クルマで行きます

クルマが好きなことにかけては人後に落ちない。
東北のABARTH PUNTO EVO乗りが綴る、クルマについてのあれこれ。
試乗記・トヨタ ヴィッツ・クルマの趣味性とはなにか
| 試乗レポート | 09:46 | comments(16) | trackbacks(0) |

老母がトヨタ パッソを車検に出した。代車に乗って帰ってきたら、その代車はヴィッツだった。現行、すなわち3代目。初代はスターレットからのリプレイスでものすごく力が入っていたとのことだが、2代目を経て現行の3代目の劣化具合は酷い!と見聞きしていた。特に最量販グレードの手抜きが酷く、慌ててマイナーチェンジが施された…とも聞く。筆者としてはどれだけ酷いのかの方に興味がある。場合によってはレンタカーで半日借りても良いとすら思っていた。そりゃ運転してみるわ。

さて本稿、「また欧州車バカによる偏見たっぷりのトヨタディスり大会だろ」と思われた方には申し訳ないが、ヴィッツ、決して悪いクルマではなかった。そのことに筆者本人が驚いている。自分で買うとは微塵も思えないが、買うという人を全力で止めるようなことはしないだろう。ただし買い手のキャラクターを判断しつつ…ではあるが。そのあたりを軸に書いてみたい。
 


本来なら仕様などを明らかにすべきなのだが、さぼってしまった。夜間に30分ほどそそくさと乗ってみただけで、車検証を見もしなかった。恐らくハイブリッド無しの1.0Lモデルだろう。レンタカーである。なぜ非ハイブリッドと判断するかというと、ブレーキに回生動作らしいものがなかったからだ。試乗コースは自宅近所のライトな峠道で、自動車の性能見極めのための筆者定番コースである。

●運転環境
ハンドルはシートに正中正対しているが、A/Bペダルにはオフセットあり。RHD前提の国内設計車両にペダルのオフセットがあることを、みんなもっと怒っても良いと思うんですが。しかしペダルの組付けそのものはしっかりしている。正直こんなにしっかり組み付けられているとは!と驚くレベルである。家人のシトロエン C3以上VW up!未満。シートは平板かつ座面長が不足気味。ではあるものの座り心地は悪くない。決して豪華なイスではないが、必要最低限のものにはなっている。メーター類は速度計、水温計、燃料計の3つでタコメーターはなし。CVTだから回転数がわからない方が心安らか…という理由かどうかは知らないが。

スイッチやダイヤル類の操作感は上々。スイッチ類がラッチする際のしっとりした抵抗や、ダイヤル類の抵抗やノッチの切り方など、決して貧乏くさくない。こういうところはFCAもPSAも見習ってほしい。スマートキーにスターターボタン。もはやヴィッツですら。シフトノブ、サイドブレーキレバーの周辺には様々な形の溝が掘られていて、小物類を置くのに便利。実際にスマートキーを置いておいたら、旋回時にカタカタとうるさかった。

●運動性能
まずは加速性能。意外なことに過不足を感じない。トヨタ車の身近な比較対象となると、まさにヴィッツ試乗のきっかけとなった車検に出しているパッソ(初代の1リッターモデル)なのだが、あれと比較するのも申し訳ない…というくらい違う。少なくとも60km/hまではまったく痛痒を感じない。ただし3気筒ガソリンエンジンのびゃーーーっ!という音は、容赦なく室内に入ってくる。

感心したのは足周りの動きで、さぞかしだらしない低速スペシャルなぼよんぼよんサスだろうと思っていたのだが、日本の道路事情を熟知したなかなかの足周りだった。プン太郎だと急減速せざるを得ないような段差や穴なども、必要以上に丸めず、かと言って余計な揺り戻しや微動などをうまく封じている。筆者の知る限り一番モダンかつよくできた足のC3と比べても遜色ない。やや乾いた印象のしっかりした足だと思う。

パワーステアリングの動きを注意深く探ると、動作に目立った瑕疵は無いものの、前輪の現状を色濃く伝えてくれるわけではない。またどの角度でも動き始めに粘つくような、妙なフリクションが乗っている。動かし始めのほんの一瞬なので、オーナーになったら気にならないかもしれない。それよりも車体の旋回とハンドルの切り増し分に僅かながらズレがあって、結果として「切ったのに思ったより曲がらない」場面があった。タイヤとのマッチングもあるのかもしれない。そのタイヤのブランドと商品名は忘れたがエコタイヤ。横方向に踏ん張れない。峠道の登り旋回時、ズルズル横に出始めているのかもしれないのに、ハンドルはそれを教えてくれない。筆者の知る欧州車の典型のように、高負荷高機動になるほど動作がシャープになっていく…のとは反対。速く深く曲がろうとすればするほど挙動のフォーカスがぼけていく。

ブレーキは全般的に欲しい能力の8割9割というところ。夜の峠道とその周辺での試乗で、人もクルマも周囲にいない状態。せっかくだからパニックブレーキも試してみるか、とまさにBペダルに足を置いた瞬間、草むらからタヌキが飛び出してきた。図らずも本気のパニックブレーキになったのだが、本気の制動力はあまり高くないことがわかった。「!、止まらん!!」と踏み増しても制動力は微増するだけで、ギュギュッとアスファルトを引っ掻くような制動はしてくれない(タイヤもタイヤだしな)。思った以上に制動距離が延びるけれど、ともあれそのタヌキもヴィッツも無事で、その後帰宅するまでにもう1匹タヌキ、さらにネコ?も飛び出して来た。田舎の夜の試乗は、人間よりも夜行性動物に注意が必要なのだ。

●まとめ
トヨタのクルマは60km/hまでの範囲でなら卒なくまとまっている。これは筆者の持論だが、このヴィッツもやはりそうであった。ノイズ制御だけはプアだから車格を意識してしまうが、それを言うならプン太郎もC3も同様である。ただヴィッツは何をどうしてもいっぱいいっぱいな印象だが、C3は余剰というか、余裕を感じる。1リッターと1.3リッターの違いだろうか。エマージェンシー的な動作はブレーキ以外は試していないが、日常領域で破綻を感じることは恐らく無いだろう。しかもレーンディパーチャーアラートまで付いているのだ。峠道を上ったり下りたりしている間、時々ピーピーとブザーが鳴るので何かと思ったら、白線を踏んでいたのだった。白線を踏んでいることを教えてくれるくらいなら、パワステのチューニングをもっとしっかりやってくれよと思う。パワステがもっとちゃんとしてれば白線なんざ踏まねえっての。ともあれ走り以外の要素を豪華にするトヨタの執念はすごいと思う。これが売れるクルマ作りである。

CVTや薄っぺらいイス、情報の少ないパワーステアリング、緊急時にはあまり頼りにならないブレーキと、あれこれ論う(あげつらう)ことはできるが、それらのことを気にしない人が買うのがヴィッツである。またほとんどのユーザーが60km/h以上で忙しくハンドルを動かしたりはしないだろう。ヴィッツの運転席に座っても、そもそもそんな気が起きない。だから今ここに書いたことは購入時の減点要素になり得ないのだ。そうなると100万円台半ばという車両本体価格と合わせれば、ヴィッツを否定する要素がなくなってしまう。運転していて命の危険があるとか、健康に害があるとか、少なくとも積極的に購入を止める理由がないのだ。

試乗中、ヴィッツがプン太郎よりも優れているか考えた。答えは否である。そもそも立脚点が違う。ではシトロエン C3との比較ではどうだろうか。意外や拮抗していると思った。ヴィッツには安普請ゆえのビハインドはあるものの、CVTを除いて個々の性能要素だけを比較すれば、C3になんら劣る部分はない。

トヨタはこのヴィッツのユーザー像をどう想定したのだろう。商用から自宅のセカンド/サードカーまで、実に幅広いユーザーがいると思う。トヨタ車のどれでも良いのだが、初めて運転席に着席した時に、「お、こいつとはうまくやっていけそうだ」などという感慨は一切湧かないのが常だ。誰でも抵抗なく運転できるように調整した結果、誰のためにもならない乗り味になるのだ。トヨタ車の運転フィールはいつもどこかよそよそしい。最大公約数でありアノニマスなのだ。もちろんこのヴィッツもそうだった。

