クルマで行きます

クルマが好きなことにかけては人後に落ちない。
東北のABARTH PUNTO EVO乗りが綴る、クルマについてのあれこれ。
何はともあれ、タイヤ空気圧はチェックしろ
| クルマにまつわる四方山話 | 06:23 | comments(25) |

本エントリーはひとつ前の「旋回挙動の違いを考える」の続きである。
 


筆者が所有する2台のクルマ、アバルト プントエヴォとマツダ ロードスターの旋回挙動の違いについて、前回は駆動方式とパワーステアリングの制御方式の違いに大きく影響されているのではないか、と推測した。前輪駆動と後輪駆動、電子制御アシストと油圧アシストの違いである。さらに軸距とトラック幅(トレッド)の比率差の違いも大きいのでは?という有益なコメントもいただいた。なるほど自動車の旋回という動作には、たくさんの要素が複雑に絡まりあっているのだなぁとあらためて認識した次第。

そのたくさんの要素の中に筆者が見落としていた肝心な要素がひとつあった。それはタイヤの空気圧である。ロドっちのパワステ、いくら油圧だからとは言え、あのねっとり具合はちょっと大げさすぎないか?とかねがね思っていた。乗り始めた頃はそのねっとり具合を「さっすが油圧!油圧サイコー!」と、知能指数だいぶ低めの感想として垂れ流していたのだがどうもおかしい。特に0-10km/h範囲のごく低速域のハンドルの重さと言ったらない。相当速度を上げないとつり合わないのだ。そこでプン太郎のトランクに積みっぱなしだったエーモン工業の空気圧ゲージを取り出し、ロドっちの4本のタイヤの空気圧を測ってみた。

前輪:1.7bar / 後輪:2.2bar

なっ!!!!

ちなみにマツダの指定値は前後輪とも2.0barである。「そりゃあ前輪の反応がねっとりしてても当然だわな」という数値であった。そこで前輪の反応をライトにすべく「前輪:2.2bar / 後輪:2.0bar」にセットしなおした。で、走りに行く。

おお!全然違う。自宅前の路地を曲がるところからもう違う。日常でもっとも使用頻度が高い40-60km/hくらいの速度域での違いが嬉しい。前輪の動作情報がより速く手のひらに伝わってくる実感がある。従ってハンドルを切る身体動作と旋回挙動の一体感がより強いものになる。素晴らしい。もっとも路面のアンジュレーションを余すところなく伝えてくるという弊害もあるにはある。走りなれた道路の、「あれ、ここってこんなに路面が荒れていたんだ」のような発見がある。それは自分の知る範囲ではスプリングのばね定数を上げたかのような変化だ。ローダウンスプリングを組んだ時の印象に似ている。かなり如実に数値を変えたとは言え、タイヤ空気圧だけでこんなに乗り心地や挙動反応に変化が現れるものなのだ。タイヤの選択と併せて、実に奥深い。
 


205/45/R17。
引き渡しの時に
「ロードスターが17インチかぁ」と
つぶやいたら
姐さんに「今どき17なんて普通だよ!」と
ハッパをかけられた



ブリジストン ポテンザ
Adrenalin RE003。
商品名に「アドレナリン」なんて
石橋さんも言うねぇ


それにしても、タイヤ空気圧のチェックをせずに挙動のあれこれを云々するなど完全に素人の所業ではないか。恥。しかし前回パワーステアリング周りの印象についてあのように書いてしまった以上、このことは書かねばならない。そしてこういう状況になって初めて前荷重移動についても考えることができるのだ。また出直しである。

【余談】
しかし前1.7の後2.2なんて極端なセッティング、誰がどーして……??と考えてハタと気づいた。前オーナーProfumo姐さんが売却寸前にドリフト教室にロドっちを持ち込んでいた。ヌレヌレ路面を定常円旋回で手っ取り早く後ろを流したいなら、このセッティングは納得できる。とは言えブログにそんな記述があったかなぁ。あのエントリーは何回か読み直したんだがまったく記憶にない。そもそも姐さんがあのセッティングに変えたと決めつけて書くのは良くない(書いてるけど)。いずれ自分で定常円旋回訓練をする時、また空気圧を調整してみよう。

旋回挙動の違いを考える
| クルマにまつわる四方山話 | 23:13 | comments(8) |


 

 

