コスモスラインの入り口に至り、本日走ったコースをぐるっと一周したことになる。そのまま川崎町内を走り抜け、釜房ダムの今度は北側の道路で定点観測。秋保温泉、愛子を経て帰宅。
屋根を開けて晩秋の田舎道を走るのは本当に気持ち良い。途中何度も空を見上げてしまった。ロドっちは来春息子が就職先へ持って行くことが決定しているが、すでに筆者はオープンカーの魅力に憑りつかれている。屋根の開くクルマのない生活はきっと味気ないに違いない。そうだ!マスタングコンバーチブルを買えば一挙に解決だ!
ちなみにこの時はまだかろうじて運転席側の窓は動いていた。
こうなってしまうとロドっちでは走れない。通勤の足をプン太郎と入れ替え。哀れごみ袋ロドっちは賃貸駐車場にその雄姿を晒すことになったのだった。
つづく
総走行距離
プン太郎 77,254km(先月比+938km)
ロドっち 38,600km(先月比+498km)
筆者当月走行距離 1,436km
最近の筆者と今月の2台
10月に完全復活を遂げた筆者の生業だが、ようやく就業ペースにも慣れてきた。ところが通常の体力を生業で使い果たしてしまうため、それ休日だ、やれツーリングだ!と盛り上がらない。休みの日は死人のようになっている……と書くと大げさだが、翌週の生業に支障を来さないようについ大事をとって休養してしまう。え?それって普通なんですか?そんな人生を送ったことがないのでよくわかりません!ともあれ、そんな理由でちっとも走行距離が伸びない。嗚呼。
ロドっちに乗り慣れるにつけ、プン太郎の「背を伸ばし立て気味にして座る」ポジションに違和感が。筆者、立て過ぎているんじゃないか疑惑。もう少しシートに背中を押さえつけやすい角度があるのかもしれない。でもステアリングへの腕の伸び方とメーターパネル視認の関係性から考えると、今のポジションがベストという気もする。嗚呼。
ロドっちの右側サイドウィンドウ、マジでやばい。語彙力が低下するほどやばい。動けば奇跡みたいな感じになってきたので、動かさないようにしている。先にdenzouさんからコメントで示唆いただいたとおり、気温が下がってきてグリースが固着しているのかもしれない。つまりこれからもっと悪化するってことでしょ?嗚呼。
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Profumo姐さんのブレラは3.2リットルガソリンエンジン、しかも6MTのLHD。つまり「オレのため仕様」である。だが本当に重要なのはリアエクステリアの造形だ。筆者はかねがね「このお尻だけで丼飯3杯はいける」と豪語しているのだが、今回改めて眺めてみて自分の間違いを悟った。丼飯5杯はいける。
走り出してみると、直前に乗ったマツダ 3とはいろいろ違う。その違いをもっとも顕著に感じたのは加速動作である。JTSエンジンは決して軽く回るエンジンではないし、当然車重も嵩んでいる(1.8t近い)。いくら3.2リットルとは言え「バビューン」と加速したりはしない。それは想定範囲内だとしても、この加速感をなんと表現しよう。決して鈍重ではない。だがAペダルの踏み込みに対しての反応は俊敏というわけでもない。踏む、エンジンが回転数を上げていく、加速感が徐々に高まる、というシーケンスがまるでひとつひとつを噛み締めつつ、あるいは「速度を上げていく」という行為を愛おしむように行われると言うか……。つまり加速という体験が濃いのだ。
そんな濃厚な加速感を味わいつつ曲がる、止まるも試してみると、これらも加速動作と合わせてひとつの世界を作っていることがわかる。例えばいきなり鼻先が入るようなイマドキの旋回動作ではない。だがステアリング全体はニュートラルで、感覚的には前輪の動きが加速感の半歩先を行く印象となり、「御している感覚」が容易に得られて気持ちが良い。加速と旋回がそういう世界を作ってくれるので、制動もいきなりサーボが立ち上がってその世界を台無しにしたりしない。ペダルストロークの奥の方で辻褄が合うような、グラフに表せば放物線を描くようにブレーキは作動する。
全体的にスローな動作、と勘違いしないでいただきたい。またリニアリティが不足しているとも思わないでいただきたい。加速・旋回・制動の三要素のどれでも、乗って動き出して数百メートルで前述のことが感知できるほど、それぞれの動作は解像度が高い。初めての運転手にも緊張を強いない。それだけでも偉いと思うが、筆者として特に印象深いのは加速動作だ。過給エンジンの段付きカッ飛び加速に慣れている当方としては、3.2リットルという余裕の排気量でトルクがじわじわと満ちていくような濃厚な加速はほぼ初体験。過程をつぶさに体感できるので、そのことを「高解像度」と感じるのだろう。巨大に見えるボディに内包される居住エリアは意外とタイトで、運転席からのボディ全体の見切りは良く、細い道で対向車とすれ違うような場面でも、徐行するか?停止するか?どれくらい路肩に寄せられるか?が判断しやすい。
試乗を終えキーを姐さんに返しつつ感想を伝える。マツダ 3は旬の魚のお造りだが、ブレラはバターをたっぷり使ったパウンドケーキではないか。どすんと腹にたまる、食べ応えたっぷりの体験である。筆者は今5リットルくらいの自然吸気エンジン+FRレイアウトのアメ車が欲しくて仕方がないのだが、ブレラの鷹揚な乗り味はちょっと余裕こそ少ないが、その片鱗は感じられる。なによりこいつを手に入れることは「アルファロメオオーナー」になることなのだ。その魅力も含めれば、それはなかなか抗いがたい。
最大の興味は2から6まで、一本筋の通った乗り味になっているのか?ということだった。運転姿勢の素晴らしさは2でも6でも5(ロードスター)でも不変だったし、実用乗用車としても2と6は共通要素満載だった。筋が通っているとも言えるし、アテンザを100としてそこから血のにじむような引き算をしてデミオを仕立てたと言えるかもしれない。筆者が乗ったデミオは1.3リットルガソリンエンジンの最低ラインモデルだったこともあり、基本は押えているけど、意地悪く言えば「基本を押えているだけ」とも言えた(でもちゃんと1台のクルマとして世界を作っているのだから、やはりすごいことだ)。まぁ言い方はともかく、「マツダの乗用車」として首尾一貫したものになっていた。その通奏低音は「運転手の邪魔をしない」だと筆者は感じている。運転環境しかり、加速・旋回・制動のリニアさしかりである。だとすれば、当然3もそうなっていないと筋が通らないではないか。さて、どうだったか。
ご安心ください。見事に3は同じ系譜だった。そしてちゃんと2よりも余裕があるが、6よりはタイトになっていて、それは室内空間も運動性能もそうなっていた。スポーツモードがあるが、スロットルの踏み込み速度ではなく踏み込み量を監視しているようで、反応が俊敏になるわけではなく、「より回る」だけでアルファロメオのd.n.a.システムのような二面性が仕込まれていないことにも、また見識を感じる。
加速はノーマルモードで十分気持ちよく加速してくれる。そしてEPSも変に段が付いていたり反応が曖昧だったりという不始末はない。制動も特に抜くペダルへの追随まで含めて一貫してリニアリティが担保されていた。わかりやすい演出は何も感じられず、ひたすら入力に対して透明であろうとしているように思えた。「疲れなさそう!」とパイセンに訊くと、案の定「疲れないんだ、これが」という返事。
ひとつ感心したのは音環境。試乗中はずっと音楽が流れていたのだが、純正のくせに疲れない音質で、それはおそらく室内の防音とも協調制御されているようだった。つまりオーディオ出力の得意な周波数帯域を防音で特に力を入れて制御した様子があった。だからクラウンやセルシオのように何が何でも全部抑える式の防音ではなく、こことここさえ抑えておけばあとはあまり気にならないっしょ、という確信犯的防音である。もしこの予想が本当だとしたら、もはや防音ではなく積極的制御と言える※。もうちょっと様々な音源やシチュエーションで試してみないと確信は持てないが、助手席のkanaパイセンとの会話も含めて、快適な室内空間だった。
ちなみにオーディオシステムは例のマツダコネクトである。マツコネと言えば使い物にならないナビが有名で、しかしクルマの制御全体を司っているのでレスオプションは存在せず(ロードスターの一部モデルではレスで買えるのだけど)、マツダ車ありがたくない装備ランキングぶっちぎり1位なのだ。ついでに言えばNDを改変したアバルト 124スパイダーにもマツコネは搭載されており、一部のアバルトユーザーからも顰蹙を買っている。それを知っているだけに今回のオーディオ音質は良い意味で意外だった。
高速道路での直進安定も良いとkanaパイセン太鼓判。いやらしい話だがこれで乗り出し300万円くらいだという。Cセグメント、SKYACTIVEという技術トピック、運転操作に対してのひたすらリニアな反応。日本の道路で余裕をもって走るなら、そして自主自立を旨に運転に携わるオーナーなら、3よりふさわしいCセグ国産車、ほかにありますかね?
※もはや防音ではなく積極的制御と言える
このテキストをエントリーしてからふらりとマツダのサイトを見にいったら、3の室内音響は「マツダハーモニックアコースティックス」と名付けた「売り」のひとつなのだった。これは非常に快適でしたよ。
数えて19回目となる当ブログ主催OFF会が無事終了した。天候に恵まれ、この山形シリーズとしては過去最高の参加者数となった。参加者のみなさんに感謝します。
と書くのが一番わかりやすいし、読むのも楽だろう。あとは適当な写真を掲載しておけば良い。だがそうはしない。筆者にとってはとても大事なことなので何度も書くが、クルマ文化に接する(埋没する)楽しみを知って筆者の人生は大きく変わった。それは乗って楽しいクルマと出会えたことも大事だが、このブログを通じた交流があったればこそである。交流してくれた読者のみなさんがいてくれたからこそなのだ。だから筆者にとってOFF会のレポートは仇やおろそかに扱ってはいけないものなのだ。
クルマで行きますOFF会#19
〜西蔵王公園でまったり〜
2020年10月31日(土)
9:00〜夕方まで
山形県山形市中桜田1962(付近の駐車場)
入退場自由、参加費無料
小学生にとっての遠足のような、1か月も前になると思い出してニヤニヤしてしまうような。そういう一日を無事に過ごすことができて大変幸せである。ご参加いただいたみなさんへの謝意は「感謝」の二文字では到底足りない。本当にありがとうございました。
ということであとはランダムに思い出せることを書いていこうと思う。楽しすぎて詳細を忘れてしまうのが常だ。今年は新兵器を導入した。ノートだ。お名前と当日のマシン名を記入してもらった。入退場自由で常に人の出入りがあったから、記入されなかった方もいたかもしれない。筆者の記憶とノートの記名による当日の参加者は以下のとおり。
nomuraさん シトロエン DS3スポーツシック ★
ざねさん ルノー メガーヌGT
A.Sudさん ルノー ルーテシア ゼン0.9
ヤマベさん アルファロメオ MiTo
Motiさん BMW 130i ★
ヤネンさん シトロエン DS3 ★
ざわさん シトロエン DS3R ★
しまの助さん ルノー メガーヌRS
kikuchiさん AMG C43 カブリオレ
RougeDS3さん シトロエン C3 ★
あお師匠 プジョー 208GTi
alfa_manbowさん アルファロメオ 155
ますみんC3さん シトロエン C3 ★
IDEALFAさん ルノー メガーヌR.S.
ヒロメオさん アルファロメオ ジュリア
(お名前不明) ロータス エリーゼ ★?
Profumo姐さん アルファロメオ ブレラ
kanaパイセン マツダ 3
denzouさん アバルト 124スパイダー
marutaさん アルファロメオ 159SW
(お名前不明) プジョー 206RS ★
acatsuki-studio アバルト プントエヴォ
★=初参加
もし「おいおい、オレの名前がないよ」という方はコメント欄に書き込んでいただきたい。参加台数は22台だが、ご家族で参加された方もいたので人数はもっと多い。正確な人数はもはや計測不能だが、とにかくこの「蔵王でまったり」シリーズへの参加人数として過去最高なのは間違いない。これは初参加のnomuraさん(from 八戸!)がお仲間に周知してくださった影響が大きい。おかげでフランス車が一大勢力になっていた。距離のことで言えばやはり初参加Motiさん(from 浜松!)のBMW 130iも負けていない。たまたま東北地方ツーリング中に当ブログを見つけて参加してくださるその勇気にも拍手だが、130iのオドメーター数値がすごい。なんと24万kmだという。現地らしく乗っているので返って調子が良いとのこと。マジか!