C3はもちろん、プン太郎にも「こういう運転をした時がもっともパフォーマンスが良い」という範囲が確実にある。そこを見切る必要はある。その見切る一手間こそが、自動車という機械の「趣味性」と言われる部分ではないか。「わからない人もいるかもしれないが、自分はわかった!」という優越感と言い換えても良い。クルマによってその範囲は千差万別だが、趣味性を内包するクルマはユーザーとの対話を要求する。ヴィッツは対話を求めない。オーナーとクルマは常に主従関係であり、クルマは従者であれば良いと考える人にとって、ヴィッツは買い得感の高い自動車である。

試乗記・alfa_manbowさんのアルファロメオ 156 2.5 V6 24V
| 試乗レポート | 21:02 | comments(14) | trackbacks(0) |

先日実施した当ブログのOFF会。その参加者の愛車を運転させていただく僥倖を得た。これまでに3台の備忘録的試乗記をアップしてきたが、最後はalfa_manbowさんのアルファロメオ 156である。
 


説明の必要もないが、
一番手前の黄色いヤツが
156。
全塗装の憎いヤツ


V6ですよ。2.5リッターの自然吸気ですよ。あと「アルファロメオオーナーになれます」。などなど、このクルマの魅力を色々な言葉で書くことはできるが、それらをひっくるめて、結局は「運転体験の密度が濃い」、これに尽きるのではないか。先に書いた3台に比べると明らかに遅い。しかしこれは正しい書き方ではない。先の3台は「過剰に速い」のだ。プレイステーション1から2に買い替えると1には戻れないように、プン太郎や124スパイダーに慣れてしまうと156は遅い。そもそも動的性能に無駄な部分が多い。効率が悪い。

だがその余剰な部分を飲み込みつつ走りを組み立てる面白さはどうだ。クルマとの対話なんていう手垢の付いたフレーズに、俄然リアリティを感じてしまうのが156の運転体験だ。加速のひとつひとつが、大小の旋回のひとつひとつが、数手先を読んで自ら組み立てなければならず、「なんとなく」な運転では許してくれない。695Cでは、メガーヌR.S.では、124スパイダーではあっという間に達してしまう80km/hが、156では「ひと仕事したなー」という達成感とともに実現される。こんなにペダル踏んだりシフトノブを忙しく動かしたんだから、もう120km/hくらい出てるんじゃないかなーとスピードメーターを見ると、「えぇっ!?まだ80km/h??」という驚きになる(違法です)

そのことでイライラするかって??真逆である。こんなに楽しいのに安全な速度なんだー!という安心感(笑)。156の運転の楽しみとは「過程」なのだということがよくわかる。最近「ダウンサイジング過給エンジン」の功罪を考え続けているのだが、156を運転すると「なんか、クルマってこれでいいんだよな」と思わされてしまう。プン太郎の悪い面に気付かされてしまう、ある意味恐ろしいクルマではある。
 

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試乗記・denzouさんのアバルト 124スパイダー
| 試乗レポート | 21:22 | comments(6) | trackbacks(0) |
立て続けに4台の試乗が叶った先日のOFF会。備忘録的な試乗記の第3弾はdenzouさんのアバルト 124スパイダーである。

このブログでは124スパイダーの試乗記をすでに2本掲載している。

2016.10.18.
試乗記・ABARTH 124スパイダー あれこれ言ってもしょーがない
2019.05.04.
試乗記・アバルト124スパイダーふたたび

上記Tazzaさんの個体とは異なり、純正のビルシュタイン足に純正装着タイヤ(ポテンザ RE050Aである!)、その他諸々純正状態(ホイールだけは軽量化)のdenzouさんスパイダー。Tazza号は大変な好印象だったが、それは多額のお金をかけた足周りや吸排気系のおかげかもしれず、純正状態には盛り上がれなかったらどうしよう…という心配があるにはあった。走り出すまでは。だが杞憂だった。どうも発売直後の試乗で盛り上がらなかったのは、運転姿勢を御座なりにしていたからのようだ。許可をいただいてシートポジションをあれこれ調整し、適正な運転姿勢でもって走ってみたdenzou号、やっぱり楽しいことがよくわかった。

ではdenzou号とTazza号の違いは何か?と問われれば、反応の情報量ではないか、と答える。「とんかつ好き?」という問いに対して、denzou号は「うん。好き」と応え、Tazza号は「好き好き!ロースとヒレならまずはロースかねぇ」と応える感じ。なんじゃそりゃ。つまりTazza号はいくらか饒舌なのだ。しかしそれは比較の問題であり、denzou号が無口なわけでは決してない。短期間に乗り比べたからこそわかる差異である。またdenzou号は物腰穏やかだが、Tazza号はややワイルド/豪快だった。交換した社外パーツのキャラクター故だろう。

そういう事象から想像するに、124スパイダーの基になっているマツダ NDロードスターそのものがキャパシティぎりぎりに作られていて、市井のチューナーはもちろん、大フィアットでさえ一発大逆転的なキャラ替えチューンナップは難しかったのではないか。素材としてそもそもソリッドなクルマなのだろうと想像するもの也。denzouさん、本当にありがとうございました。

※なんと、denzouさんのスパイダーをピンで写した画像がなかった!すみません
 

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試乗記・ルノー メガーヌR.S.(Sr.3)
| 試乗レポート | 22:16 | comments(2) | trackbacks(0) |

西蔵王公園でまったりしつつも、多くのヘンタイご用達グルマを運転させていただく僥倖を得た先日のOFF会。本章はしまの助さんのルノー メガーヌR.S.、それも名作との誉れも高いシリーズ3の備忘録的試乗記である。
 


以前ごく僅かな時間・距離を運転させていただいたことがあり、筆者にとって理想の1台であることはすでにわかっている。改めてじっくり味わわせていただけてありがたい。しまの助さんからは「前回ノーマルモードでしか乗ってないでしょう?今回はちゃんとエクストリームモードで走ってください。あとトラクションコントロール、OFFにしておきます」と言われ、無闇に緊張(笑)。ここで言うモードとは「アクセルマッピング」のパターンのことで、言うまでもなくエクストリームモードとはエクストリームなモードである。ジュリアのd.n.a.システムのトラックモードみたいなものだろう。加えてトラクションコントロールOFFって、しまの助さんのこいつを壁に突き刺したりしたら、いくら払わなきゃならないんだろう…。

大人の分別というよりも、支払い能力の限界値を遥かに超える賠償額が怖くて(笑)、最初のコーナーでタイヤを軋ませてからはそんなにベタッとAペダルは踏んでいない。そんなおっかなびっくりな運転でも、三代目メガーヌ、やっぱりとにかくゴキゲンである。試乗を終えて口をついて出たのが「ほぼ初めて運転するのに、まるで買って3日目くらいの馴染み方」だった。1,850mmもある横幅はまったく気にならず、車体外周の把握がおそろしくわかりやすい。ペダルのツキ、つまりAペダルを踏んだ量と加速の度合いが美しくシンクロし(エクストリームなモードだから?)、もちろん旋回はニュートラル。電子制御とは俄には信じられない濃厚タッチのEPSは素晴らしく、ハンドルの切り始めから角度を増していっても(もっと言うと切り増す速度が様々でも)、クルマの向かう方向との関係はひたすらリニア。制動も同様。それでいてホイールベース長2,640mmのおかげか、動き出しから左右に振っている時まで、運転手に「安定感」を常に提供する。簡単に言えば、何をどうやってもクルマに裏切られる気がしないのだ。アンコ薄めのホールド感の高いシートも過不足なく身体を支える。アップダウン少なめ、かつ左右の深浅取り混ぜた西蔵王公園から蔵王温泉までのワインディングロードで、かなり本気で踏んでみたのだが、結局しまの助さんに多額の賠償金を支払うことはなく、終始メガーヌの手のひらの上で遊ばせてもらっている感覚であった。笑いが止まらないとはこのことである。
 