あまり厳密にではないが、プン太郎とロドっちを1週間ごとにコンバートしている。「今週はロドっちかぁ、よろしくね」という風情で実に贅沢な気分だ。乗り換えるたびに痛感するのだが、プン太郎、ロドっちではそのキャラクターが正反対と言ってもよいくらい違う。FFとFR、ターボ過給と自然吸気、クローズドとオープンなどなど。しかしそんな両者の差異の中でも、昨今特に注目したいのが旋回挙動だ。それには駆動方式の違い、パワーステアリング機構の違いが不可分に複雑に絡まりあっている。

筆者が乗り比べて考えるに、旋回挙動の違いには一義的に駆動方式の方が大きく影響しているように思う。FFのプン太郎の場合、曲がる力はもっぱらタイヤの接地能力頼りである。舵角を決めていく時、タイヤがちゃんと路面を掴んでいるかどうかだけを気取ればよい。そうやって右に左に曲がっていくと、結果としてプン太郎の旋回動作は粘っこい。一方FRのロドっちは旋回初期にちゃんと前輪に荷重をかけられるかどうかがカギだ。荷重が足りないと舵角は唐突に、段階的についてしまう印象がある。カクッと曲がる。わかっていても少し怖い挙動だ。
 


307SW、MiTo、プン太郎とFF車両に20年近く乗り続けてきた筆者なので、旋回初期に前荷重、これ鉄則!みたいなのが身についていない。その意味ではFF車両は曲がりやすいとは言えるかもしれない。反面、荷重を担保してやって旋回動作をこなすロドっちは軽くて爽やかだ。実際にはプン太郎とロドっちの車重はほぼ同じなのだがそう感じてしまうのだ。同じコーナーを曲がる時でも、プン太郎で旋回する時に比べ、まるでコーナーが一回り小さくなったかのように感じる。特に脱出が速い。

そんな旋回動作を作る時に重要なのがハンドルを経由した路面とタイヤ情報で、それらが生々しく伝わるのはやはりロドっちが油圧式パワステだからだろう。こう言っちゃナンだが、プン太郎とロドっちのハンドル経由の情報はシンプルなクロッキーと油絵くらいの違いがある。プン太郎は前述のような旋回挙動構築なので、クロッキーでもそれほど不便や恐怖を感じることはないけれど。
 


ただ病気で筋肉の落ちてしまった筆者にとって、ロドっちの油圧式パワステはとても重い。タイヤ選択も影響していると思うが、狭い交差点、一時停止後の動き出しなど「えいやっ!」という気分である。それでも油圧式の方がいい……よなぁやっぱり。
 

ドキュメント・自動車移転登録(名義変更)
| クルマにまつわる四方山話 | 11:47 | comments(8) |

じゃじゃーん!
希望ナンバーじゃないのに
ちゃんと末尾が「5」です!

当家のロードスターはProfumo姐さんからの個人間売買なので、購入側の筆者が名義変更(ナンバー変更を伴う移転登録)をする必要があった。自分で名義変更手続きをするのは307SWのローンが終った時だから、2009年のことである。11年前のことを筆者が覚えているわけがない。姐さんとふたりで必要な書類はあれとこれと……みたいなやりとりを膨大に重ね、晴れて仙台ナンバーを取得することができた。実際揃えなければならない書類が多くて、なんどチェックしても足りないものがあるんじゃないかと不安になる程である。その必要な書類や手続き方法については、様々なウェブサイトに詳しいのでそちらに譲る。本稿に書くのは、諸注意事項と窓口の前まで行くと何がどうなるのかという備忘録である。

名義変更に必要な書類を調べるなら……
国土交通省「自動車を売買等により譲渡、譲受する場合(移転登録)
車検と車の手続き案内センター「名義変更の必要書類
くるなび 車・バイク登録手続きナビゲーター「2.必要書類

などを参照いただきたい。

◆手続きする場所
東北運輸局宮城支局
〒983-0034 宮城県仙台市宮城野区扇町3-3-15
当然のことながら、読者ご自身が住む自治体ごとに異なる。要は本件は国土交通省の各地方運輸局管轄ということである。

◆所要時間
窓口がどれくらい混んでいるかによるが、ずいぶん混みあっているように見えた筆者が手続きをした日ですら1-2時間で終了した。ただし12ー13時はすべての業務がしっかり昼休みをとるので業務が止まる。午前中なら午前中で、午後なら午後で完結するように出向くと効率が良い。でないと筆者のように昼食を挟んでしまうことになる。