そんなわけで北は青森県から南は静岡県まで、いみじくも「東日本ミーティング」の様相を呈してしまった。
全東日本お土産バトル!の様相。
みなさん本当にありがとうございます
1990年代から
2020年代まで、
30年を網羅する参加車両
A.Sudさんのお話から
Myエアゲージ、
誰のが一番正確か勝負!に。
alfa_manbowさんの155で
測定大会
みんなぴったり2.5bar!
人数を言い訳にしたくはないが、参加者が15名以上になるとおひとりおひとりとちゃんとお話しができなくなるのが残念と言えば残念。でもみなさん大人だから、その場その場で適当に楽しんでいただけたようだ。主催者としてはむしろそのことを喜ぶべきだろう。改めてご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました。毎回「家に帰りつくまでがOFF会ですよ、事故ったりしないで気を付けて帰ってね」と言ってきたが、まさか速度違反で覆面パトカーに捕まる人が現れるとは思わなかった。好事魔多し。お互い気を付けましょう。筆者は解散後は北上し、銀山温泉をかすめてR347を使って大きく遠回りをして帰宅した。
クルマで行きますOFF会#19
〜西蔵王公園でまったり〜
2020年10月31日(土)
9:00〜夕方まで
山形県山形市中桜田1962(付近の駐車場)
入退場自由、参加費無料
※荒天の場合中止いたします
ご持参いただきたいもの
◦元気なあなた
◦感染予防のためのマスクなど
◦ご自分の座るイス
◦水分と日焼け対策と昼食
◦寛容な心と気持ちの余裕
総走行距離
プン太郎 76,316km(先月比+701km)
ロドっち 37,502km(先月比+979km)
今月の2台
プン太郎は本当にNo News is Good Newsというヤツで、12月の車検に備えて予備検査をしなければ……レベルの話題しかない。軽量フライホイールへの交換とかバケットシートの導入などの妄想はあるものの、「車検」の2文字の前では霞んでしまう。
ロドっちのオーディオユニットにiPod接続用の中継ケーブルを増設した。使い勝手や有線接続の音質については別途レポートをエントリーする予定なので、そちらを参照いただきたい。
残念ながら小雨が降っており、せっかくのロドっちも屋根をかけたまま。伊豆沼の先、石越を経て一関市・花泉に至る。カフェメシ目的ですっかりおなじみのK183とJR清水原駅を経て、郊外の整備された道路を一関市街地へ向かう。
■往路区分2 一関市から奥州市江刺南大通りの分岐点まで
一関市内でK14に乗る。何度走ってもこのK14は素晴らしい。まず道路が素晴らしい。もちろん舗装状況は良い。その上で道幅にもアップダウンにもバリエーションがある。沿道の旧家の佇まいが良い。そもそも交通量が少ない。高台では広大な田園風景を楽しめる。奥州市郊外の喧騒に到達するまでは、ずぅっとこういう調子なのだ。極楽である。
■往路区分3 人首町を経由して遠野へ
かつてEDO MT Session#11(2016)で遠野へ向かった際に初めて走った人首(ひとかべ)集落をぜひ再び走りたかったのだが、今回満願成就である。それだけでなくこの奥州市R456から人首までのK8が望外の美しさ。さらにK8から分岐したK27、続くR107の野趣溢れる景色も素晴らしい。岩手県の懐深さを思い知る。
時は10:30。R283に合流して桜並木を走り抜ければそこはもう遠野。おみやげネタなど確認のために遠野市内の道の駅風の丘へ立ち寄る。なんと令和3年までかかる改装工事の真っ最中で、プレハブの仮設店舗内は大賑わいである。ジェラート屋でなぜかたいやきを食べる。このたいやきが望外の出来で、徹頭徹尾あんこが充満していることはもちろん、焼いた時にできる羽もそのまま。大満足の一尾であった。
いよいよ今回のツーリングの本丸、JR遠野駅前に向かう。週末の遠野市内は人出もクルマもまばら。駅前の駐車場にロドっちを停め、さっそくそぞろに歩いてみる。
■遠野街歩き
遠野一泊プランで心配だったのは宿泊場所である。ビジネスホテルもあるが、遠野は元祖民話の里である。ここはやはり旅館や民宿に泊まるべきであろう。その手の宿泊施設が、駅前だけでもゴロゴロ存在しており安心した。Googleの各種サービスだけでは建物の寂れ具合や立地周囲の環境など、宿決めの重要なポイントのホントのところはやはりわからないものだ。
それにしても遠野駅前、味わい深い街並みだ。これまでEDO Sessionで、遠野通のあにまる君に案内してもらい郊外のビューポイント(山口の水車とか中村のお堂とか)ばかり訪れていたのだが、やはり現地の人々の生活に触れる体験もすべきだろう。
昼食のためのお店はすでに目星をつけていたので、足がなんとなくそちらへ向く。お店はすぐ見つかったが準備中の店主夫妻に確認するとランチ営業は11:30からだという。そこでさらに市街地を探検。立派な市役所の真向かいに「むかしから乃酒まん十」の文字を暖簾に染め抜いた、見るからに老舗の風格を漂わすお店を発見。入店してみる。
ご主人と思われる女性の対応もまん十の味も極上であった。「遠野をぶらぶら歩くのは初めてなんです」と言うと「遠野、いい町ですよぉ」とご主人。この一言だけで一泊じゃなく二泊にしようという気になってくる。
■たくみで昼食
そんなやりとりをしていたら11:30になった。「パブ&レストランたくみ」へ赴く。4種あるランチから和風ハンバーグ定食を選択。
サービス精神溢れる一皿だった。ぜひ夜にも来てレギュラーメニューからいろいろ選んでみたい。
■復路
4時間越えの運転と市街地うろうろで疲れてしまった。翌日以降の予定を鑑み退散を決定。遠野駅に戻る。駅前には観光協会の施設「旅の蔵遠野」があり、立ち寄っておみやげを購入。隣接する駅前駐車場からロドっちを出す。ガソリン残量が少々不安だったのでR283沿い、泉商事株式会社が運営するガススタンド出光昭和シェル遠野バイパスSS に立ち寄り給油。遠野ICからE46釜石自動車道に乗り、そのままE4東北自動車道へ。さすがに泉ICまで行ってしまってはもったいないので古川ICで降り、K156などで大郷町、大和町を目指す。16:00には帰宅できた。
■調査結果報告
遠野、本当に良い街だった。来週にでも一泊ツーリングに出かけたいくらいだが、現実には10月も11月もいろいろと予定が立て込んでいる。雪深さでは定評のある遠野、11月も後半になればその意味でロドっちにもプン太郎にもやや荷が重い(ロドっちなんかスタッドレスタイヤもない)。どうやら遠野一泊ツーリングは年明け、それも春以降になるだろう。そう、2020年のツーリングテーマだった「岩手探訪」はキャリーオーバー、2021年も岩手の魅力を探る1年になる。
■おまけ
観光協会のお土産コーナーで売っていた絵本。京極夏彦の「遠野物語remix」をベースに実力派絵本作家が絵を担当したシリーズの1冊。遠野物語では怪異について触れられているエピソードが多いが、はたこうしろうと組んだ「でんでらの」はその中でも群を抜いて怖いエピソード。GoogleMapでさっそく「でんでらの」を探してしまった。あるよ!ちゃんとでんでらの、残ってるよ!こわい!
きっかけはAペダル=スロットルの反応だった。以前プン太郎の無負荷時のスロットルレスポンスが悪いと愚痴ったことがある。もしフィアット グランデプント由来のアルファロメオ MiTo各車や、アバルト グランデプント/プントエヴォにお乗りの方は試してみてほしい。停車した状態でAペダルを煽ると、エンジンは1拍の間をおいて吹けあがる。この「1拍の間」が意外や長い。シフトダウン時のブリッピングなど、待っていられないYO!となること請け合いだ。一方NCロードスターことロドっちの反応はプン太郎と比べればずっと敏感だ。またAペダル踏み込みの量が同程度(あくまで感覚上の、だが)の状態で比べても、ロドっちの方が吹けが良い。
スロットルレスポンスだけの話ではなく、旋回挙動の作り方もそうだ。プン太郎と比べてロドっちは明らかに前輪の様子の描写が色濃い。かっこいい言い方をすると「物理の法則により忠実」な印象なのだ。どうです?クルマヘンタイとしては燃えますよね?しかし機械からのアシストが薄いということは、御せるかどうかは乗り手の腕次第ということでもある。そしてロドっちを運転するたびに、そのことはじわじわと身体で認識することになった。個人的な感想を言えば、プン太郎には楽をさせてもらっていたんだなぁということになる。
別にプン太郎を擁護するわけではないが、プン太郎の電子制御が手厚いからと言って、プン太郎がテキトーに走らせてもそれなりに走る安楽グルマと断ずるのは早計だ。加速・旋回・制動の3要素に介入する電子制御のバランスが良いことが大事で、そうであれば乗り手は安心して運転することができ、日常と安全マージンとの間の余剰部分(非日常領域)でクルマと遊ぶことができる。その意味ではプン太郎ことプントエヴォの余剰部分は十分厚みがあるし、バランスも高次元で取れているから(その世界に没入できれば)非常に楽しいクルマになっている。
まぁこのブログで今さら力んで言うことでもないか……(笑)。
恥ずかしながら、この1-2週間くらいで筆者はシフトチェンジがものすごく下手になった。プン太郎でもロドっちでもダメだ。シフトダウンにせよアップにせよ、シンクロに負担をかけずにシフトノブがゲートにすっと吸い込まれていくタイミングはいつか……ということを考え考えシフト操作をしていて、返ってぜんぜんうまく行かなくなってしまった。当然プン太郎とロドっちではタイミングがまったく異なるので、それも話をややこしくしている。いくらクルマ(の作り手)がうまく調律したところで、乗り手が下手だとそのクルマが持つ本来のポテンシャルを使いきってやれない。時々すべてがうまく行くこともある。すっと抜けすっと入る。きれいにエンジン回転数が合っている。思い出すだけでニヤけてしまう。
オーディオ裏をごそごそやっていたら、こんなものが……。
きっとモデルのトップレンジだったRHT(リトラクタブルハードトップ)モデルは、オーディオもBOSEの専用品が奢られていたのだろう。純正スピーカーシステムに汎用品を接続するのはかくもハードルが高い。
カプラーをひとつずつ抜き差しして、チェックしてみたらちゃんと左右が鳴った。カプラー部分の接触不良だったようだ。
ネットで検索すると、まずセンターコンソールを外さなければ(もしくはずらさなければ)フェイスパネルを固定しているねじにアクセスできないという記事ばかりである。なので筆者はまずセンターコンソールから作業し始めたのだが、結局それは徒労だった。ま、勉強したと思えば。
山形県金山町へ行ってきた。約1年前にプン太郎でふらりと訪ね、町全体の慎ましい佇まいがすっかり気に入ってしまった。休日の家人と再びぶらりとあの町を歩いてみたくなった。運転をシェアしたいので足は家人のシトロエン C3である。日帰りツーリングにぴったりの距離感でもある。
2019年10月の記録はこちら。
「プントエヴォで行く!真室川・金山で里の秋を堪能!」
往路は上記エントリーと同じ。宮城県側からR348で山形県尾花沢市へ抜ける。K28の赤倉温泉を経由してR47へ合流。最上町の雄大な景色を見ながら新庄市内へ入るが、早々にR47をはずれ、県道や脇道を中心に走り繁華街は避ける。
R47、長尾トンネルを抜けてすぐの名もなき農道を北上する。これまで2回通行止めを喰らった区間が無事に開通していて、さっそく初踏破区間を堪能する。幸先が良い。
首尾よくK312へ合流し、市街地の北側でK308に乗り換える。K308だってそれなりに主要道路ではあろうが、この日は幸いにしてマイペースで走ることができた。東北地方太平洋側の悪天候予想もどこ吹く風、この日の山形・最上エリアは好天。陽の光を浴びつつ走るK308は楽しい。
やがて南北に走るK35に合流する。あとはただ北上するだけで真室川町、そして金山町だ。昨年の訪問で「真室川町は食楽の町」という観光コピーを見つけた。そういうことならぜひ真室川町で昼ご飯を食べようじゃあないか。とギラギラした目でおいしいもの屋さんを探すのだが、意外と見つからないものだ。定休日のお店も多い(週末なのになぁ)。このまま金山町へ行ってしまうか?と、思い始めたその時、家人が街はずれで温泉マークのついた「梅里苑」なる看板を発見。温泉なら食事処もあるだろう。いざ。
梅里苑にはそば屋さんともうひとつ食堂があったが、どちらもピンとこない(筆者の病気にあまり好ましくないメニューが多かった)。温泉は魅力的だがここで入浴などしようものなら長時間の昼寝は必至。真室川くんだりまで来て昼寝をして帰るのはある意味では非常に贅沢な時間の使い方だが、当初の目論見とは大幅に異なる。ということで次回温泉狙いでの再訪を誓い、昼食をペンディングにしてさらに北上し、金山町を目指す。
相変わらず盆地の眺めが素晴らしい。しかも時は稲刈り直前、ゴールデンハーベストである。地面の金色と遠くの山の濃い緑のコントラスト。R13に合流してしばし北上し、金山町役場脇の駐車場へC3を停めることができた。さっそくぶらぶらと歩きだす。
時刻はほぼ正午なのだが、あまり深刻な空腹ではない。交流施設「マルコの蔵」で写真展を見たり、露店で販売している塩ゆで落花生を購入して食べたりしながら大通りを歩く(この塩ゆで落花生が望外の美味!)。
さて金山町、週末の休日だというのにのれんをしまっている店もあり、昨年同様選択肢は多くない。冒険して「蔵カフェ」なるシャレオツなお店に入店してもみたが、満席で30-60分待ちだという。さすがにそんなに待っていられないので、カフェを辞して大通りを時計回りに歩き、前回と同じく青柳鮮魚店が営む「食い処青柳」へ入店。