そんなメガーヌR.S. Sr.3の運転体験を簡潔に述べる言葉を探してみると、それは「クリーミー」である。濃厚かつ舌触りなめらか。クルマからの情報量は膨大で、その情報をもとに運転手が下す判断と命令をリニアに実行する。もっさいっこ!そこまで褒めるのに、なぜプン太郎を買ったのかって??高いんですよ、こいつは(号泣)。

試乗記・アバルト 695C RIVALE
| 試乗レポート | 21:43 | comments(9) | trackbacks(0) |


別にエントリーしたとおり、5月恒例の西蔵王公園でまったりOFF会が開催された。相変わらず魅力的なクルマが多数集まるので、無理を言って運転させていただくこともある。毎年そんなことをやっているので「乗ってみます?」と誘ってくださる方もいる。お言葉に甘えて、今回はなんと4台も運転させていただくことができた。さすがに半日で4台も試乗するのは初めてで、1台あたりについて書くことができることは僅かだが、毎度毎度長文のエントリーをアップする必要もなかろう。1台ごとの試乗記をシリーズでアップする。もはや備忘録程度のテキストだが、ご笑納いただきたい。まずはProfumo姐さんのアバルト 695C RIVALEである。
 


せっかくなので
ナンバープレートに
多数付着した
虫の死骸は残してレタッチしました

 

姐さんご自慢の1台なのでちょっと気が引けたが、せっかくのチャンスだし、「ほら、乗ってもらうためにエンジン切ってないんだから!」と発破をかけられたので運転させていただいた。そもそも(素のモデルとしての)595のポテンシャルが高いことは身を以て良く知っているので、今回の味わいポイントは「開いた屋根で剛性が下がるのか?」と「ATモード付き5速シーケンシャルシフト」である。で、それらはまったく問題がなかった。屋根が開くと言ってもやや変化球なCモデル。開くのはキャンバストップだけでA/B/Cピラーは健在なので、左右に振り回してもきしみとか捩れとか、そういう不安感とは無縁。つまり高剛性。またフィアットのシングルクラッチATもイイカゲン慣れましたというか、むしろ楽しみというか。以前からシフトノブをグイグイ動かすよりも、パドルさえあればなぁ…と思っていたので、姐さんのRIVALEはその意味では理想である。下手なMTよりも断然速いし、むしろワインディングでは両手をハンドルから離さなくて良いので、あれこれ考える要素がひとつ減ってストレスも減る。
 


本文では触れなかったが、
ステアリングボスを咬ませて
ハンドルを手前に持ってきている。
その他パドルとウィンカーレバーの
エクステンション他
加飾・小物多数(笑)


この2点の好印象からだけでも、プン太郎とは違う楽しみがあることがはっきりわかる。加えて姐さんのお勧めポイント(笑)、アクラポヴィッチのマフラーサウンド。60kmで音が急変するからね!と教えてもらって走りだしたわけだが、なるほどこりゃタマラン。図太い低いエグゾーストサウンドが60km/hを境にクオーーーーンと甲高いピッチに変わる瞬間は、わかっちゃいるけどヤメラレナイ。

結局、剛性そのままで解放感120%アップ!に加えて加速はもちろん制動力も文句なし。EPSだけはもう少し手応えがあっても良いような気がするが、もっと上の速度域だと辻褄が合うのかもしれない。けっこう上の速度域で走ったつもりなんですが、これでも(笑)。で、これらの要素がまとまると、695C RIVALE全体の印象を一言で表すと「靴底が厚い感じ」。はっきり言って、こいつから乗り換えるクルマを探すのは苦労するだろうなぁ。Profumo姐さん、ありがとうございました。
 

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試乗記・我が家のシトロエン C3 SHINE
| 試乗レポート | 22:12 | comments(8) | trackbacks(0) |

2010年から9年間乗り続けたシトロエン DS3から、同門のC3へ家人が乗り換えることになった。紆余曲折を経て実際に家人が購入したのは(株)イデアルさんの自社登録物件で、俗に言う新古車である。購入の経緯はこちらをお読みいただきたい。

さらばシトロエン DS3

改めて我が家の一員となったC3の試乗記を書いてみる。本来は諸元を提示するのだが、それは公式サイトのそれに譲ろうと思う。

シトロエンジャポン公式サイト/C3

2019年5月6日、家人が筆者ともどもお世話になっているS店長立ち会いのもと、どきどきわくわくの納車の儀が行われた。イデアルさんはPSAとFCAのディーラーであり、扱っているクルマはヘンタイ寄りのものばかりなのだが、生粋のヘンタイたるS店長はなぜかボルボの担当である。組織マネジメントとは難しいものだ。「ボルボ車の車両説明なんか2時間くらいかかりますよ。今日はシトロエンの現オーナーさんの乗り換えですから10分もあれば…」。そう言えば筆者のプン太郎納車の儀も30分くらいで終ったもんなぁ(笑)。実際には書類の確認も含めて小1時間かかったのだが、昨今の最先端の自動車の納車は大変だ。

さて試乗記ではあるが、そもそも発売直後とC3購入時の紆余曲折の過程ですでに書いている。

【試乗記】シトロエン NewC3・これは売れますよ、という特殊な見解

DS3・FX問題に決着か「S店長、パンダの見積もりください!」

なので納車当日に行った宮城県北部の伊豆沼まで往復120km程度のツーリング+市内用足しで改めて感知できた事柄を書こうと思う。前提として大きく印象が覆ることはなかった。総論めいたことを書けば「素敵なBセグメント車両」である。家人の乗り出し価格は200万円台の半ばなのだが、昨今の国産Bセグメント車両だってオプションを無軌道に付けていけば200万円台の前半にはなろう。改めてC3のルックスとその乗り味を考えれば、少しだけ高い価格を飲み込むことは充分可能だと思う。

●運転環境
ハンドルは許容範囲として、ABペダルのオフセットは明確にある。さらにメータークラスタが左に寄っている。同門PSAのプジョー車のi-Cockpitと異なり、シトロエン車のハンドルとメータークラスタの位置関係は伝統的なもの。だからこそクラスタの左遷移がはっきりわかってしまう。

ベストドライビングポジションをまだ見つけられていないが、基本的な運転姿勢はアップライトに座る実用車然としたもの。チルトとテレスコ調整を駆使して適切なハンドル位置を見つけられれば、健康的な運転姿勢を多くの人が取れると思う。

運転席と助手席のシートの作りは上々。特に座面の柔らかさと沈んだ先のお尻の受け止め方はかなり良い。体重を均一に受け止めてくれている。一方でシート背面はホールド感は最低限ではあるものの、背筋を伸ばして肩甲骨で背面を押し付けるような姿勢を取れば、あとは姿勢のことではあれこれ悩まずに済むだろう。クルマの主張を理解しやすいシートだと思う。

反面3人掛けの後部座席は座面も背面も肉が薄く、ちょっと落ち着かない。ただガラス面積が広く、DS3で感じるような「閉じこめられ感」とは無縁。久しぶりに購入する5ドア車両だが、その恩恵を充分感じられる造りではある。もっとも音振は最低限なので、走行中にフロントシートの人と会話するには、少し声を張る必要がある。なにしろ後部座席ではウィンカーの作動音が聞こえないのだ。