◆ナンバー変更するクルマで行くこと
名義変更に伴って登録番号(ナンバープレート)が変わる。従って名義変更するクルマで乗り付ける必要がある。もし徒歩や別のクルマで乗り付けたらどうなるのかよくわからない。別日にプレート封印など、きっと面倒に違いない。

◆素人でも大丈夫
実際に宮城支局を訪れると、そこはプロフェッショナル(自動車工場やディーラーの慣れてる人)と素人(筆者のような人)が入り交じったカオスと化しているが、慌てる必要はない。1番窓口が相談窓口になっているからなんでも聞いてみよう。運輸局の職員こそプロフェッショナル。筆者のような素人ですら流れ作業で間違いなく手続きが進むようになっている。説明は立板に水ですこぶる分かりやすい。

◆申請の流れ
基本的にどの窓口でも「次は○番窓口へ行って△△の手続きをしてください」と指示されるので迷わない。
1.7番窓口で申請手数料500円を印紙で購入する
2.必要書類に記入する※
3.3番窓口に書類を提出する
→呼ばれるまで待つ

4.呼ばれたら2番窓口で処理済の書類を受け取り、ナンバーを返納する手続きに進む
5.別棟交通会館の10番窓口でナンバー返納手続きをする
→工具を借りて自分で封印を取り外して窓口に提出する
→ナンバー返納証明書を受け取る
 

登録抹消された
姐さん由来の旧ナンバー。
工具を借りて自分で外す



こうなっているのか…

6.宮城支局の建物に戻り2番窓口に返納証明書を提出する。新しい車検証が交付される
7.別棟12番窓口で必要書類に記入し※自動車税・取得税を申告する
8.10番窓口で新しいナンバープレートを受け取る(手数料1,600円)
→自分で取り付ける

9.検査所前の駐車スペースにクルマを移動させる
→ボンネットを開けて待つ
→運輸局の係員が見つけてやってくる
→エンジンルームをなにか点検して、ナンバープレートを封印してくれる

終了

※必要書類記入が一番の大仕事。基本的には車検証のデータを書き写す作業。様式はウェブサイトからダウンロードもできるので、あらかじめ記入しておくこともできるが、一部、住所を所定のコード番号で記入する必要があり、支局のコードリストを見ないと記入できない。現地で書きこむ必要は少なからずある。

手続きは以上だ。

以下個人的な感想。解せないのはナンバープレートの返却や発行、税関係が宮城県自動車整備振興会マターになっていることだ。広い敷地の離れた建物の間を書類提出のためだけに何度も往復することになる。手数と時間が増えるばかりか、膨大な人件費など気になって仕方ない。交通行政の闇を見る思いであった。
 

一般社団法人宮城県自動車整備振興会が入る
交通会館

終ってみれば良い運動になったし(笑)、貴重な体験であった。筆者のような1台に惚れ込んで長く乗りたいタイプのオーナーは滅多に体験しないことかもしれないが、それだけに自分のための備忘録として残しておきたかった。誰かの役に立ちますように。

(余談)
筆者は車庫証明書を当日午前中に所轄警察署で受け取ったので、宮城支局への到着は昼直前になってしまった。かろうじて500円の印紙を購入することはできたが(手順の1)、印紙を受け取って振り返るとあれほど待合スペースに溢れていた人は誰もいなくなり、窓口はすべてクローズされていたのだった。仕方ないので昼ご飯を食べに外に出た。宮城支局がある宮城野区扇町、卸町の周辺は気の利いた店がない。R4を挟んで隣の街区、仙台市中央卸売市場にある「市場のすしや」というどストレートなネーミングの寿司屋へ出向いた。もちろん13時の窓口再開の時間までには戻れず、戻ったらすでに3番窓口での書類処理は終っており、手順3を経験することなく2番窓口で書類を受け取ったのであった。
 

市場のすしや謹製
上にぎり1,700円
病身の筆者にはやや多かった

 
(余談2)
車検待ちの車列の中にジャギュワー E TYPEが!! 素晴らしいエグゾーストノイズでありました。
 
ボルボなら電動車両でも気にならない
| クルマにまつわる四方山話 | 08:43 | comments(17) |
例えば30年後に化石燃料エンジンは駆逐されてしまうかと問われれば、絶滅はしていなくても絶滅危惧種くらいにはなっていると筆者は想像する。ただ重要なのはクルマそのものが残っているかどうかよりも、燃料補給インフラであるガソリンスタンドという業態が今と同じ規模で存在するかどうかの方が、よほど重大な問題になっているだろう。主幹国道の両側にGSが立ち並ぶような絵は、前時代の話と一蹴されるんだろうな、きっと。