一新されていたランチメニューから筆者は豚丼、家人は親子丼をオーダー。鮮魚店営業の店なのに……(笑)。ちなみに新メニュー表に載ってはいないが、昨年筆者が食べた1,000円のうな丼も健在だった。
優等生的潰瘍性大腸炎の患者にとって、豚丼もうな丼もタブー中のタブーである。不良患者であるところの筆者は豚丼を食べる。こうなると人生観の問題になってくる。ひとつ言えることは、青柳の豚丼はおいしかったということだ。
青柳をあとにして、再び七日町通りというメインストリートに立つ。後から知ったが、金山町では住居・店舗の新築・改装に対する助成金制度があり、また古くからの金山住居スタイル(間取りや外観)を踏襲した建築物のコンクールを長年続けている。ぶらぶらと町中を歩いて統一感ある景観にうっとりできるのも、その成果あってのことなのだ。
歩を進めて先刻満員で入れなかった「蔵カフェ」へ。満腹だがデザートくらいは……。再訪すると今度は席が空いており、奥に案内される。この蔵カフェ、巨大な蔵のリノベーション物件で、居心地の良いカフェスペースへ至るまでの三和土部分を歩くのも楽しい。カフェのテーブルにつくと室内は敢えて暗めに設えられており、天井の梁などが作る陰影が美しい。筆者は満腹だったので自家製プリンを単品でオーダー。家人はシフォンケーキのセット(お茶が付く)。どちらもとてもおいしい。カフェにしては珍しく、キャッシュオンデリバリー(というか、完全前払い)だった。
平らげると時刻は14時を回っており、のんびり帰るならそろそろ帰路につかねばならない。昨年はR13を北上し、秋田県入り、そして雄勝からK51で栗駒へ抜けて帰ったのだが、当然新規開拓を狙う。なんとかR13を避けつつ南下してR48で仙台へ戻ろうと画策。頼りはK120。かなり行き当たりばったりのコース取りとなったが、この日の帰路は大勝利だった。
K120とコンビネーションを組んで山道ワインディング県道も狙っていたが、通行止めになっている山道区間が多い。結果的にR13を走らざるを得ない区間も一部あったが、そのR13は自動車専用道路の方ではなく当然旧道である。で、これがまた味わい深い。福島のR115や宮城県のR398と同様に、旧道になってしまうことで交通量が減る上に景観もほどよく寂れ、筆者のようなヘンタイには極上の田舎道路となるのだ。K120も風情は同様。眼福だらけの帰り道になった。この事態を予想して、帰路は全編筆者が運転してしまった。いやー、楽しい。
宮城県へ戻ってくると熊ヶ根辺りでもう大渋滞になっている(熊ヶ根は仙台市街地から遥かに山寄りの、仙台のはずれである)。R48から早々に裏道へ離脱し、ライトな田舎道をのんびり帰宅した。
あまりに金山町の風情が良すぎて、帰宅後家人と競うように金山町を調べてしまった。家人など金山町の都市計画に関わった建築家の事例本を図書館から借りてきたほどだ(筆者も貪るように読んでいる)。公式サイトをつらつらと見ていると、金山町では移住者を大募集中なのだった。さすがに昨今のコロナウィルス騒ぎで受け付けをいったん中止しているが。定年を迎えたら金山町に小さい家でも買って(借りて)、1年のうち数か月は金山町民になるプラン、どうにか実現できないだろうか。その時は例のジープ チェロキー、やっぱり買うしかないな。乗用車ベースのなんちゃってヨンクでは、金山の雪には打ち勝てまい。そんな妄想が止まらない。ありがとう!金山町!
5月に無念の延期を決めた恒例の山形OFF会を、10月にリベンジ開催。
クルマで行きますOFF会#19
〜西蔵王公園でまったり〜
2020年10月31日(土)
9:00〜夕方まで
山形県山形市中桜田1962(付近の駐車場)
入退場自由、参加費無料
※荒天の場合中止いたします
ご持参いただきたいもの(一部改定)
◦元気なあなた
◦感染予防のためのマスクなど
◦ご自分の座るイス
◦水分と日焼け対策と昼食
◦寛容な心と気持ちの余裕
※
前回の予告では「自慢のクルマ」でとご案内しておりましたが、当日乗り付けるクルマはなんでもいーです。「愛車が不動車になっている」とか、「すごく遠いところに置いていてすぐに持って来られない」とか、ごく一部にごく特殊な事情を抱えていて、愛車で現地に来ることができない参加希望者の方もいるでしょう。「わナンバーじゃ恥ずかしくて…」なんて思う必要はありません。
このエントリーを偶然見かけたクルマ好きのあなた。普段はリミッターを何重にもかけてがまんしている「クルマの話」を思い切りしてみませんか?姿かたちのことからメカニックのことまで、様々な話題が飛び交うクルマ好きの集まりです。女性の参加者もいますし、今回は現役高校生も参加予定。クルマが好きなら老若男女誰でも大歓迎です。
そして今回も参加されるつもりの常連のみなさん、いつもありがとうございます。どうか当日が晴れるよう祈っていてください。一応過去5年間くらいの天気を調べた上でこの日に決定したのですが、5月の第三土曜日のような特異日ではないようなので……。
コメント欄を解放しておきますが、参加表明はご自由にどうぞ。表明なしに当日突然参加でももちろんOK。表明してたけど拠ん所ない事情でドタキャンももちろんOK。とにかくクルマが好きならなんでもいーのです。
総走行距離
プン太郎 75,615km(先月比+944km)
ロドっち 36,523km(先月比+522km)
今月の2台
とうとうそれぞれの月間走行距離が1,000kmを割ってしまった。実は9月前半から職場に復帰し、好きな時に走りに行ける環境ではなくなってしまった。致し方なし。その割に双方足して1,466kmとそこそこ距離を稼げていたのは、福島や盛岡案件などがあったからだろう。
ロドっちのオープンエア対策
オープン時の風の巻き込みが少ないNCロードスターではあるが、皆無というわけではない。1時間も(オープンで)走っていると、風に煽られ続けた髪の毛と頭の皮膚が、まるでカツラを被っているかのような「別物感」を醸し出すのである。説明が下手でもうしわけない。意外性もへったくれもないが、その対策としてニットキャップを購入した。
たいへん具合がいいです。
筆者が所有する2台のクルマ、アバルト プントエヴォとマツダ ロードスターの旋回挙動の違いについて、前回は駆動方式とパワーステアリングの制御方式の違いに大きく影響されているのではないか、と推測した。前輪駆動と後輪駆動、電子制御アシストと油圧アシストの違いである。さらに軸距とトラック幅(トレッド)の比率差の違いも大きいのでは?という有益なコメントもいただいた。なるほど自動車の旋回という動作には、たくさんの要素が複雑に絡まりあっているのだなぁとあらためて認識した次第。
そのたくさんの要素の中に筆者が見落としていた肝心な要素がひとつあった。それはタイヤの空気圧である。ロドっちのパワステ、いくら油圧だからとは言え、あのねっとり具合はちょっと大げさすぎないか?とかねがね思っていた。乗り始めた頃はそのねっとり具合を「さっすが油圧!油圧サイコー!」と、知能指数だいぶ低めの感想として垂れ流していたのだがどうもおかしい。特に0-10km/h範囲のごく低速域のハンドルの重さと言ったらない。相当速度を上げないとつり合わないのだ。そこでプン太郎のトランクに積みっぱなしだったエーモン工業の空気圧ゲージを取り出し、ロドっちの4本のタイヤの空気圧を測ってみた。
前輪:1.7bar / 後輪:2.2bar
なっ!!!!
ちなみにマツダの指定値は前後輪とも2.0barである。「そりゃあ前輪の反応がねっとりしてても当然だわな」という数値であった。そこで前輪の反応をライトにすべく「前輪:2.2bar / 後輪:2.0bar」にセットしなおした。で、走りに行く。
おお!全然違う。自宅前の路地を曲がるところからもう違う。日常でもっとも使用頻度が高い40-60km/hくらいの速度域での違いが嬉しい。前輪の動作情報がより速く手のひらに伝わってくる実感がある。従ってハンドルを切る身体動作と旋回挙動の一体感がより強いものになる。素晴らしい。もっとも路面のアンジュレーションを余すところなく伝えてくるという弊害もあるにはある。走りなれた道路の、「あれ、ここってこんなに路面が荒れていたんだ」のような発見がある。それは自分の知る範囲ではスプリングのばね定数を上げたかのような変化だ。ローダウンスプリングを組んだ時の印象に似ている。かなり如実に数値を変えたとは言え、タイヤ空気圧だけでこんなに乗り心地や挙動反応に変化が現れるものなのだ。タイヤの選択と併せて、実に奥深い。
それにしても、タイヤ空気圧のチェックをせずに挙動のあれこれを云々するなど完全に素人の所業ではないか。恥。しかし前回パワーステアリング周りの印象についてあのように書いてしまった以上、このことは書かねばならない。そしてこういう状況になって初めて前荷重移動についても考えることができるのだ。また出直しである。
【余談】
しかし前1.7の後2.2なんて極端なセッティング、誰がどーして……??と考えてハタと気づいた。前オーナーProfumo姐さんが売却寸前にドリフト教室にロドっちを持ち込んでいた。ヌレヌレ路面を定常円旋回で手っ取り早く後ろを流したいなら、このセッティングは納得できる。とは言えブログにそんな記述があったかなぁ。あのエントリーは何回か読み直したんだがまったく記憶にない。そもそも姐さんがあのセッティングに変えたと決めつけて書くのは良くない(書いてるけど)。いずれ自分で定常円旋回訓練をする時、また空気圧を調整してみよう。
あまり厳密にではないが、プン太郎とロドっちを1週間ごとにコンバートしている。「今週はロドっちかぁ、よろしくね」という風情で実に贅沢な気分だ。乗り換えるたびに痛感するのだが、プン太郎、ロドっちではそのキャラクターが正反対と言ってもよいくらい違う。FFとFR、ターボ過給と自然吸気、クローズドとオープンなどなど。しかしそんな両者の差異の中でも、昨今特に注目したいのが旋回挙動だ。それには駆動方式の違い、パワーステアリング機構の違いが不可分に複雑に絡まりあっている。
筆者が乗り比べて考えるに、旋回挙動の違いには一義的に駆動方式の方が大きく影響しているように思う。FFのプン太郎の場合、曲がる力はもっぱらタイヤの接地能力頼りである。舵角を決めていく時、タイヤがちゃんと路面を掴んでいるかどうかだけを気取ればよい。そうやって右に左に曲がっていくと、結果としてプン太郎の旋回動作は粘っこい。一方FRのロドっちは旋回初期にちゃんと前輪に荷重をかけられるかどうかがカギだ。荷重が足りないと舵角は唐突に、段階的についてしまう印象がある。カクッと曲がる。わかっていても少し怖い挙動だ。
307SW、MiTo、プン太郎とFF車両に20年近く乗り続けてきた筆者なので、旋回初期に前荷重、これ鉄則!みたいなのが身についていない。その意味ではFF車両は曲がりやすいとは言えるかもしれない。反面、荷重を担保してやって旋回動作をこなすロドっちは軽くて爽やかだ。実際にはプン太郎とロドっちの車重はほぼ同じなのだがそう感じてしまうのだ。同じコーナーを曲がる時でも、プン太郎で旋回する時に比べ、まるでコーナーが一回り小さくなったかのように感じる。特に脱出が速い。
そんな旋回動作を作る時に重要なのがハンドルを経由した路面とタイヤ情報で、それらが生々しく伝わるのはやはりロドっちが油圧式パワステだからだろう。こう言っちゃナンだが、プン太郎とロドっちのハンドル経由の情報はシンプルなクロッキーと油絵くらいの違いがある。プン太郎は前述のような旋回挙動構築なので、クロッキーでもそれほど不便や恐怖を感じることはないけれど。
ただ病気で筋肉の落ちてしまった筆者にとって、ロドっちの油圧式パワステはとても重い。タイヤ選択も影響していると思うが、狭い交差点、一時停止後の動き出しなど「えいやっ!」という気分である。それでも油圧式の方がいい……よなぁやっぱり。
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クルマで行きますOFF会#19
〜西蔵王公園でまったり〜
2020年10月31日(土)
9:00〜夕方まで
山形県山形市中桜田1962(付近の駐車場)
入退場自由、参加費無料
※荒天の場合中止いたします
ご持参いただきたいもの
◦自慢のクルマ
◦元気なあなた
◦感染予防のためのマスクなど
◦ご自分の座るイス
◦水分と日焼け対策と昼食
◦寛容な心と気持ちの余裕
まずは開催告知を。参加表明などはまた1ヶ月前を目処に承りますので、本エントリーではコメント受け付け機能をOFFにさせていただきます。
このOFF会は例によってイベントらしいイベントはありません。クルマ好きの集まりなのに、パレードランなどはありません。各自の愛車を目の前にして、ゆったり参加者同士でおしゃべりを楽しむ機会にしたいと思っています。常連さんはもちろんのこと、クルマが好きで同好の士と敬意あるおしゃべりを楽しめる方なら誰でも歓迎です。たまたま会場を通りかかって「これ、なにやってるんですか?」と火中の栗を拾い、いまでは常連になってしまった方もいらっしゃいます。飛び入り参加、大歓迎です。参加のご検討をよろしくお願いいたします。
※
このOFF会は、本来2020年5月25日(土)に開催する予定でした。コロナウィルスへの対応策が今ほど確立されておらず、また主催者である筆者の体調不良などが重なり延期していたものです。あれから時間が経っても、COVID-19への対応によって開催のハードルは高いままですが、対策をしっかり取り安心・安全を念頭において楽しみましょう!