クライメイトコントロール、オーディオ他、車両設定のすべてをまとめた液晶ディスプレイについては、別に章を設けることにする。

●走ると
1.2l直列3気筒+6ATは必要充分以上。この組み合わせでようやく他のBセグメント車両と対等に比較してもらえるようになった(はずだ)。そして車重はDS3とほぼ同じなのに、C3の挙動は軽やかに感じる。特に加速時にそれは顕著で、アイシンAW万歳である。ちなみにこの6AT(PSAではEAT6という)は市街地の巡航速度程度では、ギアが何段であれ概ね2,000rpm前後までしか回らない。それでいて加速に痛痒を感じないし、慣らし運転中だからむしろありがたい。PSA伝統の「スポーツモード」で不用意にAペダルを煽ると、あっという間に5,000rpmを超えて回そうとする。ただそういう鞭の入れ方をすると、足周りがキャパオーバー気味になって旋回時のロールは盛大になるし、ミシュラン プライマシー3というエコタイヤのグリップの限界が低いことも早々にわかってしまう。スポーツモードに相応しい場面がよくわからない。もっとグリップ能力の高いタイヤへ履き替えれば、万事うまくまとまるのかもしれない。

一方ノーマルモードでの話として、停止からそろりそろりと発信するような場面では、エンジンのシャクりがはっきりわかってしまう。これは別にC3に限った話ではなく、それこそプン太郎でもよく体験する。「バランサーシャフトが入ってますけど、3気筒エンジンですから音や振動はそれなりに…」とS店長も釘を刺してはいた。実際走行中でもエンジンノイズは気にならない音量レベルだから心配はいらない。ただノイズ軽減のためにエンジンマウントを緩く設えるのは、ダウンサイジング過給という手法を取る欧州車ではもはや定番のチューニングだから、シャクりは不可避と思った方が良い。エンジンを揺すらない微速発進のためには、Aペダルのコントロールに気を使う必要はある。

だからC3、本当はスポーツモードでバシッと発進して、動力性能のマージンを多めに残しながら走るのが本来の姿なのだろう。沢村慎太朗の気合いの入った試乗記では、フランス国内の高速道路事情に合わせたと思しき100-130kmでの走行が、もっともバランスが良いと評されていた。ただ前述のとおり、そうやって走るには足周りが力不足な感がある。

●曲がると
EPS(パワステ)のチューニングに気になるところはない。この旋回マナーもDS3を彷彿とさせる部分で、そう言えばプラットフォーム、おんなじなんだよなぁ、と思わずにいられない。そのマナーは左右への動き始めはスッと素直に鼻が動き、そのままオンザレールをキープしやすい安心感が持てるもの。ただコーナーへの進入速度を見誤ると、速度一定のまま旋回が深くなっていくような場面では、そのハンドル操作との親和性が少し薄まる。根本においてパワーステアリングのチューニングは素性が良いと思うので、きれいな旋回をしたければ進入速度管理だけは気をつけろ、ということになるのだろう。逆に言えば足周りとタイヤを替えれば、さらに高い速度域での美しい旋回を見せてくれるんじゃなかろうか。

●停まる時
ブレーキサーボのマスターシリンダーをエンジンコンパートメントの左に残したままらしい。これもRHDのPSA車両の伝統で、そんな伝統は今すぐ捨ててほしい。右側にあるBペダルから左側のマスターまでに余計な介在物が挟まるため、踏み込み始めのタッチが曖昧になる。これは渋滞時の微速停止の際に大きく影響する。要は同乗者の頭をぐらぐら振ってしまいやすいのだ。停止の瞬間にギアをニュートラルにするとか、全神経を右足に集中するとか、ストレスフリーなブレーキとは言い難い。ただしキャパシティは充分。速度域が高いほどまとまるようにチューニングされているのだから、ある意味でそれは当然なのだが。

●インフォテイメント
センターコンソールに巨大な液晶ディスプレイが鎮座。クライメイト、オーディオ、車両諸機能の設定はすべてここで行う。物理的なスイッチはボリューム(ミュートボタンを兼務)ノブ、フロントとリアのデフロスター、ハザードランプ、ドアロックだけである(PSA伝統のESPカットスイッチはステアリングコラム右側にひっそりといる)。最初に声を大にして言いたい。諸機能の設定方法をタッチ式ディスプレイにまとめるのは、運転手の視線を必要以上に占有するので危険だからダメ。このことについてもうクドクド言うのはイヤなので以上。操作系統以外のことについて書くと、アイドリングストップを解除してもエンジンを一度落とすとリセットされてしまうのは苦痛だ。これはせめて設定維持できるように(それこそソフトウェアアップデートで)対応してほしい。純正オーディオの音質を云々するのは野暮だが、今どきの音楽を今どきの音質で聴く分にはあまり痛痒を感じないだろう。いやむしろ低音をカットしたくなるかもしれない。最初からコンプレッサーがかかっているような、喉の奥がきゅっと絞まるような音質だ。ちなみにFM放送はきちんとスキャンしてくれるが、AM放送は全滅。ほぼまったく受信できない。これはもう少し追求するつもりだ。Apple Carplayを利用するには有線接続が必要。GoogleMap.appがセンターコンソールに表示されるのは便利この上ないが、操作には慣れが必要かもしれない。

●まさかの諸安全装備
いや、我が家のクルマにこんなにたくさんの電子アクティブセイフティ機能がやってくるとは思わなかった(笑)。普通に運転していてその存在を知ることができるのは「レーンデパーチャーウォーニング(車載カメラが常に監視していて、車線からはみ出しそうになると警告)」と「ブラインドスポットモニター(ドアミラーの死角部分に障害物があるとミラー内で警告)」。狭い道で対向車を除けるために脇にギリギリ寄せても警告する反面、明らかに障害物がないのにドアミラー内でオレンジの警告灯が点いたりする。まぁこの辺はご愛嬌である。その他キーを持っていればドアノブに触るだけでロック解除/施錠、エンジンON/OFFは便利この上ない。またバックカメラは運転手の車両把握能力を退化させるのでなるべく見ないようにしている。

●Connected CAM CitroenTM
ルームミラーにフルHD、広角120度カメラと16GBのメモリを内蔵。衝撃を受けた時には前30秒/後60秒の動画を自動的に保存する他、シャッターボタンを押すことで静止画像/動画を任意のタイミングで記録することができる。記録したデータはWi-Fi経由でスマートフォンアプリと共有でき、即座にSNSにアップすることも可能。秘かに楽しみにしていた機能なのだが、広角だからかちょっと画像が粗い。まぁ使えないこともない…というレベルだろうか。ま、SNSに流すくらいなら充分かもしれない。
 

こんなの
 

ここまではオーナーの贔屓目ではなく、これから本気で買おうと思っている方向けになるべく事実をフラットに書いてみたつもりだが、ここからは任意保険を共有するオーナーの視点で書いてみよう。DS3と比べてとにかく加速が俊敏で、少なくとも前席の静寂性も及第点。微速域のアクセルワークにコツは必要だが、速度が乗ればゴキゲンなのは保証する(DS3も同じだったなぁ)。ハンドリングのシェアさは、この1点だけを以てわざわざフランスのクルマを買う理由になる。まぁつまりは同一プラットフォームの正しい進化系なのだった。何よりキュートでポップっす。筆者がオーナーならエコ系タイヤを速攻で外し、それでもまだロール量が気になるならバネ+ダンパーを替えるだろう。トランスミッションはスポーツモードをONにさえすれば充分だ。これにエアクリ交換を加えれば、快適性と高機動性を両立した「羊の皮をかぶった狼(の子ども)」にはなれると思う。

ま、そんな「しなくて良い改造」をしなくても、C3はBセグメントにありがちな「コストも性能もギリギリっす」感が希薄なのが美しい。セイフティ機能や車載カメラなどのギミックを差し引いても車両の基礎運動能力が高い。これぞ枯れたシャシーの醍醐味、チューニング領域のキャパシティが広かったことを想像させる。スズキ スイフト以外の国産Bセグメントにため息を付いている人は、これ買ったらいいんじゃないですか?運転してニッコリ、停めてるC3を見てまたニッコリできる憎めないヤツなのだった。
 

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試乗記・アバルト124スパイダーふたたび
| 試乗レポート | 09:58 | comments(12) | trackbacks(0) |