ちなみに30年後には筆者は80歳を超えていて、そんな年齢まで生きているかどうか甚だ疑問だ。生きていても免許は返納してしまっているか、悪あがきで返納を躊躇っている…というあたりだろう。だから化石燃料エンジン搭載車の未来については、傍観者の視点しか持てない。ひとつ言えることは、筆者にとって自動車とは化石燃料エンジン搭載車のことであって、ハイブリッドや電動車両にそれほど興味を持てないということだ。そんな筆者がこんな記事を見かけた。

AUTOCAR JAPAN
【電動化が加速】ボルボ ロックダウン解除後 内燃モデルの需要減少を予測

この記事を読んだ時、予想が当たるかどうかはともかく、電動自動車というパッケージはボルボというメーカーのクルマにとても似付かわしいと思った。例えばフェラーリやポルシェといった生粋のスポーツカーメーカー(フェラーリはスクーデリアだけども)が、ハイブリッド機構だったり純電動機構を搭載する車両を製造することには若干の違和感を覚えないわけではない。だがそれがボルボということになると、なぜかすぅっと納得できる気がする。筆者のボルボ体験は初代V40発売後の小1時間のディーラー試乗体験がメインで、アルファロメオ MiToの整備期間中代車としてS60を半日ふらふらと乗り回したことがあるだけ。しかしボルボ車が持つ、必要以上に乗員を保護しようとする設計理念は強烈に受け取ったつもりだ。

試乗記・VOLVO V40:ビシッと筋が通ったクルマ

試乗記・VOLVO S60 2.4

S60の「道路から隔絶され浮遊するような前進感覚」は今もよく覚えている。上でご紹介しているリンクでは、クルーザー船ってこんな感じじゃないかと書いている。つまりタイヤは路面を掴んでいる感触はほとんどなく、一般的に考えてもスローなステアリングはコーナリング時ちょっと怖く思えるほどだった(あれ?曲がらない!!と感じてしまう)。V40は真逆で、身体感覚に対して実にソリッドに追従した。MiToに比べればボディ剛性感も数段高く、そのことにも感動した。が、ボルボの社是である安全装備が頻繁に運転に干渉するし、ステアリングやスロットル反応の人工的なよそよそしさもまた大いに感じた。こういう「フィール」の部分にはおそらく年次改良も入ったとは思うが、ボルボ社是や電子デバイスの重畳という技術アプローチの現状を考えれば、少なくともイタリア車乗りが言う「肉感的」なものにガラッと変わるとも思えない。またボルボ車を購入しようとする人は、最高レベルの安全装置を搭載した快適な移動の道具を求めているのであろう。

そもそも「別に自動車なんて肉感的でなくてもいいじゃん!」が筆者としては未知なる感覚だし、そのことに思い至れば逆に電子制御デバイスの重畳の頂点としての電動車両、なるほどね、という感想にもつながる。テスラの諸モデルでもポルシェ タイカンでも日産 リーフでも、「電気自動車であること」以上の(2020年の今で言うところの)付加価値だけでは、それを選ぶ理由にならないんじゃないかと常々思ってきた。しかしボルボのようなクルマ造りを一貫して続けてきたメーカーが、最高レベルの安全装備と快適な運転の融合を目指す以上電動車両が最善の選択ですというロジックならそれは納得できる。ま、自動車メーカーの経営陣はそんな崇高な理念で自動車の電動化へ舵を切ったわけではないのは明白だが、いざ購入する側としてはそれくらいの甘言で騙して欲しいとは思う。

ということに思い至り、「でんきじどうしゃ」に興味を持つきっかけになった。我が家の電気インフラ(100V仕様)では電動車両導入が現実的でないのが少し残念だ。
オフ会延期や定期レポート不提出について
| クルマにまつわる四方山話 | 12:53 | - |


世の中が平静ならば、明後日にあたる5月23日(土)はオフ会を実施するはずだった。しかし入院している我が身はいまだ退院予定すら立っていない。そして世情を考慮しても、延期はやむを得ないと考える。残念無念。宮城県は緊急事態宣言が解除され、元通りとは言えないまでも「ニューノーマル」の模索が始まっているようだ(入院中だから実感はできないけど)。筆者個人としてはこの気の緩みを縫って、COVID-19シンドロームの感染者数再増加は充分にあり得る事態だと考える。