JUGEMテーマ:ABARTH
総走行距離
プン太郎 74,671km(先月比+1,023km)
ロドっち 36,001km(先月比+1,462km)
今月の2台
賃借駐車場が家から遠い。わかっちゃいたけどやっぱりねという感じだ。オープンには酷な猛暑だったことも関係はしているものの、8月の上旬、ロドっちは2週間近く不動だった。ロドっちの将来(息子が県外に就職して乗っていく)を考えると、今ここでオヤジが距離を一生懸命稼がなくても良いのだが、このアンバランス状態は筆者としては気持ち悪い。やっぱり両車平等に!! そこで家の駐車スペースを1週間単位で停め分けることにした。
それってここ1週間の話なんで(笑)、このレポートにおける2台の走行距離にはあんまり関係ない。ロドっちの方が走行距離が多いのは宇都宮一泊ツーリングがあったからだろう。プン太郎の走行距離数が減ったのはそのあおりか。参考までに2019年7-8月のプン太郎の走行距離は1,319km。もちろんプン太郎「しか」我が家にはいない頃の話だから単純に比較はできないが。さらに単純に足し算すれば筆者の2020年7-8月の走行距離数は2,485km。これはかなり走った部類である。
伊豆沼の先で栗原市石越に至れば県境は目と鼻の先。上掲定点観測地点から一関市入り。岩手県K183を北東へ進む。とにかく田んぼと住宅、わずかなお店しか沿道には無いうえに、まんまるやも大々的な看板などを出しているわけでもなく、初めて来た時は通り過ぎてしまった。今回はもちろんそんなヘマはせず11:10に到着。
意気揚々と入店し、3人連れの早着である旨を告げる。ランチセットの飲み物を先に出してもらう形で「豆乳ラテ(アイス)」をいただく……と思ったらOさん、Aさんが到着。やーやー、久しぶり。早速だけどランチメニューを発注しましょうよ。
相変わらずおいしい。若い店主ご夫妻の接客も気持ち良いし、築70年の古民家を改装したという店内も居心地がとてもいい。まんまるやを満喫して場所を移し、Aさんの新しい作業場を見せていただく。
現場でおふたりとの会話を堪能し帰路に着く。当日は夜にもうひとつ予定があり、体力温存の意味では一関ICからE4東北自動車道へ乗るコースしかあり得ない。だが岩手県西部の美麗県道に食指が動く。当日は晩夏らしい晴れ間が広がっており、こんな良い天気の日にロードスターでK240やK49を走ったらさぞ気持ちよかろう……という思いを捨て切れない。結局一関ICを横目に見ながらスルーしてしまい、厳美渓から南下するK240に突入。案の定目に楽しく、腕と腰と足に楽しい道行きとなった。ロードスターのシートは歴代酷いという記事を見かけたが、やっぱり適当なバケットシートに交換するのが吉だろうか。
宮城県境のR457から分岐する広域農道は初踏破。だがわくわくの到達地点は見慣れた栗原市岩ヶ崎だった……。細倉方面から岩出山へ抜けるプランも一瞬頭をよぎったが、無理をしないことにしてR4へ抜け金成ICからE4へ乗る。病身ゆえの安全策とは言えつまらない。
猛暑で家に引き篭もっているうちに早朝散歩などで付けてきた体力が元に戻ってしまったらしく、すぐに疲れる。これではいかん。昼間、旧知の仲間と昼ご飯を食べながらあれこれ話す、そのために出かけるというあたりが、今の自分には相応しい。OさんAさん、ありがとうございました。
話せば長くなるが、5月冒頭から5週間入院していた筆者は、期間内の4週間に渡る絶食によって想定外の減量をしてしまい、体中の筋肉が必要最低限しか残っていない。わー!痩せていいね!! と色々な人から言われるし、まぁ痩せたことによるメリットもあるにはあるのだが、家の階段を上るだけで息切れとか、今まで持てていた荷物が持てないとか、そういう日常は不便以外の何ものでもない。で、自動車の運転も然りである。ロドっちは今どき嬉しい油圧式パワーステアリング。前輪の動作状況の描写はプン太郎と比べても非常に色濃く、大歓迎の装備であるはずなのだが、ミイラのように痩せ衰えた(いや、マジで)両腕にはいささか過負荷である。あー、筋トレしなきゃなぁ……と天を仰いでいたのだが、どうも問題は筋力の衰えばかりではないらしい。
ハンドルのどの位置を握るか。これは運転がうまい人でも簡単に正解を提示できない問題ではなかろうか。筆者の暫定解としては「自動車メーカーごとに信念が異なるので、これという正解はない」である。が、おおよそ10時10分か9時15分のどちらかで解決するように思う。10時10分と9時15分では旋回時の腕の動かし方が異なっていて、
10時10分
?旋回内側の腕でハンドルを引き下ろす。?外側の腕は持ち上げて助勢する。
9時15分
?旋回外側の腕でハンドルを持ち上げる。?内側の腕は引き下げて助勢する。
と、正反対の動作となる。これまで筆者が体験してきた欧州小型ー中型車は、軒並み10時10分の旋回内側引き下ろしでOKだった。そんな経緯から、ロドっちも10時10分握りでアプローチしてきたのだが、前述したような筋力の衰えだけがしっくりこない原因ではなかった。ロドっちことNCロードスターのハンドルは9時15分で握り、然るべき操作をしてやればしっくりくる。そのことに気が付いてみれば、そもそもハンドルの形状もそうなっている。10時10分には申し訳程度のサムレストがあるだけだし、9時と3時(15分)の位置でリムと接合するT字のハンドルスポークには、ちょうど手の平がフィットするように丸みが付けられている。
そのことに気付いて以来、ロドっちの旋回挙動は薄皮を剥いだようにシャープになった。いや、すんません、筆者が無知・ヘタクソだっただけでロドっちには罪はない。パワーステアリングの反力もむしろ有り得べきというか、これなら納得!なフィット具合となり、また一段階ロドっちとの距離が縮まった。こうなるとクラッチとシフトワークの関係だとか、制動制御の奥義とかいろいろありそうではある。ロードスター、運転手が頭を使わなければならない余地がちゃんとある。この運転手が能動的になって初めてクルマの実態がわかるというのは、良い自動車である条件のひとつではないだろうか。
栃木県宇都宮市に行ってきた。我が家の長男とふたりでロードスター男ふたり旅である。宇都宮と言えば「肉の万世宇都宮インター店」、そして「道の駅ろまんちっく村」である。あの時は楽しかった。
「うちのBeetleお披露目オフ in 宇都宮」参加レポート
8月初頭、オープンで走ってもまだギリギリ耐えられる気温と紫外線量(今年もヘンな夏だ)。早朝にE4東北自動車道へ仙台宮城ICから乗る。風の巻き込みは最小限、高速での直進運転は安楽、NCロードスターは本当に優秀なクルマだ。こういうプロダクツをこそ「世界レベル」と言ってほしい。そんなことを考えていたら福島県は安達太良SAへ到着。朝ご飯の時間だ。
今度はみそ汁をこぼすこともなく(上記リンク記事参照)無事満腹に。あとはノンストップで、まずは道の駅ろまんちっく村を目指す。9時半頃に到着すると、なにやら見目麗しい楽しそうなクルマがたくさんいた。
果てしないヘンタイトークが炸裂。時間はあっという間に流れ去り昼食の時間に。せっかくだからみんなでご飯でも……。筆者の熱が伝わったのか、その場の(ほぼ)全員で肉の万世に繰り出すことに。クルマの話をしながらハンバーグを食べられるなんて至福じゃないですか。
この日ろまんちっく村周辺の気温は30度を超えていたはず。おいしいハンバーグを食べたあとも、あまりにも店内が快適だったので誰も席を立たず(笑)。灼熱のろまんちっく村駐車場に戻り、解散後も呼びかけに応じた有志で栃木県県民の森方面の極上ワインディングを走破することに。この県民の森とそこまでに至る県道がとても素晴らしい道だったが、ピンポイントで土砂降りの雨に祟られた。でもおかげでFR初心者の筆者でもかろうじてついていけるペースにはなったのではないか。大変楽しい体験だった。
さて病み上がりの筆者、ここまで盛りだくさんな1日を過ごして、日帰りで再び高速道路を3時間強走り切るのはなかなかの荒行である。そこで宇都宮市内に宿を取り一泊することにしていた。ホテルはJR東日本ホテルメッツ宇都宮である。過剰に期待せずにチェックインしたのだが、ホテルマンの対応といい設備といい、筆者としてはアタリに属するホテルだった。恐らく開業から、あるいは改装からあまり時間が経っていないのだろう。いろいろと新しい感じがした。宿泊者用の無料ラウンジも快適だった。朝食以外には難点は見つけられない。
翌日、できれば宇都宮市内の観光なども楽しもうとは思ったが、長男とふたりでうろついて楽しいスポットをとうとう見つけられず。盛大な寄り道も一泊する理由を鑑みればあまり得策ではなく、おとなしく仙台へストレートに帰ることにした。E4に上河内SAからETC乗り。帰路唯一の楽しみは安達太良SA以外のナイス食堂SAを探すことだ。今回の昼食は那須高原SAに決定。
おいしゅうございました。宇都宮餃子のお土産なども購入済。大手を振って仙台へ帰着。楽しい二日間だった。
それなりの長距離を走破し、ロードスターの底力を再確認。ワインディングでの走行性能の正確性だけでなく、長距離を走っても疲労少なめという、地力の高さを図らずも痛感することになった。さくっと一泊を絡めたこういうツーリング、今後の定番になりそうでコワイ(主に支出面で)。
無秩序に走り回ったので、テキストだけでご案内する自信がない。My Tracks.appでGPSトラッキングした地図で示した方がわかりやすいだろう。今回のツーリングを大まかに切り分けるなら
1. 大和町ー大崎市古川清水沢
2. K166から発作的に左折した農道からR4まで
3. R4から分岐して西進、K59、K17を経由して岩出山町まで
4. 岩出山町、R47からR457への田舎道
1. 大和町ー大崎市古川清水沢
仙台市北限のR457上から地図内にルーティングしている。R457を北上し「ひまわりの丘」へ右折するタイミングが一見さんにはわかりにくい……というか、まずどこで曲がるべきかわからないだろう。さもない生活道路なのだ。筆者も何度も間違いを重ね今がある。
ひまわりの丘周辺の農業用道路が本当に素晴らしい。少し標高が高い場所では西に船形連峰を見晴かすことができるし、そもそも道路が見通しの良いワインディングなのだ(周囲が田んぼだから)。
その区間を抜けるともう少し整備されたK158を北上する。ペースの遅いクルマも多いが、やはり見通しと眺望が魅力の田んぼの中の1本道である。この日は曇天。いつもは見える栗駒山もまったく見えず。残念。
