クルマで行きます

AlfaRomeo MiToが好きなことにかけては人後に落ちない。
東北のMiTo乗りが綴る、クルマについてのあれこれ。
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【試乗記その2】FIAT 500 1.2POP 足るを知る
| 試乗レポート | 18:45 | comments(0) | trackbacks(0) |
ほんの数日で200km以上走ってしまった(株)イデアルさんからの代車FIAT 500 1.2POP(っぽいヤツ)の試乗記その2。500の試乗記など何を今さら感120%だが、カワイイ物件として輸入車初心者が初めてのガイシャとして中古車を購入するケースもあろう。そういう人たちの役に立てば良いと思う(輸入車初心者がイタ車の中古車を買うかどうかという論議はさて置いて)。
 

試乗記その1へあおさんが寄せてくださったコメントのとおり、「500をファミリーカーと定義して良いのか」というそもそも論もあろう。筆者が500をファミリーカーと書いた、その「ファミリー」とはどういう家族・人物を指していたかというと、まずDINKSの若夫婦。中学生くらいまでの子どもが2名くらいいる核家族。三世代家族の元気なおじいちゃんおばあちゃん、18歳でさっそく運転免許を取得した若者。とまぁ仙台在住の筆者の周辺ではありふれた人々である。大都会にお住いの読者諸兄にはピンとこない人物像も含まれているかもしれない。乱暴にまとめてしまえば自動車運転初心者と老人、そしてデザインの良いものや、人とは違う良いものを所有したい中流家族を構成する人々である。

基本的にこのブログは自動車好き、中でも欧州車好きの人々への親近感を背景に書かれているが、そういう人々は往々にして世間の価値観とはズレているものだ。ちょっと壊れて嬉しい顔をするとか、運動性能しか基準にしないとか。まぁつまり筆者のことなのだが(笑)。今回味わった500はそういう人への訴求はもちろん、「クルマ?あんまり興味ないけど、軽自動車じゃなくてカワイイのがいいなー」などと言う人々にも充分アピールでき、それだけでなく「ちゃんとしたクルマって乗ると楽しいね」と1年後ににっこり笑って語り合えるような(誰とだ?)出来になっていることに深く感動した。

●静的検分
パッと見についてはあまり言うことはない。BMW MINIと同じで「これが欲しいから買う」が通用するエクステリアデザインだと思う。しかもマイナーチェンジを経た2017年の今見ると、MC前の造形は実にシンプルでそこも好感が持てる。運転席に座ると広くて驚く…というか、Aピラーが遠い。おかげで運転手と助手席の人には広々感はあるのだが、右ハンドルの場合左前輪位置がちょっとわかりづらい。慣れるのに1日くらいかかるかもしれない。加えてその影響は後席に顕著で、前席に身長170cmの筆者が座り膝前の空間をタイトにシート位置を決め、その後に後部座席に座ってみるとそれでも膝はフロントシートの背中に触れっぱなしである。さらにヘッドクリアランスは無きに等しく、ヘッドレストもきちんと頭を支える位置まで伸ばせない(なにしろリアゲートガラスに当たるのだ)。この一点を以てダメグルマの烙印を押す人もいるかと思うが、小学生くらいまでの子どもなら全く問題ないとも言える。2シーターと割り切る必要はあるかもしれない。
 

MC後は必要以上に目力が強くなったような…。
これくらいすっきりしている方が、
素材の良さを実感できますよね?ね?


ほら…

もうひとつ気になる人には気になるかもしれない要素として、エンジンルーム内の機械動作音がある。鈴虫の鳴き始めみたいなキーともジーとも言えない高い音域のノイズが常に車内にいる。複数の音源があるようだが、そのうちのひとつは確実にデュアロジックで、変速する度にそのノイズが聴こえる。また音域と車内空間設計のせいか、そのノイズは常に耳元で鳴るのである。これはどうしたって気になる。今回借り受けていた期間中の大部分はラジオもCDも聴かずひたすらエンジン音だけを聴いて走っていたので、音楽を大音量で鳴らせばある程度はごまかせるかもしれない。要は音対策は手を抜かれているのである。

欧州車の右ハンドル化につきまとうオフセット問題は、ある。全体的にシートセンターとハンドルセンターは左にずれているし、ふたつのペダルももう少し右に置いて欲しい。最長で100km、あとは通勤程度の短距離しか乗っていないので、ロングドライブで身体にどれくらい負荷がかかるかは未検証だが、膝か腰に影響が出そうだ。ただし試乗記その1にも書いたように、今回の個体はシートがアバルト 500のものに換装されており、素のシートの場合はどうなのかというさらに未検証な部分もある。沢村慎太郎のツインエア評に拠れば、500は全体的にシート内部のウレタン劣化が早そうだと書かれている。