毎月21日に上梓していたプン太郎の定期レポートも、やはり書けない。あぁ、プン太郎を運転したい。


お手軽に見た目を変える方法
| クルマにまつわる四方山話 | 08:55 | comments(12) |

大量に売れるとこういう商売が成り立つんだなぁというため息事例。

Auto Messe Web 2020年5月11日
純正を外して交換するだけ アルファード&ヴェルファイアのメーターが高級ドイツ車風の画面に
 


上記記事中より
当該商品画像


念のため宮城トヨタ公式サイトで純正メータークラスターを見てみたが、これはこれで充分かっこいいし、精密感もあるし良い思う。それでも、ちょっとでも人と違う方がいいという人気車種オーナーは多いのだろう。

ボルトオンで見た目ががらりと変わる!、プントエヴォ用のそんな商品があればなぁ…という個所があるだろうか?少なくとも筆者は内装では思いつかず、あるとすればマフラーくらいだろうか。

最近溶けてきてるふたつのメーターまわりの樹脂は、溶けないやつに交換したいです(笑)。

クルマヘンタイ受難2020
| クルマにまつわる四方山話 | 10:10 | comments(5) |
山形県と宮城県にまたがる蔵王山にはエコーラインという山岳道路があって、これがかなり楽しいワインディングである。例年ならゴールデンウィーク前の一大イベントとして、4月下旬に開通式を行う。数メートル高さの「雪の回廊」を連なって走るのが名物である。

ところが2020年はコロナウィルスとCOVID-19騒ぎだ。県をまたいだ移動は控えろとのお上のお達し。エコーラインは(例えば)宮城県から登っていって、頂上付近の「お釜(エメラルドグリーンの湖水をたたえる火口湖)」を眺め、山形県側に降りていってそばでも喰うか!温泉でも入るか!というのが楽しいのであって、わざわざ山の上まで登って行ってまた元の場所に戻ってくるドライブが楽しいとも思えない。今年はエコーライン、どーすんだか…と気になっていた。
 

ある日の
宮城県側エコーライン


ネットで調べてみたらこういうことだった。

(一社)蔵王町観光物産協会の下記記事より
http://www.zao-machi.com/1714

蔵王エコーライン 冬期通行止め 解除予定日
令和2年5月11日(月)11:00〜 (予定)
※蔵王ハイラインも同日開通予定
※山頂レストハウスはトイレのみ利用可能。
※規定雨量を超えたり、路面に降雪や凍結が見られる(ノーマルタイヤでの走行が危険と判断された)場合、
緊急的に通行止めになることがありますのでご注意ください。

ゴールデンウィーク明けの平日開通は苦渋の選択だとしても、コロナ対策の第2段もおおよそ明らかになるであろう頃に、ひっそり開通するというこの判断は落とし所としてとても良いと思う。宮城県側のエコーライン始点蔵王町にとってみれば、エコーラインは貴重な観光資源なのに。

4月にはクルマ1台で県外に遊びに行き、ほとんど誰とも接触しなければ防疫の観点からも問題ないだろうと筆者は考えていた。実際そのとおりだと今も考えている。が、今や防疫観点上正しいか否かという問題ではなくなってきた。他県ナンバーのクルマに投擲する、飲食店への入店拒否なんていう、単なる脊髄反射みたいな馬鹿げた事例が頻発しているようだ。東北の人間ですら東京電力の原子力発電所事故の風評被害「放射能がうつる」から学んでいない。筆者は本気で心配している。宮城県南や県北の長閑な町で、「仙台ナンバー帰れ!」と怒声を浴びせられる日が来るんじゃないか、と。県境の小さな町のコンビニで飲み物を買ってクルマに戻ってきたら、ボディに傷がつけられてた…なんてケースが起こり得るんじゃないだろうか。

残念なことに、ひとりツーリングを楽しむような我々ヘンタイの乗るクルマは、何かと目立つ車種が多い。どうしたって人目を引く。オフ会のように何台も集まればなおさらだ。今しばらくは自衛手段を常にアタマの片隅に置いて行動する方が良いと思う。自重はしたくない。メルケル首相が言うとおり「移動の自由」は貴重な権利だし、個々人の中で「移動の自由」が持つ価値の大小は異なる。我々のようなクルマヘンタイにとってはなおさらだ。