K158はR347をまたいでR47にぶつかる。E4古川IC方向へ右折しラブホ街を抜け江合川を渡る。そこはK59である。長者原や細倉方面に抜ける際にいつも世話になっている反面新鮮味は薄い。そこで今回は大崎市古川清水沢でK166へ右折東進。実はガソリン残量が心もとないので、すぐにサービスステーションが見つけられるR4方面を目指す。都会育ちの方ならこの最初の区間だけでも田舎満喫、お腹いっぱいになるだろう。だがこれは序章である。
2. K166から発作的に左折した農道からR4まで
K166を直進すればR4に乗れることはわかっているので、ほんの出来心で適当な農道へ左折、これがこの日最初の未踏破区間。民家が一軒もない田んぼの中の農道をひとりでふらふら走る。この頃から天気が回復してきて部分的に青空が出てくる。その代わり気温も上がってくる。
しかしこの農道、プン太郎の鼻先は西を向いているようだ。R4から離れてるじゃん!ちょっとちょっとぉー。しかもトイレに行きたい……。と、なんとなく心細くなってきたところに誂えたように駐車場とトイレが!渡りに船。栗原市新堤自然公園というらしい。
色々リセットできた。改めてR4を方向へ走り、すぐにR4に合流できた。
3. R4から分岐して西進、K59、K17を経由して岩出山町まで
R4を北上して間もなく、野口石油株式会社運営によるコスモ石油高清水給油所に入店。ハイオクフルタンク。久しぶりに店員さんがあれこれやってくれる、すなわちセルフ給油じゃないSSに入ったなぁ。
給油さえしてしまえばR4に用はない。大きめの交差点から適当に左折西進して内陸部へ再び入っていく。少なくともGoogle Mapには路線名すら表示されない広域農道チックな道路を進んでいくと、お!E4東北自動車道じゃないですか。あの高架をくぐるトンネルの様子はなんとなく見覚えが……、もしや……、はい大当たり、K59でしたー。
と言っても残念な感じはせず。このK59は北上しても南下しても道沿いの景色が実に味わい深い。今回はとりあえず北上(でないと朝に分岐した清水沢にもどるだけだから)、K17にぶつかったところで観念。つまりK17で岩出山町へ抜け、おとなしく帰ることにする。でないと細倉だの花山だの、秋田や岩手との県境へまっしぐらだからだ。前述のとおりK59とK17は一時期頻繁に走っていた。K59との合流点から南下した場合「いつもの岩出山町」へ出るマンネリ感に嫌気を覚えて、特にK17は昨今避けていたのだった。久しぶりに走ると路面整備状況は良いし交通量も少ないのでマイペースで走れることに改めて気が付く。でもなぁ、岩出山町へ抜けてしまうとあとはR457しかないんだよなぁ……。
4. 岩出山町、R47からR457への田舎道
K17で岩出山町へ入るとまずはR108へ乗ることになる。適当なところで右折すれば町内、そしてR457という超マンネリコースが待っている。うーん。ちょっとした閃きでR108をそのまま東進する。すぐにそこはR47に名前を変える。R47から適当に右折すればR457にぶつかるはずだ。MiTo時代に同じようなことをして、宮城県農業大学校の農業試験場内の美しい道路を走った記憶がある。そこに出られればいいのだけど……という軽い気持ちでプン太郎を進める。大きな案内看板などは無いので結局試験場のあの道には進めなかったが、交通量の少ないこの日ふたつめの未踏破道路をマイペースで走る楽しみは存分に享受できた。この日のハイライトだったと言ってもいい。
R347を経て加美町でR457へ合流。あとはひたすら心にシャッターを降ろして車列に混じって帰路を急ぐのみである。
これだけ走って昼食は自宅で冷やし中華を作って食べるだけの時間的余裕がある。コロナ渦によって県境を跨ぐことに根拠の無い躊躇が混じるのだが、宮城県内だけでもまだまだ魅力的な未踏破区間がこれだけあるのだ。県南もあれこれ調査せねばなるまい。
JUGEMテーマ:ABARTH
alfa_manbowさんのホンダ S2000、kikuchiさんのAMG C43に当家のロードスターを加えた3台で、高畠町の極上ワインディングを疾走してきた。題して「屋根開きグルマの狂宴2020 in 高畠」。
そもそもどうしてこのプチオフ会が成立したのかというと……。なんでだっけ?Profumo姐さんのブログのコメント欄で話がまとまった気がするのだけど……。真相はこうだ。もともとacatsuki-studioとmanbowさんの間でS2000とプントエヴォ、FRとFFの乗り味の差異を検証したいという話があった。そこに当家長男の「いつかはBMW Z4乗りに!」宣言。そういうことなら似たようなパッケージのS2000に乗ってみる?というmanbowさんのありがたいお申し出。それが実現しないうちに当家にNCロードスターが登場、Profumo姐さんブログのコメント欄でS2000とロードスターの比較検証オフ会として改めて話題に。そこへC43のkikuchiさんがぜひ参加したい!と名乗りを上げてくださった次第。そんな流れから当家長男も参加。オフ会デビューである。そもそもロードスターの共同所有者でもあるので。
屋根開きグルマの狂宴2020 in 高畠
2020年7月24日(金・祝)
宮城県七ケ宿町 道の駅しちかしゅく
当日はまさかのピーカン。個人的に梅雨明けを宣言させていただいた。陽射しが出れば出たでオープンカーのミーティングにキビシイ天候とも言える。まったく勝手なものだ。
manbowさんが考えてくれた当日のメニューは以下のとおり。
●道の駅しちかしゅくからR113で山形県二井宿
●K268で上山方面へ向かい、途中から広域農道を走破
●ブドウマツタケラインへ合流→道の駅たかはたで休憩
●再びブドウマツタケラインで南下、米沢市街地「ピソリーノ」で昼食
久しぶりの「走るOFF会」である。いいね!
10:00集合だったがちょい早め到着を目指したacatsuki家は驚きの9:00到着。早過ぎ!! もっともmanbowさんが安定の30分前登場なのでそんなに退屈はしなかった(笑)。kikuchiさんも10:00前には登場。早速与太話が炸裂。
10:00少し過ぎには出発。まずは二井宿を目指す。連休二日目晴天のR113は交通量もそれなりに多く、ごく一般的なペースで二井宿入り。K268へ折れ、少し進んだあたりで先導のmanbowさんがおもむろに左折。本日のメインディッシュ、広域農道へ。
この広域農道が絶妙のワインディング。S2000、C43、ロードスターの順番で走ったのだが、ロールとピッチングを許しながらもS2000に食いついて行くC43に励まされ、ロードスターのエンジン回転数も上がりがち。自然に笑ってしまう。
K263から分岐する広域農道にて
manbowさんのコースメモ。
二井宿からの広域農道とはここだ!
その広域農道が合流する先は由緒正しいブドウマツタケラインで、合流後も愉快なワインディングが続く。暑いが夏空の下を3台のオープンカーでぶっ飛ばすなんて、愉快この上ない。小1時間のトリップを経て道の駅たかはたへ到着。休憩。
駐車場の一角、クルマの脇で与太話。これが暑い(笑)。汗ダラダラである。しかも空腹。話の腰を揉んで、いや折ってピソリーノ蹂躙を提案。さっそくブドウマツタケライン後半走破と相成った。
今回米沢市内に入ってからのコースも未体験のもので、いつものようにR13に合流せず、K1へ折れて新設された道の駅米沢の前へ出る。すぐそばの米沢中央ICからE13東北中央自動車道へ乗り北上、米沢北ICで降りると「ピッツァ&生パスタ ピソリーノ米沢北インター店」はすぐである。
ピソリーノは定額食べ放題・時間無制限のイタリアン。しかし夢中で飲み食いしていたのは最初の1時間くらいだろうか。気持ちは若いが身体的には年相応のメンバーが3/4を占めている現実が図らずも活写される結果となった。食べ終ってヒマになったそれぞれの口はそのまま果てしないヘンタイ与太話大会へ。オフ会の醍醐味である。
気が付くと店内が少し薄暗くなって……。すっかり曇天になってしまっただけでなく、時計は16時を回っている。ピソリーノ滞在時間としてはまだ短い方だが、帰路を考慮して解散することとした。店を出てみれば雨足が強くなってくるところ。結局仙台への帰路は雨中の旅となった。ロードスター組は田んぼの中の農道を縦横に走り高畠町内へ戻り、R113で七ケ宿町、白石市へ。白石ICからE4東北自動車道へ乗り最短時間コースで帰宅。実は翌日は仙台は朝から土砂降りで、まさにこのOFF会の日だけがピンポイントで晴天だったのだ!ミラクル。
alfa_manbowさん、例によってコース立案ありがとうございました。kikuchiさん、おみやげありがとうございました。おふたりとも初参加の長男を受け入れていただきこちらも感謝です。本人口数は少なかったですが相当楽しかったようです。本OFF会は当ブログ公式オフ会の番外編のつもりで計画してきたが、天候はもとより、コロナウィルス渦による社会情勢によっても中止する可能性があった。またそのような運営上の留意点の他に、昨今の豪雨災害の被災者の方々の心情を考慮すると、浮かれてオープンカーで走り回ってていいのか?という自問自答がなかったわけではない。だが様々な日常生活、経済活動を回すことも重要である。日本全体がお通夜のようになっていて良いわけがない。元気でいなければならない人はより元気になるべき……との考えから実施した。いろいろと考えねばならないことが多い昨今だが、この日の集まりは極上だった。このようなサプリメントが人生には必要である。
NCロードスターの前オーナーと現オーナーという立場でProfumo姐さんと繰り広げてきたこの往復書簡。最初から全4通と決めて始めたのだが、コメント欄に思った以上の反響をいただき、またそれらを受けて当初の設計図から微妙に逸脱した内容となった(それはある程度期待していたことでもあるのだが)。姐さんがぐうの音も出ない完璧な4回目を書いてくださったが、編集後記を書けという。改めて姐さんの4回目を読めばもはや付け足すことは何もないように思える。編集後記とはまた無茶ぶりな……と頭を抱えたが、たったひとつ、姐さんもコメント欄のヘンタイ諸氏も言及されていないあることに思い至った。そのことは、例えばアバルト プントエヴォとマツダ ロードスター双方の運転印象を比較した時にもキラーワードになるはずだ。良い機会でもある。本稿は往復書簡の編集後記ではなく、筆者所有の2台の印象比較記として書いてみる。
合計4通の往復書簡はこちら
その1 アバルトとマツダ、その走りの解釈の違い
その2 本家と火宅
その3 素直なクルマは物足りないか?