Tazzaさんのアバルト 124スパイダーを運転させていただく機会を得た。Tazzaさんは昨年、右折レーンで信号待ち中に後続車に追突されるという事故に遭われた。身体も心配だが124もダメージを負った。詳細な検証を経て修理という選択をし、その際THREE HUNDREDのパーツを中心になにやらドーピングも行ったというその124である。筆者は124スパイダーの国内発売時に簡単な試乗は済ませている。

試乗記・ABARTH 124スパイダー あれこれ言ってもしょーがない

大掴みのところは上記試乗記と同じである。要約すると「良くできていると思うけど、イタリア車とかアバルトという言葉から期待する伊達などと言った要素はほぼ無い」ということになる。だが124スパイダーならではのファンは確かにある。最初の試乗時にそのことを体感できなかったのは筆者の未熟さゆえである。

くり返しになるのでまずは上記試乗記をお読みいただくとして、今回の試乗で気付いたこと・考えたことを中心に書く。

●ドライビングポジション
プン太郎とは正反対の寝そべる体勢を作るのにまずは一苦労。だがステアリングセンターもABCペダルとフットレストの設えも文句の付けようがない。きちんと肩甲骨の位置でシート背もたれがホールドしてくれるポジションを得られれば、124スパイダーを正しく理解できる。前回の試乗時はここを蔑ろにしていたかもしれない。愚かである。

●加速
試乗前半はノーマルモードだったこともあり、第一印象は「プン太郎よりも130kgも軽いようには思えない加速だなぁ」。Tazzaさんからも前情報として「スタート、あんまり俊敏って感じじゃないですねぇ」と聞いていたので、思い込みもあったかもしれない。しかしひとたびスポーツモードに入れれば万事解決である。この辺はプン太郎と同じだ。ちなみに諸元値における車重は124Spider(6MT)が1,130kg、プントエヴォは1,260kgである。1.4リットルマルチエアエンジンにターボ過給、圧縮比やボア×ストロークなどの条件はプン太郎と同一。最高出力と最大トルクはわずかに124スパイダーが劣るなど、細かい数値に微差はあるにはある。だが挙動として感じるもっとも大きな差はFRかFFか?ということだろう。

●旋回
鼻の入り方は痛快だ。ちゃんと研鑽を積めば、滑り出しやすいというリアにカウンターステアで対抗するなんてことができるかもしれない…、とつい思ってしまう。よく知っているFF車両の旋回挙動と比べ、この「曲がること」「クルマを前に押し出すこと」の分業は新鮮だ。またその分業は低い速度域でも充分感じることができる。

●制動
意外やこのブレーキが曲者だった。制動力をグラフにすれば見事な右肩上がりの放物線ということになろうか。立ち上がりが遅いのだ。だが「まずはエンジンブレーキ、次にフットブレーキ」というメソッドで御してやれば、Bペダルを踏んだ直後の部分をエンジンブレーキがきれいに補填してくれて、結果としてニュートラルな制動力を得ることができる。このクルマはエンジンをそれなりの回転域まで回してやっていることが重要なのだ。

●走行中
Tazzaさんは足周りをごっそりTHREE HUNDREDの社外品に替えてしまっているため、純正状態の評価はできない。その上で走行中の印象を書くと、硬いが路面からの入力を丸める最低限の仕事は行っていると言える。また入力によって揺すられても、その収束は速い。言ってみれば「爽やかに硬い」。この点について結論めいたことを書くなら、「足周り、替えちゃうのが吉」である。
 


最近Tazzaさんがしきりに
O.Z.を勧めてくると思ったら…



ああっ!こんなところまで…


硬いと言えばシフトノブ。発売時の試乗では硬いというよりも動きがぎこちなくてがっかりしたのだが、Tazzaさんの個体は適度にこなれていて、シフトチェンジが楽しくて仕方ない。乗り慣れたプン太郎の実用車チックなシフトに戻ると戸惑ってしまうほど、マツダ内製6MTの動作は正確でショートストロークだ。

もうひとつ硬いと言えばボディ剛性。今回の試乗は全行程幌を開けた状態で走ったのだが、そこそこ舗装が荒れていたにも関わらず、不安な様子は微塵もなかった。これもすごいことだ。

●2度目の試乗を終えて
低く座るドライビングポジションが体得できると、124スパイダーが語りかけてくる多くの言葉をきちんと受け止められる。イタリア車だのアバルトだのという先入観を払拭して、ニュートラルにこのクルマを味わうことができた。結果、これ欲しい(笑)。ナビを含めたマツダコネクトやトップ中央に赤線の入ったハンドルは必要ないが、青天井の下で風を感じながら6MTをゴキゴキやる楽しみには抗いがたい。alfa_manbowさんにホンダ S2000を運転させていただいた時もそう思った。楽器を運ぶ時?家人のC3を貸してもらうことにしよう。
 


ここでは伏せているが、
希望ナンバー制を行使したナンバーは
K店長に「124はこの番号じゃないとダメです」と
強制的に付けられたという…



今回の試乗は仙台市の西方の山奥、定義山の西方寺からさらに西に入る十里平方面への道行きと大倉ダム周辺の道路で敢行した。初めから狙ったわけではないのだが、走ってみればそこそこのカーブとアップダウンや直線路の配分がちょうど良かった。「久しぶりにのんびりクルマの話でもしましょう」というTazzaさんからのお誘いに感謝申し上げる。筆者行きつけのカフェ門前喫茶Norahへお誘いしたものの、店内もすごい混雑だった。Tazzaさん、世間がざわついていない時期にまた遊んでください。まずは5月25日の西蔵王公園OFF会、お待ちしております。



絵になりますなぁ
 

JUGEMテーマ:ABARTH

試乗記・ホンダ フィット(初代)
| 試乗レポート | 19:36 | comments(8) | trackbacks(0) |

少し時間が経ってしまったが、2018年12月のプン太郎車検時にあてがわれた代車ホンダ フィット(初代)について書いてみたい。と言ってもすでに3代も前の車種についてのバイヤーズガイドもどきを書いても誰かの役に立つとも思えないし、新車時とは変質してしまった乗り心地のことをあれこれ書かれてもホンダも迷惑だろう。そこで「フィットに乗って考えたこと」を中心に書いてみたい。というのもこの初代フィットに乗って、少なからず驚くことがあったのだ。

このフィットを借り受けていた期間中、生業が最高潮に忙しかった上にいろいろあって、家人のシトロエン DS3で移動することが多かった。あれよあれよとプン太郎受け取り当日になってしまい、フィットの外観写真も車検証データもメモし忘れた。いつもの試乗記フォーマットでないことをお詫びする。今回の個体の総走行距離数は141,200kmくらいだった。

さて筆者はこれまでの人生で何台かホンダの製品に乗ったことがある。実際に所有したことは人生最初のマイカーとなったホンダ シティターボだけだが、友人Mの家グルマだったコンチェルト、アコード、MiTo整備中の代車としてイデアルさんからあてがわれたThat's、ストリーム、友人@のアコードワゴン、助手席に乗せてもらった友人Aのエアウェイブ、S店長に試乗させてもらったシビックType Rユーロ。しかも仕事で乗る社用車は初代ステップワゴンである。80年代から10年代まで、約30年に渡るホンダ車両の変遷(笑)を点描することくらいはできそうだ。

試乗記・HONDA That's これで満足できる人

【試乗記】ホンダ ストリーム(初代)・どうして楽しいの?