一方で、人類はもう「コロナウィルス以前」の生活には戻れない。世界大戦、大地震、バブル経済崩壊など、生活基盤そのものに大きな影響を及ぼす何事かの後は、新しい生活の仕方を受け入れていくしかない。防疫対策として今推奨されているソーシャルディスタンスやマスク着用などが新常識として折り込まれた世界を生きていくしかない。新しいバランス感覚が必要になるはずだが、どこがその均衡点なのかはまだわからない。

繰り返すが、我々クルマヘンタイは、脊髄反射しかできないような愚かな人々から自分自身と愛車を守る工夫が今は必要だ。お互い気をつけましょう。
不要不急の外出を控えた仙台の自動車模様【画像追加・加筆あり】
| クルマにまつわる四方山話 | 18:11 | comments(13) |

再入院してしまった。プン太郎ではなく筆者が。

何度も同じことを繰り返すお笑い芸を「天丼」と言うのだそうだが、体調不良による「入院の天丼」はまったく笑えない。5月1日から仙台の基幹病院のひとつに入院せざる得ないほど体調が悪化してしまった。2020年のゴールデンウィークは24時間点滴を受けて終了し(いや、これを打っている今もそうだ)、幾分かマシになった。ボーッとしている時間に、なんとか本を読んだりウェブを眺めたりはできるようになった。

ブログ執筆者として、せめて読者のみなさまに生存報告くらいはしたいと考えたのだが、このブログには原則としてクルマのことしか書かない。そうかと言ってツーリングや試乗のレポートが書けるわけがない。ウェブに飛び交う自動車関連の話題は(少なくともヘンタイにとっては)悲観的なものが多く、考察的なエントリーを書こうと思っても食指が動かない。そもそも身体の諸機能がその修復に全力を挙げている今、脳みそが思考・考察するための余計なリソースがない(あ、これはいつもか)。「少し動いてもいいですよ」と言われて、点滴スタンドを片手に病棟フロアをうろうろしている際に、窓から幹線道路を行き交うクルマを眺めていて思うことがあったので、そのことをランダムに書いてみる。

●デザインの平均化
建物の7階から見下ろす形なのだが、とにかく自動車のデザインの平均化が進んでいて、見ていてあまり楽しくない。そりゃ折りからの緊急事態宣言下の外出自粛要請の真っ最中、交通量が極少なのは言うまでもなく、その状況下でまるで自動車業界全てを見渡したかのような物言いでデザイン云々と書くのは恐縮だが、「それでも自動車で移動せざるを得ない人々が使う車」という意味ではある種の縮図とは言える。凝縮された状態をチラ見するからこそ、均質化に目が行ってしまうのかもしれない。例えばこうだ。赤信号の交差点に10台と少しの停車車両がいるとする。たったそれだけの台数の現役車両の中に、どうしても車名のわからない車がいる。似たような形と色で、特定できないのだ。SUV車両だとさすがにそんなことはないが、極端な話、ダイハツ ロッキーなのかトヨタ ライズなのかは判然としない。軽のトールワゴン系も同じく。国産車で唯一自信を持って判別できるのは現行マツダ車だ。なんなら塗装色(ソウルレッドクリスタルメタリック)でわかる。マツダは今後も2、3、6をこの調子で育てていただきたいものだ。
 


●恐るべしドイツ資本
そんな中で明らかにまったく違う形をしているクルマがいる…!と思うと、それは輸入車なのだった。特に夕暮れ時などはデイタイムライトの造形で良くわかる。デイタイムライトなんて今どき国産車でもたいてい付いてるじゃないか、と思うのだが、エクステリアデザイン全体への馴染ませ方(あるいは浮き立たせ方)に一日の長がある。で、その輸入車は十中八九ドイツ車だ。ドイツ御三家に国民車と派生ブランドのミニを加えた5ブランド。GW中の仙台、輸入車=ドイツ車の様相だ。入院して以来、病院の窓からドイツブランド以外で見かけたのはプジョー 308を1台のみだ。いやはや。

厳密に言えばジープ ラングラーは1日に1台以上見かける。すごいぞアメ車!すごいぞFCA!しかし筆者にとってもはやジープは輸入車とか国産車という次元を超越して、「ジープ」という存在なのだった。
 



と、こんな具合に、生きてはいるが思考はまだできない(もう一生できないかもね)。退院の予定は立っていない。プン太郎のアイドリングはまたしても息子に委ねられた。

クラシックレインジローバーのレストア動画
| クルマにまつわる四方山話 | 11:38 | comments(6) |

入院中のヒマにあかせてYouTubeを徘徊していたら、クラシックレインジローバーをレストアする動画を見つけた。
 


 

有名な動画なのだろうが、それも納得だ。現況確認からレストア完了まで、静止画のストップモーションアニメ中心に詳細が描かれる。その内容は執拗で、ビスを1本外すところまで丹念に撮影されている。これ、撮影もだけど編集にも途方もない時間がかかっているに違いない。と言うか、レストア作業自体どれくらいの時間がかかっているのだろうか。半年?1年??もっと???