その4 ヘンタイに付ける薬なし
●驚きの運転姿勢
ロードスターに乗ってみて、運転してみて驚いたことは多い。まず着座したその瞬間に驚くのはその運転姿勢の自然さだ。そもそもマツダはオフセットのない運転姿勢を宣伝してきていたから、予想はできたし期待してもいた。それでも実際に自分の身体で体感すると「うわ!気持ち良い」と瞠目せざるを得ない。LHDのプン太郎に乗る筆者ですらそうなのだ。改めて運転環境の大切さを感じずにはいられない。
●ターボの有無
アルファロメオ MiToとアバルト プントエヴォ、筆者はフィアット製1.4リットルガソリンエンジンにシングルターボという組み合わせのクルマに都合11年乗っている。そこに2リットル自然吸気ガソリンエンジンのロードスターである。当家のNCロードスター RS RHTは電動ハードトップモデルということもあり、実はこの3台の車重は奇しくも1.2tと同一なのだ。加速動作の、あのターボの炸裂感がない分、ロードスターの加速はもっさり……と言っては大げさだが、少なくともそこが魅力とはならないだろうと漠然と想像していた。確かにターボの狂騒的な加速とは無縁だが、その分トルクの盛り上がりはクリーミーで、回転数とのリニア感はこれはこれでひとつの世界である。何よりの美点はレブリミットまでもりもりとそのトルク感が盛り上がり続けることだ。ダウンサイジングターボというパッケージでは、最後まで盛り上がり続けるこの感覚は絶対に体感できない。そのリニアなトルク特性の副次的な利点として、速度微調整が容易である点もまた嬉しい驚きであった。6MT中の1-5速はクロスレシオで、2,000rpm/5速からでも過不足ない加速動作を見せてくれる。4-5速での巡航時であっても5km/h、10km/hの加減速がやりやすいのだ。未経験ながら、限界走行時にこういう加速性能は役に立つのではないかと想像している。
●油圧式パワーステアリング
この点でも筆者は11年電子制御パワーステアリングの世界にいた。その間に唯一体験した油圧式EPSといえばあお師匠の亡きプジョー 206SW S16である。ロードスターのEPSはプジョーの味わいとはまた異なっていて、フロントタイヤの状況描写に専心するあまり、やや味わいが濃過ぎるように思う。はっきり言えば低速域でのフリクションはここまで強くなくて良い。ただし現個体にはブリジストン ポテンザの相当イイヤツが装着されており、そのせいもあるかもしれない。端的に言ってこのタイヤ、(ロードスターに対して)グリップ力が強過ぎる。直進優勢一辺倒かと思いきや浅い轍にも過敏に反応してしまう。油圧式だからこそタイヤの性格も必要以上に活写されてしまうのかもしれない。
●オープン
章立てして書くのも馬鹿馬鹿しい話だが、屋根が開くことの楽しさ、爽快さよ。逆立ちしたってプン太郎はこの点で敵わない。雨天のロードスター納車日、それでも雨のやんだ瞬間をついて屋根を開けてみた。当ブログの技術顧問、太郎君がかつて所有していたアルファロメオ 916スパイダーほどではなかったけど、やはりクローズド/オープンの違いは厳然とあって、当然オープン状態の方がすっきり爽やか、無農薬野菜的な雑味のなさをすぐに体感できた。筆者にとってのオープンの魅力とは、空気の匂いや音である。ロードスターを走らせているその場所の濃密な環境情報が運転席へ流れ込んでくること。運転環境や運動性能の基礎能力は、ロードスターはとても高い。だが風の匂いや鳥の鳴き声を楽しめるなら、敢えて速く走らなくても良いとすら思ってしまう。
まぁそういうわけです。どうしても新参車ロードスターを、その新鮮さから褒めちぎってしまうけれど、プン太郎の魅力は購入から1年半かけてこのブログに書き連ねてきたわけで、今さら公平さのために書き連ねても論点がぼやけるだけと思い敢えて書かなかった。簡単に言えばプン太郎……だけに限らずアバルト諸車の魅力とは、上に書いたロードスターの魅力の正反対とも言える。プントエヴォにしろ500にしろ、ベースとなっているプラットフォームやそこに構築された乗り味を、加速・旋回・制動の各要素を過剰に高めて、なんとかバランスさせているのがアバルトブランドの魅力であり、そのバランス感覚がアバルトマジックであり、その過剰さに弛緩してしまった人たちのことをProfumo姐さんはヘンタイと呼び、あまつさえ「ある種の不適合者」とまで書いた。
プン太郎とロードスターを比較する時、どうしてもロードスターの「真っ当さ」を強調せずにいられない。以前エントリーのどれかに書いたが、ロードスターは蒸留水である。不純物を極力排して誰でもその高い運動性能を楽しめるように意図されている。我々不適合者は、その高い意志と実現された澄んだ乗り味を評価しつつ、しかしアバルト車に戻っていく。特に筆者の場合、過剰な演出の車種で運転の面白味に気付いたクチなので、もはやそういう演出抜きでは「運転」が成り立たない。楽しめない。
演出過剰と知りつつもアバルト車へ戻ってしまうその心情の片隅に、他者(他車)を見下す心が含まれていることを筆者は否定しない。オレはアバルトのクルマに乗ってるんだぜ。自動車運転のストイックな求道者なんだぜ。その辺の改造車といっしょにするなよ。そういういやらしい歪んだ心が確実にある。敢えて書くが、これをお読みのヘンタイ諸氏、ある種の不適合者のみなさんも同様だ。アバルト諸車の過剰な演出の一端は、さらに言えば壊れやすいと言われてもイタリア車、フランス車、その他のエンスージアズムに溢れたクルマを選んでしまう心根は、そういう「選民意識」に裏支えされていると筆者は思っている。
NCロードスター RS RHTは良いクルマだ。志高い傑作車だ。万人に勧めることができる。しかし選民意識は満足させてくれない。アノニマスに埋もれることに我慢できない我々は、100万円の価格差を飲み込んでアバルト 124スパイダーを買う。「ある種の不適合者」、なんと本質を射た表現であることか。(了)←ホントに終わりです!
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すでに報告したとおり、筆者が退院してきて久しぶりにプン太郎を動かしてみたら、ほどなく右前足から不穏なガチャ音が発生し、調べてみたら純正スプリングが折れていたというのが前回までのお話。
実はこの件とは別に、この夏のメンテナンスメニューとしてタイミングベルト交換を考えていた。それはプン太郎のこれまでの人生(車生?)を考えるとむしろ必然なのではないか…と思えてくるのだ。スプリング破断時の報告エントリーから再掲してみよう。
プン太郎のこれまで
●2011年初年度登録
●2018年筆者購入。この時の総走行距離約25,000km
●2020年現在の総走行距離約72,000km
新車から7年で2万5千kmしか走っていないクルマを、その後の1年半で5万km近く走らせているわけだ。自動車の劣化を測るにはふたつの軸がある。ひとつは経過時間、もうひとつは距離だ。経過時間軸で考えるとプン太郎は9年オチなのだ。しかも優しく扱われたと思われる7年の直後に山だ!田んぼだ!の5万kmである。時間軸上で劣化が進んだ各部位に距離軸上の負荷がのしかかっているとみて間違いあるまい。
まぁそれでスプリングが折れるとは思わなかったが(笑)。
ということで左右フロントのスプリング、そしてタイミングベルトの交換のための(株)イデアルさんへの入院は、途中に休業日1日を挟んだ7月9日から16日の8日間に及んだ(だからロードスターに乗るしかなかったのだ。代車も辞退したし)。
左右サススプリング交換とタイミングベルト一式交換_73,349km
Fサススプリング左右交換
SPRING 50902164 30,800円(@15,400 *2)
NUT 55702313 220円(@110 *2)
NUT 55702312 4,200円(@2,100 *2)
NUT 12578321 400円(@200 *2)
技術料 24,000円
タイミングベルト一式交換(ウォーターポンプ・クーラント含む)
KIT 71771575 28,300円
PARAFUL UP 59059420 6,300円(@2,100 *3)
技術料 36,000円
ショートパーツ(ブレーキクリーナー、油脂類) 1,200円
消費税 13,142円
合計 144,562円
サービスフロントTさんに「なんとか15万円でおつりが出るようにしてぇ!」と泣いて頼んだのだが、さすがTさん、斜線であちこちの金額を訂正してくれたらしい。ありがとうございます。なにしろこの話を詰めている時は、NCロードスターの支払い問題の佳境で、財布の中身はてんやわんやだったのだ。いやー、よく買えたよな、ロードスター。
Tさんによると、交換したタイミングベルトはけっこう劣化していたらしい。筆者の読みは当たっていたわけだ。00年代以降のフィアット車の消耗品の耐久性は著しく向上した。筆者の実体験で「タイベル10万kmは大丈夫」と理解しているが、それは新車乗り出しで5年10万kmなら…ということであって、単純に「9年酷使されたゴムのベルト」と考えると、このタイミングで交換しておかねばいつやるの今でしょなのだ。ともあれこれで自宅から200km離れた場所で5,000rpm回すようなことがあっても安心だ。
実はもう1件、同じくゴム製品に関する点検をお願いしていた。足周りアッパーマウントやブッシュ類もタイベル同様劣化しているんじゃないか疑惑である。スプリング交換でフロント足周りをバラすついでに劣化具合の確認をお願いした。こちらは目立った劣化はなかったらしい。少し意外だが、いずれにしても今回の作業ではなく12月の車検で対応するつもりだったので、引き続き注視していきたい案件である。
さて、スプリングを交換したプン太郎の乗り味や如何に? 残念ながらその違いは筆者レベルでは感知できなかった。むしろロードスターとのテイストの違いを味わうのに一生懸命になってしまっていた。もう少し時間が経ったらプン太郎とロードスターの乗り味の違いをまとめておいた方が良いだろう。自分の備忘録として、レガシイとしてのマツダ ロードスターの記録として。
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その3:素直なクルマは物足りないか?
筆者はこれまで複数台の自動車を所有したことがなかったから、プン太郎にロードスターを加えることは一大事件だった。実際に2台持ち、8輪体制が実現してみると「どちらがメイン車種なのか」がけっこう大きな問題に感じられる。どちらがより大事な1台なのか、ということを明らかにする必要があるのか?という根本的な問いはともかく、このことをProfumo姐さんとは「本妻と愛人」に例えて思考してみた。「どっちが本妻?」と姐さんの返歌にあったので、まずはそのことを書いてみよう。
と、ここまで書いてはや数日。まったく筆が進まなくなってしまった。この話は難しい。自分で言いだしておいて……。それでも強引に書いてみよう。エヘン。本妻(正妻)と愛人の最大の違いは「刺激的なセックスができるか否か」である。クルマのブログで何を言いだすのか……と思う読者もおられると思うが、これは筆者にとって事実なのでそう書くしかない。究極の言い方をするなら、本妻とのセックスに飽きてきた時に男は愛人を作るのだ。ま、最近は「お手当て」なんて概念はそもそもなくて、付き合ってるだけらしいけれど。
そうは言っても、本妻になる女性はそもそも女性としてスペックが高い。男性が女性を本妻として選ぶ際の重要な条件というのがあって、それは「尊敬できること」である。同時に少しバカにしている部分も必要なのだが、圧倒的に尊敬できるかどうかの方が大事だ。そうじゃないと何十年も一緒に生活できない。ひとりの人間から尊敬される段階で、すでに人間としての位が高いと言える。逆に愛人は極端に言うと人間性は二の次で、身体の相性や容姿が最優先となる。物の本で読んだのだが、「商売女に試してみるようなことを、奥さんには決してやっちゃいけませんよ」というアドバイスがある。つまり、そういうことだ。別の言い方でこのことを言い直すとしたら、本妻と愛人では担える部分がはっきり違うということでもある。
幸いなことにプン太郎ことアバルト プントエヴォとマツダ ロードスターはキャラクターがまったく異なっていた。プン太郎にすでに1年半乗っているところにロードスターが新たに加わるわけだから、時系列で言えばプン太郎が本妻でロードスターが愛人と呼びたくなるのは人の常。だがしかし、前段で書いた本妻と愛人の定義に照らし合わせていくと、ちょっと微妙なことになる。
プン太郎は、とにかく実用車をバカっ速に仕立てるという意味では大成功の1台である。アバルトの諸車全般に渡ってそれは言える。まぁ辛口なことを言えば「商売の都合」が見え隠れするし、本当に速さや軽さを追求するという意味で尊敬に値するのは、ケイターハム スーパーセブンとかアリエル アトムじゃないかと思うのだが、それでも最低限の実用要素を残した上で、ブランドカラーをきちんと出しつつ、公道で楽しく運転できる落とし所としてアバルト諸車の存在意義は別に曇るわけではない。
一方でロードスターの美点は何か。これまでも書いてきたように、「走る・曲がる・止まる」の各要素に濁りもくすみも無いことだ。水道水ではなく蒸留水である。先のエントリーのコメント欄に元オーナーちょーななさんが、運転手の上手い/下手が如実に晒されるのがロードスターであると書きこまれている。普段運転するには「楽しい」の一言で明言できてしまうが、運転技術の鏡として見た時、ロードスターは非常にストイックな道具となる、らしい。まだそんな風に走ったことないけど。
ここまで読んでいただいた読者諸氏はもうお気付きだろう。購入・所有の時系列を忘れてクルマの性格だけで判断するなら、本妻=ロードスター、愛人=プン太郎ということになってしまうのだ。出過ぎたところがなく、それでいてクルマの諸要素のレベルは高く、しかも屋根が開くというキラーコンテンツも持っている。良家の出身で勉強もできてなかなかの企業に就職していて、しかも美人という趣。一方のプン太郎は実用車の要素は残しつつ、諸要素の体感上の機能をわざとらしく引き上げ、ひたすらファントゥドライブだけを狙ったニッチグルマである。こちらも例えるなら、巨乳でスタイルが良くて、その上多淫で移り気だが料理を作らせると意外やうまいという具合であろうか。まぁこの辺は筆者の妄想が入り込んでいるから、理想の愛人像は各自で補完していただきたい。
筆者はたまたま愛人体質のプン太郎と先に出会ってしまい、本妻的性格のロードスターの乗り味が今はひたすら新鮮な状態と言える。それではロードスターを主力戦闘機に昇格させ、プン太郎は出番を減らす、あるいはいずれは手放すなどすればいいじゃないか……と言い出す人もいるかもしれない。だが世の中はそう単純ではない。