もっとも上掲試乗記以外の個体については、ほとんどが今ほど自動車にのめり込む前の試乗体験なので、1台ごとのあれこれを書けるほどの記憶はない。しかしそれでもそういう体験を基準として筆者のホンダ車両への印象と理解をまとめるとこうなる。


特殊モデルは素晴らしいのに、素のモデルの造りは粗い。


筆者がこれまで能動的に体験してきたホンダ車は、文才がないから様々に言葉を使って長文の試乗記を書いているが、一言で言えば「粗い」。走る・曲がる・止まるの三要素のバランスが悪い。走るけど曲がらないとか、「〜けど〜ない。」という印象ばかりである。もちろん現行アコードワゴン(「アメ車みたいなボルボ車」みたいだった)やシビックType Rユーロ(加速・旋回・制動のすべてが高次元でバランス)のような積極的に乗りたいモデルもあるにはあるのだが。しかし一般の、別にクルマなんか安けりゃ何でも良いという風情のユーザーが買うであろうモデルの出来が粗いのが残念すぎる。軽自動車やミニバンと言った中庸・王道ど真ん中モデルの出来が粗いことは、メーカーにとってもユーザーにとっても残念なことだ。

と、今回のフィットに乗るまでは思っていた。だが違った。今回運転できた初代フィットはホンダの中では両極端な世界の中間と言える乗り味だった。中庸の権化トヨタのB/Cセグメントに比べればまだ粗いとは思うが、加速・旋回・制動のバランスは正三角形に近いと言える。例え性能が低くても、その諸機能が正三角形でバランスしていれば運転手は自信を持って運転できる。そういうホンダのBセグメントモデルに初めて出会った気がする。
 


運転席のながめ


三眼式メーターのデザインは好ましい


日本車だけどペダルオフセットはある
(ハンドルとシートのセンターは合っている)


もちろん完璧ではなかった。セルフアライニングトルクの希薄なパワステは鬱陶しかったし、CVTの挙動は明らかにおかしかった。だが冒頭に書いたとおり、これは14万km以上走っている個体なのだ。むしろ14万km走ってもまだ「バランスはそれなりに良い」と思える耐久性を特筆すべきだろう。

なによりも「ホンダの中庸」であることの方が重要だ。40-100km/hの範囲で身体や神経に負担をかけないことは、ある意味で「性能が良い」と言っても良い。ちなみにドライビングポジションを決めた状態で後部座席にも座ってみたが、座面長こそ足りないが、足の置き場所、背面による背中のサポート、バックレストの高さとトヨタ カローラよりも真っ当な環境だった。実際このフィットはカローラの「34年連続通年新車売り上げ1位達成」を阻止した記念碑的モデルでもあるのだった。
 


高くてめちゃくちゃ良いか、安くてどーしよーもないのしか出せないと思っていたホンダが、こんな実直なモデルを出していたことに驚いた次第。街中でフィットを見かけると温かい目で見られるようになったと、もっぱらの評判です。

試乗記・ザガート 155T/S TI-Z
| 試乗レポート | 23:43 | comments(6) | trackbacks(0) |

ザガート155T/S TI-Zという超希少車種に試乗させていただく機会を得た。オーナーの155TI-Zさん(みんカラネーム)とは某SNSでつながっていたのだが、未だ会ったことはない。筆者のプン太郎試行錯誤日記(このブログのこと)をお読みになって「そんなに運転しにくいの?運転してみたいねー」的なコメントをSNS上でいただいた。どうせ乗っていただくなら筆者としても155を運転してみたい。ザガート155の詳細はよくわからないが、アルファロメオ155は試乗したいクルマランキングの常に上位にいる車種。かくして密会が実現した。文中クルマを意味する155と人物のハンドル名として何度も155が出てくると読みづらいと思うので、クルマの方はなるべく厳密にアルファ155とザガート155を書き分けるとして、このエントリーでは155TI-Zさんという人物をKさんと記述することをお許しいただきたい。

時は平日の午前中、密会場所は仙台市北部の「泉ヶ岳」なる山の中腹にある駐車場。ここからさらに数km登ったところにあるスキー場までのワインディングを往復してクルマを味わう算段である。先着した筆者がKさんを待っていたら、はるかかなたから野太いエグゾーストノイズが聞こえてくるではないか(笑)。早朝・深夜の起動が憚られる音質・音量である。Kさんも普通の住宅地にお住まいとお見受けするが、ご近所付き合いは大丈夫なのかいらぬ心配をしてしまう。「やぁやぁはじめまして」のご挨拶をしてさっそく概要など。
 




あまりに希少な個体なので詳細を書いて良いものか迷うのだが、ザガートが製作した数十台の限定車…というか、結局数十台しか作られなかったというか、総製造台数がナゾというか(笑)、ともかく現存する台数そのものが少なく、このザガート製の155、東北ではKさんの個体しか存在しないらしい。国内のザガート155の導入経緯や現状をまとめたデータベースサイトがある。詳細はこちらをお読みいただく方が早い。

Macci-no Maccina

基本的にこのサイトに書かれていることをベースに話を進めるが、ザガート155は95年製アルファ155をベースに内外装のモディファイを施したモデルということになる。四半世紀を超えたご高齢のクルマということになると、メインテナンス事情が気になるところだ。しかしKさんはそちらの知識も技術もある方なので、トラブルがあってもパーツを買ってきて自分で直してしまう。だからもっと古いクルマに乗りたいなんてのたまう。羨ましい。
 


エンジンカバーの結晶塗装は
ご自身の手による


ひととおり個体のレクチュアを受けて、まずは筆者が155を運転させていただくことにする。「現代のクルマと比べるとブレーキが効かないから気をつけて」とのこと。顧問の916系スパイダーでも経験したが、90年代のアルファのブレーキは00年代以降のラインナップのそれと比べると、一様に茫洋としたタッチだ。踏み増しても踏み増しても制動力はぼんやりとしか立ち上がらない。早めの操作と強めの踏力が必要だ。

ブレーキについて最初に書いてしまったが、まずは車両の全体的な話から。エクステリアの全体的な印象は「エグい155」。こういうとKさんに怒られると思うけれど(笑)。ボディの半分くらいはFRP素材に置き換えられているという。また通常の155のアウターパネルとは造形があちこち異なっており、フロントもリアもググッと張り出しているように感じられるが、全幅は1,760mmと良心的なサイズ。絞るところは絞り、出すところは出すという視覚のマジック。イタリアンデザインの華と言ってしまいたい。もっともこのFRPパーツは仕上げも取り付けもイタリアンジョブらしい(笑)。先のリンク先サイトに日本発売前後の経緯が(作者の知る限りのところで)記述されているので、詳しい話はそちらをご参照いただきたい。Kさんの個体を子細に見る限り、なるほど「チリ合わせってなんですか?」という風情。正直言って、筆者はチリ合わせとかパーツの精度については極端に頓着しない。脱落さえしなきゃいいと思っている。ただしこのFRPパーツ、素材の特性上仕方ないことなのだが、ぶつければ一巻の終わり。へこまない。割れる。これらのパーツを作っている会社はもはや存在しない。自作?ワンオフ?可能なのだろうか。とにかくそういうクルマなので、試乗っつってもねぇ(笑)。筆者側から気軽に言い出した話ではあるが、緊張しちゃうわー。
 


左側・Cピラー付け根


右側・リアバンパー


しかしこの佇まい、存在感。ただ事ならぬ雰囲気なのだ。Kさん曰くこれだけの希少車なのに日常で「これ…ザガート155じゃないっすか!!」的な声をかけられることがほとんど無いという。日常どころかあちこちのイベントでも同様らしい。希少すぎて希少かどうか理解されないというパラドックスもあるかと思うが、あまりにただ事ならぬ雰囲気に声をかけづらいだけじゃないかという気も筆者はする(笑)。もともとカッコいい155が、さらにスペチアーレな見た目になってると思ってくれて間違いない。

乗り込んでみる。LHDモデル(しかない)。シート、ハンドル、ペダルの3点に特に齟齬はない。5速のシフトがぬるぬる…というかゲート感の希薄な動き。916系スパイダーもそうだったので特段驚かないが、試乗を終えた今ならクルマの印象にマッチしたシフトだと言える。ハンドルはMOMOのものに交換されていて、リム細目で径も小さめなのだろう、ハンドルを握るだけでレーシーな気分が盛り上がる。加えて前述のエグゾーストノイズである。聞けばマフラーはザガートがフジツボに作らせた直管ものだそうで、こいつが奏でる音は適度に粗い粒立ちで、かつ低音のドスが利いた万歳三唱するような音。ブリッピングなどしたわけではないが、アイドリングしているだけで気分が高揚してしまっても仕方ない仕様。実際のところ、古くさくてイヤになっちゃうだろうなぁと思っていた155のインパネやメータークラスターやコクピット環境については、実際に着座してみればまったくそんなことはなく、むしろ気分が高揚するような不思議なポジティブさに満ちていた。とにかくクルマは実物を見てみないとわからないものだ。