笑ってしまった後付けシフトノブ。
かつてイタ雑さんでよく見たなぁ

●動的検分
今回一番感動的だったのはこの部分。デュアロジックのAUTOモードでもマニュアルモードでも、普段使いには必要充分な加速が得られる。むしろ問題はブレーキで、未確認だがブレーキシリンダーのマスターは左のままなのだろう。必要な制動力はいつでも得られるが、その効き始めが曖昧なのが本当に惜しい。加速は楽しいのだが、思ったとおりのタイミングで止まれる自信を持てないので、結果的に80km/hも出すともうブレーキを踏むタイミングを伺っている自分がいる。車間距離を多めに取ってしまうのも、加速が悪いからではなく余裕を持ってブレーキ操作をしたいからなのだ。

デュアロジック(セミオートマティック)については「これまで誤解しててゴメンな」の一言である。この変速機はクルマの運転が大好きな人々が作った佳作である。AUTOモードで割と乱暴な運転の流れに乗ろうとすると、1速で5,000rpmくらいまで平気で引っ張る。典型的な非力エンジン(なにせ69psだ)向けプログラムなのだが、そこから2速へ繋ぐ時の空走感たるや。ヘタすると「どこか壊れてる??」と思ってしまう程なのだが、実際例えばMiToで1速5,000rpmまで引っ張って2速にスムースにつなごうと思えば、相当慎重にクラッチを繋がざるを得ず、結果的にそれなりの時間を浪費する。それに比べてデュアロジックの1→2速への繋ぎは決して遅いわけでもルーズなわけでもない。こここそがこの変速機の要であり誤解の基なのだ。AUTOでもマニュアルでも、このタイミングでアクセルペダルを戻せば実に美しい変速動作を味わえる。2速より上のギアでは乱暴にアクセルを踏んだままでもその空走感は許容範囲。マニュアルモードに入れて、いわゆる3ペダルMT車のように変速操作とアクセルON/OFFをきちんと組み合わせれば、これはやっぱり人間が同様の操作をするよりも格段にショックが少なく速い。

もちろん完璧ではない。イタリア在住の実験部隊が日本の交通事情を熟知しているわけでもなかろう。AUTOモード時、特に交差点での前走車に続く右折や、登り坂での微妙な速度調整などではギクシャクする。マニュアルモードに入れてしまえばこちらの手のひらの上なのだが。

もうひとつ美しいのが足廻りの動作である。かつてクライスラーブランドからイプシロンがデビューした時、ツインエアと同じ車体、エンジンでありながらホイールベースは若干延長され、それによって500比バタつきが無くなったという評価を聞いたが、なかなかどうしてこの500だってそんなにバタつくわけではない。むしろ175/70/R14なんていうプロフィールのタイヤ(今回は鉄ちんホイールである!)なのに、コーナリングでのじんわりした粘りは嬉しい驚きだ。MiToだと避けて通るような悪路でも、ショックは上手に丸められているし、路面追従性は高い。

こんな風に書くと上から目線のようで恐縮だが、今回の500に乗って思ったのは「足るを知る」である。非力なエンジンを特殊な変速機で操り、パワーを使いきるような走りを楽しむ。このグレードではあれこれオプションや機械的ドーピングを目指すよりも、純正の状態をキープし続けた方が良いと思う。何か特別なものが仕込まれているのではなく「この製品はこれでいい」という割り切りがはっきりと見て取れると同時に、その「これ」が指す基準がとても高いところにあることがよくわかるからだ。操作する楽しみ=自分がこの機械を御している感覚を満喫できる。箱庭のような楽しみだが、逆に走ったり曲がったりのひとつひとつが濃厚に感じられるのだ。

5万kmを走破した1.2は、中古市場ではもはやアンダー100万円である。乗り出し価格でも100万円くらいだ。デュアロジックの耐久性というジョーカーは潜んでいるものの、これだけ濃厚でクリーンな乗り味を提供されればクルマとしては評価しないわけにはいかない。大きい箱グルマの乗り味が大好きなんだ!という方はともかく、小さいクルマであっても家族の足は務まるし、なによりドライバーは乗るたびに楽しめるという大きな特典が付いてくる。大事なことは、初心者は言うに及ばず身体能力が衰え始めてきた高齢者でもすっきりきれいな運転ができるだろうということだ。むしろそういう人たちこそ500のようなクルマに乗るべきだ。クルマの出来が良いと安全運転に徹していても運転は楽しいと実感してほしい。









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■顧問■
筆者の友人太郎君のこと。
エンスージアストにしてドラマー。
いろんな意味で筆者の指南役にして
このブログの技術顧問(と勝手に思っている)

■朝練&夜活■
早朝に走りに行くのが朝練。
夜に走りに行くのが夜活(やかつ)。
夜の走行活動の略。
どちらもひとりであてもなく走る。
つまりひたすらクルマとの対話を楽しむ。

■S店長■
筆者のMiTo購入時の担当営業さん。
現在VOLVO仙台泉店の店長。
筆者のクルマ人生を変えた人。
一言で言えばカーガイ。

■EDO■
Eat and Drink Organizationの略。
親友2名と行うツーリング企画の名。
「移動に有料道路は使わない」
「同乗者無しでひとり1台」
「うまいものを食べ、飲む」が掟。

■K店長■
クライスラー・ジープ・ダッジ仙台の店長。
TCT版リリースを機に滑り込みで
MiTo1.4TSportを購入したカーガイ。
カーオーディオ地獄サバイバー。
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