商売上の理由を含めた過剰な演出あってのクルマであるMiTo、プントエヴォの順番で乗ってきた筆者にとって、ロードスターは侍的ストイックさを背景に持つ速さや俊敏さであって、その素直な操縦性がひたすら新鮮である。しかし同時に、素直な運動性能だけではもう満足できないのだ。これも2台に乗るようになってはっきりわかったことだ。ロードスターはひたすら正しい。同時にそれだけでは物足りなくも思ってしまう。「無い物ねだり」「隣の芝生は青く見える」は人間誰しも持っている感情だと思うが、夢の8輪体制の実現でそれが現実になってしまった。つまり8輪体制、2台持ちという現状こそが原因である。となればボルボ V90、ランドローバー ディフェンダー、フォード マスタングの3台を追加するしかない。ハーレム状態になれば誰が本妻かなんてことはさして重要ではなくなるだろう。
常にキャラクターの異なるクルマハーレムを構築されているProfumo姐さんなら、この答えをご存知であろう。元祖ビートルやNCロードスターという「正しい自動車」をコレクションに加えてきた姐さんならなんとお答えになるであろうか。
※同じくすでにハーレムを実現している控室のalfa_manbowさんのお考えもぜひ聞いてみたいものだ。最近ブログの更新ないっすね。本件について寄稿文があれば積極的に掲載する所存である。
電撃増車となったマツダ ロードスター、その心理的葛藤を書いておきたい。ただこの話は単純ではない。いくつもの偶然や不確定なあれこれが同時期に筆者に起こった…としか書きようがない部分がある。もっともそのことを延々を書き連ねても読者には退屈なだけなので、シンプルに書いてみる。今回増車を決意するに至った理由は以下のとおり。
○筆者の人生観ががらりと替わった
○中古車購入はタイミングが命
○一生に一度は屋根の無いクルマに乗りたかった
2020年に入ってから病を得た筆者は、3月と5月に2度の入院を体験した。(今のところ)完治しない病気なので、今後の人生は病気と付きあっていくことになる。そこで人生観が替わったというか、人生における優先事項が入れ替わったというか。「もう平均寿命の年齢までのほほんと生きることはできまい」というのが罹患後の実感だ。誤解を受けそうだが、別に余命宣告を受けたわけではない。ただ人生設計を10年20年単位では考えられなくなったのだ。せいぜい3年から5年単位だ。そして最優先すべきは「楽しいことしかしたくない」のココロである。もうすぐ下の子どもも独立しようかというこのタイミング、病気のおかげで物事の考え方や人生の優先事項の順番を見直さざるを得なかった。もっと単純な話、死の床で「あぁ、あのロードスター、やっぱり買っておくべきだったなぁ」と後悔するのは絶対にイヤだ!と思ったのだ。
それ以上の理由など本当は必要ないのだが、今回の個体がNCロードスターというのも重要だ。Profumo姐さんのNCロードスター購入の経緯は、その出会いから放流決意までブログで逐一読んできたが、とにかく羨ましかった。三つ目の理由として挙げているとおり、筆者は人生に一度は屋根が開くクルマを所有したいと思っていたが、その筆頭候補はマツダ ロードスター、それも三代目たるNCだった。2020年の今、初代NAの程度の良い中古車を買うのは至難の業だ。NBも同様だろう。NA、NBとは若干方向性が違うが、FRレイアウト、好ましいボディサイズ、ドライバーをホイールベースの真ん中に座らせる矜恃を備え、2020年の今でも充分通用する内外装クオリティであることを考えると、マツダ ロードスターはNCで決まり!と筆者は考えるのだ。
すると近しい人たるProfumo姐さんがそれを実際に購入し、しかも期間限定所有だという。それでも、お金無いし…と諦めようとしたが、上述の人生観の大変換を経験してしまうと、とても見逃せるものではない。「中古車購入はタイミングが命」なのだ。一方姐さんは姐さんで個体の価値がわかってくれる人に譲りたいし、できれば知りあいに譲りたいと考えておられたとのこと。いろいろうまくパズルのピースがはまった感じだ。
もうひとつ、筆者側の理由がある。現在高校3年生の息子は来春就職することを目指している。つまり独立だ。がんばってお金を稼いだり溜めたりしているが、彼の究極の目標「BMW Z4の中古車」にはほど遠い毎日。そこで筆者はこのNCロードスターの共同購入を息子に持ちかけてみた。入院中のある日、病室に息子を呼び寄せ、姐さんのブログを見せた。程度の善し悪しを見極めるのも大変なZ4に拘泥するよりも、明らかに極上クオリティのリアルスポーツカーであるロードスターから自動車人生を始めるのも悪くないんじゃないか? 息子はその場で決心し、すでに自分のものという認識でいる。
そんなこんなである。本日は過日のプン太郎腰痛事件のリベンジを果たすべく、南三陸町へ赴いたのだが…。
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この物件は関東在住にして当ブログコメント欄の常連、そして当ブログオフ会の常連でもあるProfumo姐さんの愛車でもあった。姐さんと筆者の個人間売買である。プン太郎はどこにも行かない。当ブログ「クルマで行きます」はアバルト プントエヴォとマツダ ロードスターの2台体制へ移行するのだ。当の姐さんは念願のアバルト 124スパイダーをMake Your Spiderプログラム(すでに終了)を利用してとうとうご購入されたのだが、イタリアン気質と世界規模のCOVID-19防疫対策の影響で気が狂うほど納車が遅れた。気が狂った姐さんが124が来るまでのつなぎの1台として導入されていたのが、このロードスターである。
詳しくは姐さんのブログを読んでいただきたい。
『クルマについて語りたい』
年がら年中ぴぃぴぃ言っている筆者が、「増車」という大胆な行動を取った理由についてはエントリーを改める。本エントリーでは速報として引き渡し当日の模様をお届けしよう。なぜかピンスポットで荒天となった2020年7月4日、姐さんがわざわざ仙台入り。ゲストに旦那さんを同乗させての登場である。当方も息子を伴い迎撃体制をとった。ランデブーポイントはJR仙台駅東口。ランドマークとしてこれ以上の場所はないし、駐車場が豊富にあるし、姐さんご夫妻が所望された牛タン定食、筆者意中のお店が東口にあるから…などなどの理由による。
本来なら当方が関東へ受け取りに赴くつもりでいた。電車で行き、受け取り後さっそくロードスターで仙台までロングツーリング。最高かよ。と妄想していたのだが、「せっかくだから最後にロングドライブしたいなぁ」と姐さん。ま、考えることは同じなわけです。売り主のご意向に背くことはできない。仙台でお迎えすることにした。姐さんの旦那様にお会いできることも嬉しい。今回の仙台行、ご夫婦で5時間のツーリング。しかも仙台で昼呑みを決めて電車で帰る。熟年ご夫婦の休日の過ごし方として上々のプランである。
晴れてさえいりゃあね(泣)。
蓋を開けてみれば姐さんご夫妻は予定よりも30分も早くロードスターを駐車場へ停め、仙台駅東口で筆者(と息子)と合流。某SAで朝カツ丼を決めてきたにも関わらず、もう牛タン定食を食べる準備は万端だという。それじゃあということで、予約時間を大幅に前倒しして「牛タン焼専門店 司 東口店」へ突入。スタンダードな定食を4人で堪能。ついでにお皿を下げられたあとのテーブルで必要書類の確認と記入、押印など(笑)。
お店を出たあとはいよいよロードスターと対面。
ひととおり操作説明を聞く…のだが、おいちょっと待ってくれ、このロードスター、美麗すぎないか!!??
姐さん周辺では、この年式でこの走行距離数でこの純正状態でこんなにボディが歪んでいないなんて…!と驚いた詳しい人がいたそうだ(仙台到着時33,457km)。通ぶって言うなら「ビカもん」。NC1ロードスターとしては極上コンディションだろう。しかもこの日に認識したのだが、電動ハードトップバージョン、RHT(リトラクタブルハードトップ)ではないか!2006年投入のRS RHTグレードということであろう。姐さんの前のオーナーさんはガレージの中でカバーをかけて保管していたのだという。うわぁ、ハードル上がるわー。青空駐車でごめんなさい。カーカバー、買わなきゃダメかなぁ…。
姐さんご夫妻と別れて息子とロードスターを路上へ。クラッチのエンゲージにやや気を使う場面がある、目線が未体験に低い、このふたつに慣れてしまうと、マツダ ロードスターは意外なほど運転しやすい。加速・旋回・減速という三要素の均衡が美しい。街中をしばらく走っていたが、どうにも我慢がならぬ。宮城県県民の森へ向かい、車影のまったくないワインディングを堪能する。これで雨が降っていなければなぁ…。もっとも濡れた路面でFFのプン太郎の感覚でAペダルを踏み、ずるずると外側に膨らむロードスターならではの場面も数回味わった。そう、FR車を所有するのは筆者初体験なのだ。その辺の挙動のインプレッションはまた改めよう。宮城県県民の森中央記念館でひと休み。
気が付くと雨が上がっている。これはチャンスとばかりさっそくオープンへ。
オープン状態で走るとやはり印象が違う。単純にロードスターはオープン状態を基準にボディ剛性が調整されていることがよくわかる。クローズド状態の時は変に無理をして捩れに耐えていたボディが、屋根を取り除いたことで生き物のように捩れて、路面からの入力をあっけらかんと空へ逃がしてしまう。うーん、こりゃタマラン!うはははと笑いながら富谷市、仙台市泉区を走り抜け、思わず大倉ダム方面まで走ってしまった。仙台市大倉ふるさとセンターで最後の休憩中、再び雨が降ってきた。クローズドへ戻してあとは淡々と帰宅。ロードスターをハイオクフルタンクへ。帰宅とは言っても契約駐車場に待たせていたプン太郎と交替するのだ。プン太郎、目線高い!シフトノブの動きが大きい!そっちのショックも無視できないレベルではあった。
このロードスター、筆者にとっては単に「個人間売買による持ちグルマの循環」以上の意味がある。グッドコンディションのロードスターを引き継ぐと言い切ってみたい。そしてなによりもタイミングとご縁である。姐さんの124納車が叶えば再び中古車市場に放出されてしまうロードスター。「オレが乗らなきゃ誰が乗る」の心意気である。当ブログ読者諸姉諸兄の多くも、買い替えや増車の理由は同じであろうと推察する。
まずは速報まで。Profumo姐さん、仙台まで納車してくださり、さらには多数のお土産まで頂戴しありがとうございました。ロードスター、大事に乗ります。そして読者のみなさま、acatsuki-studioロードスターを以後よろしくお願いいたします。ひゃっほーっ!
【追記】Profumo姐さん目線のこの日の記録はこちら。
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まずこのシートクッションのおかげで尻の痛みは解消された。素晴らしい。反面数センチの厚みではあるが、視点の上昇はその数字以上に感じる。頭でその厚みを理解していても違和感はある。しかし数センチ上昇した状態で運転姿勢を作らねばならない。メータークラスタとの正対はぎりぎりで許容範囲。ハンドルもチルト上げ、テレスコ引きで再調整。なんとか辻褄があった。今後体重が増えたらお役御免にしようと思っている。
●Universal Car Phone Clip Holder $19.96USD
スマートフォンをダッシュボードなどに固定するホルダ。おいおい何度買うんだ?と突っ込まれても仕方ない。が、今度のはシンプルかつ最強である。懸念があるとすれば耐久性だ。
要はものすごく実態感のあるヘッドアップディスプレイ(笑)。しかしGoogleMapを参照しつつ運転するならこの位置がベストである。断言する。筆者はメータークラスタ内の液晶ディスプレイにナビゲーションデータを表示する方法ですら、視線移動が大きいと考える。
だがこの販売者のパッキングは残念だった。
取り出してこうなったのではない。我が家に届いた段階でこの状態だったのだ。商品本体には影響がなかったとは言え、げんなりである。事実としてこの販売者のURLを置いておこうと思う。
Wishingoal
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【寄稿】プン太郎搭載"ADDZEST APA4200"カーオーディオシステム修理についての技術的解説
ハイパーあにまる(@HYPER_animal)
0.本稿を読み進めるための予備知識
・電圧(V)=電流(A)x抵抗(Ω):有名なオームの法則。知恵袋によると中2で習うらしい。
・電力(W)=電圧(V)x電流(A):履修学年は同上(らしい)。
・乗数のテキスト表記:(例)3の2乗(=3x3)を3^2と表記する。コンピュータのプログラムやExcelの関数で使う。
・補助単位(正確には接頭辞):本稿では"m"(ミリ)しか登場しない。x1/1000(x10^-3)の意味。mm(ミリメートル)やmΩ(ミリオーム)など。
・電線の太さの規格:(例)2sq(読み:2スケア)=2mm^2(読み:2平方ミリメートル)=AWG14相当:電線の芯線(銅線部分)の断面積を示す。実物はビニルやゴムで被覆されているのでもっと太い。(例)を「2スケ」とか言うとプロっぽい。
1.はじめに
今回、本稿掲載のブログ「クルマで行きます」のブログ主から、「カーオーディオの別体アンプの電源が入らない。(中略)診断してみてもらえないだろうか。」という依頼を受けた。
筆者は、一応電気関係の仕事にも携わっているものの、専門は工場等の電気計装設備の保守や運用で、それ以外は趣味で室内用のプア・オーディオ(安価な機材で高音質を追求するオーディオ沼)自作等をするものの、車の電装系は余り実務経験がない。正直、骨折したので眼科医に治してくれと駆け込む(もしくは飛行機内で産気づいたご婦人を介抱する居合わせた医者が耳鼻科医...どちらにしても全世界の医師に失礼千万、謝罪します。ごめんなさい!)と言うような話ではあるが、大親友の頼みである。出来る限りの協力をすることとした。
そして、「ヒューズホルダー交換作業の全般及び技術的注意点」を書いてみないか?とも誘ってもらった。詳細な作業過程などはブログ主に任せるつもりだ(彼のライヴ感溢れる文章にはいつも脱帽している)が、技術的注意点、パーツ選びや工法の根拠についてを、本稿で詳しく述べたいと思う。
車系実務経験が乏しい故、本稿には間違いが散見されるかもしれない。もしおかしな記述を見つけたら、ブログ主を通じて、あるいはTwitter等で"やさしく"ご教示いただけたらと思う。お礼はいつか必ず、精神的に!