動き出してみる。身構えていたのにあっさりクラッチがミート。なんなく動き出せる。初めてのクルマの動きだしがスムースに行くと自信が付きますな。で、お手並み拝見とばかりにAペダルを踏んづける。勇ましいエグゾーストノイズとは裏腹に速度計の針の進み具合はゆったりめ(笑)。おー、なんかいいなぁ。ン?なんかガソリン臭い…。Kさんは笑っておられたが先のサイトを見ると構造的に燃料臭がしても仕方ないようだ。どんな仕様だよ!まぁ窓を開けて走っているのでだんだん気にならなくなったけれど。

試乗コースはワインディング。シフトチェンジ動作がうまくできるか少々不安だったが、幸い恥をかくような場面はなかった。旋回挙動も加速動作と同様で鷹揚な感じ。Kさん曰く147なんかの方が鼻の動きはクイックだという。あおさんの147試乗時のことを必死で思い出してみるが、確かに鼻の入り方は147の方が違和感なかったような…。違和感とはプントエヴォと比べてのことだが、全体的に加速・旋回はバランスが取れており適切な速度がわかってくれば、ワインディングでも怖くないはずだ。

どうして「はずだ」と書いたかというと、あまり上手に走らせられず怖い思いをしたからだ。その理由は前述のブレーキ。MiToやプントエヴォというサーボ効きまくりの車両経験しかない筆者が、155の鷹揚なブレーキタッチを習得するには今回のワインディングは短すぎた。ベストなタイミングと踏力が最後まで体得できず、途中何度かややオーバースピードでコーナーに進入することがあった。これは155というクルマが不出来だったり性能が低いわけではなく、加速・旋回・制動がきれいにバランスするポイントを筆者が見つけられなかったという話だ。もっとのんびり走るのがきっとこのクルマには似合う。なんとかのひとつ覚えみたいに、ワインディングだから踏まなきゃ損!みたいな運転をした筆者が未熟なのだ。ちなみに試乗を終え155を駐車させる時、危うくバリケードに突っ込んでFRPフロントカウルを割るところだった。微速域でもブレーキタッチはブレずに甘い。だからつまりそういうことだ。逆にKさんがプントエヴォを運転した時の減速は効きすぎていた(笑)。Kさんによるプントエヴォ試乗の様子はエントリーを分ける。

ご家族をこの155に乗せることはないというKさん。ファミリーカーとして3列シートの国産車を購入したこともSNSの投稿経由で知っている。だから155を動かすのは月に2-3回程度だという。そしてむしろこれくらいの頻度で良いのだともおっしゃる。自分の楽しみのためだけに乗る。そういうクルマとの付き合い方があってもいいなぁと素直に思った。実際プン太郎と筆者の関係もそれに近いが、どうしたって「家族も乗せられるユーティリティ」的な幻想を捨て切れないし、実際家族も乗せる。「もっと古いクルマにすればいいじゃない」とKさんはおっしゃる。古いクルマでのんびり走る方がもういいのだ、と。書き忘れていたが、Kさんと筆者は同学年(Kさんはひとつ年下の早生まれ)。身体の諸機能の衰えについてはふたりともリアリティを共有できる(笑)。確かにKさんのように小さなトラブルは全部自分で直してしまえるなら、75でもジュリアスーパーでも良いかもしれない。古いクルマにとことこ乗るという生活に憧れがないと言えばそれはウソになってしまうが、かと言って筆者の生き方を急にそういう風に切り替えることも難しい。

結局クルマ好きのクルマ選びとは、その人の人生や人生観が如実に現れる、言わば表現行為だということを改めて思った。ザガート155T/S TI-Zなんていう希少車を楽しみながら維持できる人生は、Kさんにこそふさわしいと思った次第。Kさんありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。どうか腰を大切に。

試乗記・ある意味欧州車!マツダ アテンザGG型
| 試乗レポート | 22:31 | comments(3) | trackbacks(0) |
満を持してプン太郎のオーディオを改造することにした。屋島西町大旅行2018を経て、予定から2,000kmも交換時期を逸していたオイル交換とともに。

改造に関してはまた別途エントリーする。このエントリーで書きたいのはプン太郎を預けている期間、イデアルさんがあてがってくれた代車の試乗記である。最近はシトロエン C3(先々代)で安定してたイデアルさんの代車だが、今回はニューフェイス、マツダ アテンザ(GG型=アテンザ初代)である。
 

マツダ アテンザLA-GG3S型(個体の車検証による)
総走行距離約9.3万km
初年度登録 平成15年(2003年)
形式 LA-GG3S
原動機の形式 L3 
排気量 2.26L(ガソリン)
車両総重量1,665kg(前軸重840kg 後軸重550kg 車両重量1,390kg)
全長 467cm
全幅 178cm
全高 144cm

※厳密に「◎◎型」と車種特定をしたいのでプラットフォームの形式から「GG型」と記述するが、本当に正しいのかよくわからない。正しい形式名(表記ルール)をご存知の方がいたら教えていただきたい。

マーケティングよりもエンジニアリングで勝負をかけてくる(と思われている)マツダのことを、「広島のアルファロメオ」と呼ぶらしい。奇しくも今回の代車GG型アテンザを「和製156」と評しているテキストを読んだこともある。GJ型アテンザ(2012年〜)の素晴らしさは、しげさんの個体を運転させていただいて一度しっかり味わっているが、その先代たる「和製156」は以前から気になっていたので、偶然とは言え実に嬉しい配車となった。結論を書くと00年代初頭に発表された国産車の中にこれほど欧州車のような味わいのクルマがあったとは!と驚くことになった。嬉しい驚きである。ただし両手を上げて万歳ではなく、仕上げの迷走とも言うべき瑕疵もはっきりあった。

●素晴らしい運転姿勢作り
まず運転席環境から。ハンドルとシートのセンターは一致しており、Bペダルはほとんど直下だが足掛け代は少し右にあり問題ない。Aペダルは足を自然に延ばした先に待機している。というわけでハンドルとペダルとシートの関係はほぼ満点(A/Bペダルがあと数センチ右にあれば満点)。ファブリックのシートはガチガチに身体をホールドするものではないが、セダンという形態を考えれば必要充分な性能。座面が短かったりヘッドレストが明後日の角度を向いたりもしていない。変にアンコが薄かったりもしない。テレスコピック調整機能を持たないことはマツダの伝統らしいが、やはりこのクルマにも搭載されておらず、ハンドルはチルト調整しかできない。とりあえず筆者のセオリーで座面を最低高に合わせてみた。ずいぶん低く潜る感じで、ドアのショルダーラインが文字通り筆者の肩の高さに来る。残念ながらこのセッティングではハンドルをうまくホールドできない。そこで座面を徐々に高くしていく。さてどこで合わせれば良いのか…と探りながらリフトしていくと、その基準がすぐわかった。メーターパネルの傾斜だ。メーターパネルと正対する角度を得られるまで座面を上げて行くと、ヘッドレスト、ハンドル、メーターパネル視認がきれいに揃うポイントがある。設計者はきちんと意図を持って設えたことがわかる(この体験のおかげで家人のシトロエン DS3を運転する時のポジションも改善することができた)。ポジションを合わせてから頭上のスペースも確認してみたが、スポーツカーライクな外見とは裏腹に室内の屋根の高さはしっかり確保されており、身長171cmの筆者でも頭上にはきちんとスペースがある。