90分近い尺なので映画を1本観るくらいの労力が必要になるが、当ブログをわざわざ見に来てくださるような方々は観て損はしないことを請け負う。ツマミ見でもいいからぜひご覧いただきたい。

クルマとの一体感を考える#5
| クルマにまつわる四方山話 | 14:58 | comments(8) |
入院中のヒマに任せてつれづれに綴ってきた本稿も、たくさんコメントをいただいたおかげで、筆者の中で結論めいたものがぼんやりと浮かびつつある。このエントリーをもって結びとしたい。前回までのリンクは以下のとおり。

#1 / #2 / #3 / #4

ジアコーサ式FFダウンサイジングターボは、ひとまずもういい!というところから始まったこの思考の旅だが(おおげさ)、筆者が日々感じていた違和感はメカニズム上の「自動車と運転手の一体感」の正体であり、また同時に魅力的な自動車を作る文化の違いの正体ということだった。きっかけは確かにクルマを構成しているメカニズムの差異を体感したいということではあったが、それは欧州車とは「異なる文化」を体験したいという、渇望のようなものでもあったわけだ。

キーワード1
「大排気量自然吸気+6速マニュアルトランスミッション」
もうひとつ付け加えれば、フロントエンジンリアドライブ=FRである。これらはすべてアルファロメオ MiToやアバルト プントエヴォとは対極にあるもので、筆者のまったく知らない世界である。正直ベースでお話しすれば、FF小排気量ターボ車両の性能を、極限まで引き出してやる技能を、筆者はいまだ持てていない。だからプン太郎を相棒にやることはまだあるのだ。だが、これも有り体に言って、52歳の筆者の身体諸機能は衰えてきた(今回の入院とは別の話だ)。プン太郎とともに峠道やサーキットに行くこと自体が、年寄りの冷や水になりかねない。筆者には「エキサイトしない運転」というものを身に付ける必要が出てきたのだ。

そこで思い浮かんだのがアメリカ車。フォード マスタング。シボレー カマロでもいいしコルベットでもいい。たまたま小学生の頃からなんとなく憧れていたマスタングが、思考の俎上に載ったにすぎない。北米大陸、ひたすら伸びるハイウェイをただまっすぐドロドロ進む…という図に、今さらながらシビレる。少しして同じパッケージでアストンマーティンの諸車があることを思い出した。レースを起点にしているからこちらは基本的にカリカリしているが、足周りなどの細かいことを忘れれば、メカニズムの面ではマスタングもヴァンテージも同じような構成だ。だが、前述の「エキサイトしない運転」の面から考えると、両者は激しく違う。それはなぜか。

キーワード2
「気候・風土・社会」

もやもやとその違いを考えているうちに、この連載#3へナカジョー・フリムさんが的確なコメントをつけてくださった。

それはアメリカの風景、アメリカ人の気質、英語(米語)の響き、社会構造、生活習慣、人生観、そして聴く音楽などとワンセットになったもので、なかなかアメ車だけを単体で日本に持ってきても成立しにくい感を抱きます(その点、欧州車は日本でも違和感なく溶け込むような)。

なぜ欧州車が日本に馴染むのかという考察はともかく、筆者が漠然と憧れていたアメ車の要素を、ここまで言語化されると恐れ入るしかない。そうなのだ。結局アメリカという風土や社会構造が育むアメリカ人気質こそが、アメ車を作り上げているのだ。自動車の世界におけるそのエリアを、筆者はまったく未体験と言っていい。あの必要以上にマッチョな車体デザイン(のわりに内装は貧弱)の理由などを、プロダクトを体験することによって理解してみたいのだ。そう考えるとアストンマーティンが「なんか違うな」という違和感とともに選択肢から外れるのも納得だ。基本的に「エキサイトするためのクルマ」だし、出自となる気候風土はどちらかというと東北地方に近いんじゃないか。