2.原因調査
調査当日の流れは、ブログ主が2020.06.16のエントリで詳細にリポートしてくれている。ごく簡単に述べると、アンプの電源ケーブルのヒューズボックス内に浸水による発錆と思われる接触不良があり、アンプが起動し電流が流れると、ほとんどの電源電圧がヒューズで食われ、アンプにはわずかしか供給されないという危険な状態であった。
3.修理方針
危険な状態のヒューズボックスを交換する必要がある。早速ネットで検索してみると様々な製品がヒットする。ブログ主は「エーモン工業製「【2889】防水平型ヒューズホルダー」をチョイスした。言わずと知れたクルマ関連補修パーツ大手の製品であるし、しっかりとIPX4(防水規格:水の飛まつに対して保護)を謳っているのが信用度高い(腕時計などでも、しっかり防水規格の等級を明記していない製品は"なんちゃって"防水腕時計なので信用してはいけない)。パッケージ裏の能書きも頼もしい。
エーモン工業製「【2889】防水平型ヒューズホルダー
"バッ直"された既設のプラス側ケーブルはパッと見5.5sqくらいの太さか?これとヒューズホルダーのリード線を圧着スリーブでしっかりと圧着し、電気工事界マストアイテム・エフコテープNo.2でがっつりと絶縁・防塵防水処理することとした。
朝日電器製圧着スリーブ
古河電工パワーシステムズ製エフコテープNo.2
圧着スリーブは5.5sqに対応する製品(ELPA PB-5.5H)を使用し、2sqのリード線は芯線を二つ折りにしてスリーブに差し込み圧着する。圧着には当然専用の圧着工具を使用する。大電流が流れる電源ケーブルを、いわゆるペンチカシメなぞ禁忌。非常手段でもやってはいけない。
エフコテープの一般名は自己融着テープといい、巻いて重なった部分が融着して一体化し、強固な被覆となる。見た目は厚手のビニテのようだが、融着した部分が剥がれなくなるので、長期間、且つソコソコ過酷な環境の電気系統の処理には必須で、厚みも巻いた分だけ増やせるので、太めの配線なら熱収縮チューブよりオススメだ。
4.ケーブルの許容電流とヒューズの選定
やりとりの途中、ブログ主から「現状でつっこまれてるヒューズは40Aなんだよな。」と質問が来た。ヒューズホルダーのパッケージには「15Aまで」と明記されている。さてさてどうする?
リード線は2sqだが、一例としては産業界で一般的なIV線というケーブルで太さ2sqなら27Aまで電流を流して良い。だがこれは、被覆の素材(耐熱性)や周辺の環境で変わる。ケーブルに電流が流れれば、大なり小なり発熱するので、高温な場所やケーブルを多数束ねたい場合はもっと電流は抑制しなければならない(余談だが、電工ドラムやコード式掃除機のケーブルを全部引き出して使わなければならないのは、発熱によるケーブル被覆の焼損防止のためである)。まず40Aは絶対無理、27A以下...いやエンジンルーム内は高温なのでもっと低く抑える必要があるのでは...と思い、改めて調べてみた。
ヒント(というか答え)はパッケージに書いてあった。「AV2sqx約300mm」と記載されている。2sqのリード線が300mmついているのはすぐわかったが、AVってもしかしてケーブルの規格か?と思い調べてみたら、「AV 自動車用低圧電線」というのを見つけた。
住友電装株式会社ウェブサイト > 一般電線 > AV 自動車用低圧電線
http://prd.sws.co.jp/cables/jp/av.html
筆者は仕事や趣味で色々なケーブルを扱ってきたが、この規格は恥ずかしながら知らなかった。ありがとうブログ主!勉強になった。
注目は2つ目の表「許容電流」。太さ2sqは周囲温度40℃で28A、60℃で20Aとある。安全マージンを見てパッケージ記述の15Aは妥当だ。だがしかし、ADDZEST APA4200は最大出力200W+200Wのパワーアンプである。単純計算で、
出力(200W+200W)/バッテリー電圧12V=33.3A
も流れる可能性があるではないか?!
...実際には33Aも流れる瞬間はそうそうないと思われる。陸上自衛隊音楽隊はチャイコフスキーの「大序曲 1812年」の演奏に155mm榴弾砲FH70(王城寺原演習場から時々聞こえて来る重低音の正体。スバルの水平対向1.8Lを搭載し、陣地変換程度の短距離ならば自走できる)を撃つ時があるので、そんなのをVOL.Maxでスーパーウーハー鳴らしたりしたらいくかもしれないが、例えば我が家の自作プア・オーディオの20Wアンプと10cmスピーカのセットだって、VOL.を時計の2時程度まで上げたら隣人から怒鳴り込まれそうな音量が出る。最大電流33Aの爆音なんて、安全運転上も考慮しなくていい。そもそも、ひんぱんに33Aも流れたら、バッテリーやオルタネータが悲鳴をあげるだろう。
よって、ヒューズ推奨はパッケージ記述通り15A、ヒューズ飛びまくって困る場合でも20Aにとどめるべき、とアドバイスした。15Aの時でも、
12Vx15A=180W(90W+90W)
は出せる。十分だろう。
5.既設ケーブルについての考察(オームの法則さん、出番です)
前述の通り既設のプラス側ケーブルが5.5sqだとして、その妥当性を検討してみた。(注:以下の計算は四捨五入して丸めた数値で計算を進めているので、少々誤差が大きい。読み易さ,追い易さを優先したことをご了承願いたい)
たとえば、一段細いAV線3.5sqで配線されていたら?、前述のAV線資料ページ、表の1つ目(表中のサイズ3)を見ると、最大導体抵抗が5.59(mΩ/m)とある。エンジンルームのバッテリーから助手席下のパワーアンプまで配線長5mくらいかな?とするとケーブル全体では、
5.59mΩ/mx5m=0.028Ω(式の左項と右項で補助単位変えてるので注意)
となる。わずかな抵抗値だが、これにアンプ最大出力時の33.3Aが流れると、
0.028Ωx33.3A=0.932V
がケーブルによる電圧降下となり、
0.932V/12V=7.8%
もアンプに電圧が届かず、ケーブルで熱となって車内に逃げてしまう計算結果となった。結構効く!
また産業界の例だが、電子機器が正常動作を保証される電源電圧変動幅は定格の±10%くらいが多い。一応3.5sqでも範囲内の結果となったが、実際にはこれにヒューズやアンプの端子台での損失も加わるので、結構ギリギリかもしれない。
ではこれが5.5sq(表中のサイズ5)の場合だとどうだろう?
3.52mΩ/mx5m=0.018Ω
0.018Ωx33.3A=0.599V
0.599V/12V=5.0%
で済む。ケーブルのチョイスは、この最大導体抵抗と電圧降下を一番最初に考慮しなければならない。加えてまた2つ目の表から5.5sqの許容電流を拾うと、50℃で44A,60℃で36A。元ヒューズ40Aとだいたい合う。
プン太郎、そしてその前のアルファロメオ MiToの時にセッティングを依頼したのは、ブログ主が「カーガイ」と呼ぶプロ中のプロだそうだ。おそらくプロはこんな計算はいちいちしない。経験でこれくらいのを使えばOKとチョイスしているだろう。経験乏しい筆者は、後追いで机上検討してみて、さすが!と納得した次第(acatsuki-studio注:MiToのオーディオ施工はK店長で、プロというよりは凄腕のカーオーディオマニアと表現するのが正しい)。
なお、ヒューズボックスの2sqリード線は、往復でも最大0.6mなので、大して電圧降下はしないだろう...計算してないけど。33Aも流さない(15ないし20Aのヒューズが飛ぶ)しね。
あと、被覆の色(ケーブルの色)は、絶対"緑"だけは選んではいけない。地球上、日本もアメリカもヨーロッパでもどこでも緑(もしくは緑と黄色のストライプ)はアース線だ。余っているからとか、好きな色だからとかでプラスの電源に緑のケーブルを使われたら、のちの整備者が絶対に間違ってひどい事故になる。
6.施工および試運転
材料が揃ったので、いよいよ施工だ。
定石通りバッテリーのマイナス側→プラス側の順にケーブルを離線し、不良ヒューズボックスを撤去し...と順調に作業は進んだが、中盤、圧着スリーブを車内に落とす痛恨のミスをしてしまった!マイナスケーブルを外した後の養生が不安だったので、バッテリー周辺をビニールシートで覆う準備はしていたが、思ったほど邪魔にならなかったので、養生せずに作業を進めてしまったのが敗因だ。エンジンルーム内の奥に入り込んでしまって、全く視認できず回収は断念。読者の皆様は、レジャーシートやビニールの風呂敷でいいので、きちんと養生をして作業に臨まれたし。
その後は修理方針通り、圧着スリーブで既設ケーブルとリード線を圧着したのちエフコテープで絶縁処理。ヒューズボックスの固定は、ウォッシャー液ポンプのリレーユニット(かな?)が手頃な場所に手頃なサイズのボルトで留めてあったので、ヒューズボックスのパッケージ作例写真通りに共締めし、リード線はボンネットの開閉操作ワイヤーに這わせて結束バンドでまとめた。テスターで施工部分の地絡(プラス側がアースに落ちて漏電を起こす危険な状態)・短絡(通じるべきはところは通じ、開放されているべきところは開放を確認)したのち、復旧の定石通りプラス側→マイナス側の順でバッテリーにケーブルを復旧して作業完了。
エンジンスタートしてヘッドユニットからアンプを起動すると、車内にサウンドが鳴り響きほっと一息。ブログ主が通常聴いている音量に上げてもらって、しばしリード線部分に触れて温度上昇を確認したが、その兆しはなくこちらも問題なし。
もちろん数日かけてもう少し様子を見る必要はあるが、計画通りに修理は完了した。詳細はブログ主の2020.06.25のエントリをご一読願う。
7.アフターメンテナンス(というより、半分は筆者の興味)
作業・試運転完了直後に本稿を書いているが、新しいヒューズボックスを経由して、アンプの端子台に電源が何V供給されているのかを確認していない。これはミスに近い確認漏れだ。近日中に再会の機会を得て測定しよう。その際には端子増し締めも忘れずやらねば。
電流が何A流れているのかも机上計算のみである。最近はクランプメーター(回路に流れる電流を、離線作業なしに安全に測定できる測定器)もずいぶん安価になったので、この機会に購入してちゃんと測定しようか?アンプのように負荷変動の大きそうな電流を精密に測定するのは難しいと思うが(ちゃんと測るなら、シャント抵抗とオシロスコープが必要だろう)。
ヒオキ製クランプオンAC/DCハイテスタ3287
(DC/ACクランプメーターの例。筆者は電気の測定器は横河よりも日置推し)
8.謝辞、そしてクルマヘンタイなブログ読者の皆様へ
貴重な修理経験と勉強の、そして本稿執筆の機会をくれたブログ主に感謝する。死ぬまで親しい友達付き合いをお願いします。
読者の皆様へ、このように中学程度の理数の知識はヘンタイ的カーライフにとても役立ちます。中2といえば14歳。この年頃のお子さんのいる読者の方々は、妄想でエヴァに乗せるのもいいけど、しっかり勉強させて、立派なクルマヘンタイに育ててください。