正直驚いた。マツダの運転席環境が秀逸なのは前述のGJアテンザ、アバルト 124スパイダーの試乗で理解していたが、それはSKYACTIV世代だからだと思っていた。この頃のアテンザでもすでにうるわしい運転席環境が実現できていたとは。ボンゴフレンディーの罰ゲームのような運転席と助手席を知る身としては、昨今マツダが喧伝する「人馬一体」を素直に賞賛しかねる気持ち(えー?そんなこと言ってるけど、前は相当酷かったじゃん!的な)を持っていたのだが、2002年にこの運転環境を実現していたとは恐れ入った。明らかに同時期の欧州車RHDモデルの環境を凌駕している。

●運転席からの眺め
センターコンソールの設えはさすがに古く、プラスティック感満載のチープな作り。しかしクライメートコントロール、オーディオ、ハザードなど必要な物理スイッチが過不足なく整理されて並んでいる。質感はともかく操作に迷うことはない。液晶表示も20cm定規のような小さなものがあるだけだ。そこに表示される情報で、なんら運転に困ることはない。これに比べれば昨今蔓延するタッチパネル式のコントローラーなど、むしろ退化していると言いたくなる。
 



ナビは隠すこともできる。
この個体はcarrozzeriaのナビが
インストールされていた



●旋回マナーの不可思議
着座しての環境がここまで良いのに、動かしてみると残念な面がないわけではない。その前にパワーステアリング。このアシスト機構はおそらく油圧だろう。昨今のECU制御パワーステアリングに比べればその抵抗はどっしりと重く非常に好ましい。この動きと抵抗、油圧式というそれだけで加点要素になってしまう昨今のパワステチューニングはホントに酷い。GG型アテンザの場合、ハンドル操作時の抵抗そのものには文句はないが、残念ながら切った量と曲がる量が速度域で相当違う。これは前輪のキャスター角度などの足周りチューニング領域の問題だと思う。微速域ではセルフアライニングトルク(ハンドルが自然に直進に戻ろうとする力)が足りず、運転手がよっこいしょと戻してやらねばならない反面、巡航速度域ではクイックになりすぎ、例えば5-60km/hくらいでコーナリング、舵角で約90度以上あてると、オーバーステアの一歩手前くらいの振るまいをする。もっと上の速度域ではさらに小さい舵角でもその症状が出る。筆者の勘違いを疑って様々な速度域で試してみたが、速ければ速いほど舵角は小さくなり鼻先の挙動は神経質になる。コーナリングの途中で自車位置修正のために微調整する(そういうことがないようにがんばってますけど)ような場面では、わかっていてもおっかない。この豹変ぶりを意識して運転しないと簡単にオーバーステアを招いて危険だ。中立付近の遊びがやや気になるほどはっきりあるのは、高速域での過敏な反応と辻褄を合わせるためではないだろうか。直進時、低速域での挙動が大変好ましいものなのに、この豹変ぶりは残念だ。

●加速マナー作り込みの不手際
Dセグメントのセダンだから、基本的にはぶっ飛ばしてどうこう言うクルマではない。だがこのGG型アテンザ、加速の調律も極端なのだ。今回の代車はトルコンAT(恐らく4速)なのだが、停止状態、あるいは微速域からある程度以上の速さでAペダルを踏み込むと、まるで何かに弾かれたようにグワッと加速するのだ。シグナルグランプリ向けか?と苦笑いするレベルである。Aペダルを踏み込む量ではなく、速度を監視することでコントロールしているようだが、運転手としてはオーバーシュート(過剰な加速)する動作(ペダルを踏み込む速度)を探りながら加速管理することになってしまう。正直そんなところに神経を使いたくない。

●「スポーティーたれ」という呪縛
ステアリング時の挙動といい加速の過剰な演出といい、GG型アテンザは極端な二面性を持っている。微速域から40km/hくらいまでのどっしりとした落ち着いた挙動と、仮面を脱いだかのようなかっ飛び加速とその時のクイック過ぎるハンドリング。

この二面性をどう判断すればよいのか非常に悩む。当時のマツダとしては長年看板商品だったカペラからのフルモデルチェンジだったり、経営再建でフォードのヒモ付きだった環境からようやく脱出できたりで気合いも入っていただろう。「マツダ=スポーティー」というイメージも商品のキャラ立ちに利用できると踏んだはずだ。その結果「安楽に走る快適性と、いざと言う時は必要充分以上に加速できるスポーティネスを両立したセダン」というゴール設定だったと思われる。気持ちはわかる。だがその変化は連続性がない。「段」が付いている。これは興醒めだし危険だ。微速域の安寧と鞭を入れた時の瞬発力はシームレスに繋がっていて初めてニンマリできるのだ。惜しい。

そういう極端な二面性を理解した上で加速動作を作ってやりハンドル操作に集中すれば、なるほど「和製156」という評はうまいこと言うなぁと感じる。筆者の乏しいクルマ経験から印象の似たモデルを敢えて探すと、156よりはプジョー 406ではないかと思う。それも2.0自然吸気エンジンと悪名高いAL4との組み合わせの方。406は微速域はじれったく、ハンドリングも期待するほどシェアではなかった。GG型アテンザはその乗り心地や操縦性において、実に欧州車らしい味わいを持っており、部分的には欧州車の下位グレードを凌駕しているモデルと言える。

●その他
その他に気付いたことをランダムに書く。車体の見切れがやや曖昧だ。鼻先や左前輪が今どこにあるかを把握するには慣れが必要だ。同時に車幅1,780mm以上に左側2輪が外側にあるように感じる。つまり初めて乗ってすぐOKではない。プン太郎比車幅も軸距も長いボディに筆者が慣れていない可能性も高いが、乗り始めてから7日経っても自信が持てないということは、パッケージの煮詰めが足りない疑惑もある。

もうひとつ車内の制音について。おそらくエアロパーツなどが原因と思われる風切り音のボリュームが大きい。ドアミラー付近の風切り音なら音源の特定ができそうなものだが、腰より下から全体的に聞こえてくる。ロードノイズよりもそちらが目立つのだ。幸い癇に障る音域ではない。

●まとめ
改めて思い出せば、次世代機GJ型でもやはり二面性はあると思うが、その間はシームレスになるよう巧みに繋がれていた。もしかしたらマイナーチェンジ後GG型では解決しているのかもしれない。今から中古車で購入するならその辺をよくチェックして、マイナーチェンジ後のモデルをお勧めしたい。

よくよく考えてみると、ここまで書いてきたインプレッションは、プン太郎と比較してしまうからそう思うのかもしれない。プン太郎自慢になってしまうが、プン太郎の微速域と高負荷時のシームレスだが鮮やかな変貌っぷりには改めてホレボレだ。とは言えGG型アテンザ、束の間の代車としては申し分ない。4枚ドアのセダンという、最もオーソドクスな自動車を無邪気に楽しんでいる。

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■プン太郎■
筆者の愛車ABARTH PUNTO EVOのこと。
ブログ本文に「プントエヴォ」と
フルネームで書くと煩わしいので命名。

■R、K■
R=国道(Route **)
K=県道(Kendo **)
のこと

■S店長■
筆者のMiTo購入時の担当営業さん。
現在VOLVO仙台泉店の店長。
筆者のクルマ人生を変えた人。
一言で言えばカーガイ。

■K店長■
クライスラー・ジープ・ダッジ仙台の店長。
TCT版リリースを機に滑り込みで
MiTo1.4TSportを購入したカーガイ。
カーオーディオ地獄サバイバー。

■顧問■
筆者の友人太郎君のこと。
エンスージアストにしてドラマー。
いろんな意味で筆者の指南役にして
このブログの技術顧問(と勝手に思っている)

■朝練&夜活■
早朝に走りに行くのが朝練。
夜に走りに行くのが夜活(やかつ)。
夜の走行活動の略。
どちらもひとりであてもなく走る。
つまりひたすらクルマとの対話を楽しむ。

■EDO■
Eat and Drink Organizationの略。
親友2名と行うツーリング企画の名。
「移動に有料道路は使わない」
「同乗者無しでひとり1台」
「うまいものを食べ、飲む」が掟。
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