キーワード3
「自動車の未来に対する漠然とした嫌悪感と妥協」

というわけで、筆者が自動車に求めるものはシンプルな機構でシンプルな味わいという方向なのだが、そういうクルマはどこにあるのか?と、あらゆる自動車のジャンルを眺めてみると、実は少ない。というか、ほとんどない。そのことに改めてがく然としてしまう。加速・旋回・制動の最重要3要素が、重畳する電子制御で高度かつウェルバランスでできるようになったが、自動車と運転手の一体感は置いてけぼりにされている。現代のFF小排気量ターボはこういう制御なしにはもはや成り立たない。非常に腹立たしい、と思っていたら、この思考の先にも論客が来てくれた。A.Sudさんである。#4へのコメントで曰く。

極論すれば、電制でもいいので「忖度」さえしなければいいと個人的には考えています。レスが悪ければ悪いと正直に反応してくれればいいし(レスが良いに越した事はないですが)、妙な演出はなるべく控えてほしい。
過給機はエンジンの出力特性に「演出」を与えているデバイスと言えますし、変速機が自動化した時点で「演出」という見方もあります。

このコメントのおかげで、筆者の自動車体験を支配するFF小排気量ターボというパッケージに対する不満点も、すっきり見渡せるようになった。結局は「演出」なのだ。自動車メーカーによる「ほら、こういうの、好きでしょ?」という忖度とも言えるし、上級テクニックを持ったドライバーだけが体験できていた世界のほんの一端を、筆者のようなボンクラドライバーにも垣間見せてくれる優しさとも言える(笑)。そこには「車両と運転手の一体感」は無いけれど、キャブレターと完全パッシブ機構という、操作にコツもいれば頻繁なメインテナンスが必要だった頃の煩わしさと無縁の日常がある。確かに2020年の今、チョークレバーを引いて、イグニションの瞬間に少しだけAペダルを煽って…なんてことをオーナーに強制していたら自動車は売れない。自動車メーカーは商品性を高めたに過ぎない。運動性能の演出はそのお釣りみたいなものだろう。その演出が過剰に進み、運転手が必要とされない未来が描かれつつあることには素直に嫌悪感を表明しておくが、「今日はエンジンかかるかな?」という生活が不便であることも認めなければならない。

幸い2020年の今なら、ケイターハム スーパー7も、ポルシェ タイカンも選ぶことができる。お金さえあれば(笑)。メカニズム上の一体感の正体がわかった今なら、電子制御でラクチンに走るマスタングを選ぶことは決して間違いじゃないな、と腹落ちしたのである。拙い筆者の思考にお付き合いいただいた読者諸姉諸兄と、コメントくださったみなさんに感謝いたします。

さて、マスタングのV8+6MTモデルの中古市場価格はいくらかな?


これはタイカン。
2020年3月8日現在、
日本国内売価未定
+ PROFILE
+ accesses since Dec.2009
+ RECENT COMMENTS
+ 「クルマで行きます」用語集
■プン太郎■
筆者の愛車ABARTH PUNTO EVOのこと。
ブログ本文に「プントエヴォ」と
フルネームで書くと煩わしいので命名。

■R、K■
R=国道(Route **)
K=県道(Kendo **)
のこと

■S店長■
筆者のMiTo購入時の担当営業さん。
現在VOLVO仙台泉店の店長。
筆者のクルマ人生を変えた人。
一言で言えばカーガイ。

■K店長■
クライスラー・ジープ・ダッジ仙台の店長。
TCT版リリースを機に滑り込みで
MiTo1.4TSportを購入したカーガイ。
カーオーディオ地獄サバイバー。

■顧問■
筆者の友人太郎君のこと。
エンスージアストにしてドラマー。
いろんな意味で筆者の指南役にして
このブログの技術顧問(と勝手に思っている)

■朝練&夜活■
早朝に走りに行くのが朝練。
夜に走りに行くのが夜活(やかつ)。
夜の走行活動の略。
どちらもひとりであてもなく走る。
つまりひたすらクルマとの対話を楽しむ。

■EDO■
Eat and Drink Organizationの略。
親友2名と行うツーリング企画の名。
「移動に有料道路は使わない」
「同乗者無しでひとり1台」
「うまいものを食べ、飲む」が掟。
+ CATEGORIES
+ LINKS
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31      
<< March 2024 >>
+ SELECTED ENTRIES
+ RECENT TRACKBACK
+ ARCHIVES
+ MOBILE
qrcode
+ OTHERS
このページの先頭へ