クルマで行きます

クルマが好きなことにかけては人後に落ちない。
東北のABARTH PUNTO EVO乗りが綴る、クルマについてのあれこれ。
沢村慎太郎著「午前零時の自動車評論」「自動車問答」を買った
| クルマの雑誌・本 | 11:24 | comments(2) |

クルマの本や雑誌を買うのは好きなのだが、しょっちゅう買うわけではない。今回ご紹介するのは沢村慎太郎という自動車ジャーナリストの著作2作品、「午前零時の自動車評論1」と「自動車問答」である。
 


そもそもこの2冊を買うことにしたのは、沢村慎太郎氏のメールマガジン(モータージャーナル社)を購読しているからだ。ここで見本版を読むことができる。この見本版である「感動のガヤルド」はこの第1巻の最初に収録されている一編だ。一読していただければわかるように、冷徹に機械構造的事実を積み重ねて検証し、その結果としての乗り味・乗り心地をなるべく主観(好き/嫌い)を薄めて記述するという文章になっている。そしてこういう構造、機械的あつらえをしたということは、このメーカーはこういうライドフィールを目論んでいる…(だけど達成できてないとか、見事にそのとおりになっているとかの評決に至る)と、あくまで「事実は事実」として観察している点が、修業中の身である筆者にはありがたいのである。

従って機械・構造をある程度以上に理解していないと、チンプンカンプンなところはある。筆者もそのクチである。ちょっと読みづらいところが無いわけではないが、それでも主観だけで良いとか悪いとか書かれるよりは断然良いと思う。また機械・構造を理解せずにドライビングテクニックが向上するとも思えない。となると、これらは車評であると同時に、ドライビングテクニック向上のヒント集とも言えるわけで、その意味でも拳々服膺の趣がある。

ちょっと待てよ、と。メールマガジンを購読していて、その内容が本になっただけなのにそれを買うのか?という疑問を持たれる方もおられるかもしれない。そうなのだ。しかし買うのだ。メールマガジンの最初の一編が配信されて魂消た。ものすごい長文なのである。試みにワープロアプリにコピペしてワードカウントしてみたら21,800文字だった。本編記事の後のQ&Aコーナーを除いて、である。10ポイントの日本語フォントでA4紙に印刷すると12ページと出た。これをスマホやPCの画面で読むのはなかなかに根性がいる。いつでもどこでも読めるという利点はあれど、ここまでの内容と文字量なら腰を据えて一気に読みたい。ということで、本で買う意味は筆者には充分にある。実はこのシリーズは現在10冊まで刊行されている。ゆっくり買いそろえていくつもりである。

もう一冊はその沢村氏のQ&Aである。筆者が愛読していたAUTOCAR JAPANという自動車雑誌があったのだが、そこで連載されていた「慎ちゃんのクルマ寄席」の書籍化である。これもなかなかに楽しい読み物だった。先の「午前零時の自動車評論」とは打って変わってべらんめえ調の文体で、主観と経験に基づいた切れ味明快な回答が並ぶ。その内容も数ページに渡るものから数行のものまで。読んでて楽しいのはこっちかもしれない。
 


その目次。ぜひ拡大して見ていただきたい


筆者の場合、クルマ関連の本や雑誌を買うのは前述のドライビングテクニックのヒントをもらうのと同時に、「自動車」という物体・工業製品を理解するための考えるヒントを買っているという意味合いが強い。従って「ちょっとわからないところがある」程度がちょうど良い。雑誌で言えばCGでは自動車を崇拝しすぎている。Tipoでは主観的すぎる。筆者はそう考えているのだが、沢村氏はたかがクルマ、されどクルマというスタンスで書かれているのがちょうど良い。
 


もっとも短かった回答。2行(笑)。
ポルシェ911(993RS)を買うべきかどうか?


ちなみに別媒体のある連載では、読者の「愛車への愛」を目一杯尊重した内容でもあるという。(前言を翻すようだが)クルマへの愛って理屈じゃないんだよなーとか、そもそもクルマに人生捧げてます的なユーザーの心情を初めから内包しているからこそ、沢村氏の文章は辛口になるのだと思っている。万人におすすめするものではないが、冒頭でご紹介しているガヤルド評にピンときたら、メールマガジンではなくまずはこの2冊を買ってみることをおすすめする。

雑誌「日本の輸入車大図鑑2016」購入
| クルマの雑誌・本 | 16:25 | comments(2) |
年末年始は気合いを入れてのんびりすることで有名な筆者だが、退屈な瞬間があることもまた事実である。ひとりで走りに行こうにも、この季節、悪天候であることも仕方ない。自宅でのんびりしてしまった時の万一の備えとして「日本の輸入車大図鑑2016(モーターファン別冊・648円税別)」を購入してしまった。


ブランドアイコン大集合という、大いに購買意欲をそそられる表紙なのだが、この中でふたつほどブランド名がわからないアイコンがあった。これから読んで解明するつもりである。それにしても、パガーニって日本で買えるのか…!
tranSpeed2015年8月号
| クルマの雑誌・本 | 18:00 | comments(4) |
tranSpeedという自動車雑誌を買った。すごく面白かった。いつもはイントロでくどくど書く筆者だが、今回はいきなり結論だ!


偶然コンビニで見かけて買ってみた(しかも出先の岩手県北上市内で買った)のだが、データに偏り過ぎず、情愛に偏り過ぎずちょうど良い誌面である。今号の特集はメルセデスのGクラスとランボルギーニV10モデル、すなわちウラカンとガヤルドの特集で、はっきり言って節操の無い特集だ(笑)。だが丁寧である。なんと言ってもGにしてもLにしてもモデルヒストリーをちゃんと年表で付けているし、最新モデルの機械的成り立ちもドライブインプレッションも過不足無く掲載されている。筆者などGクラスへの興味など爪の先ほども持っていなかったが、特集を読んだ後では30分くらい中古相場ネットを彷徨ってしまった。まぁ買わないけど。買えないけど。とりあえず公式サイトを見て欲しい(無料ウェブサイトサービスを使ってたりして、そこもまた危なっかしい(笑))。

筆者はAUTOCAR JAPANを甚だ愛好していたのだが、創業者が編集長になってから突然失速し、結局休刊となった。沢村慎太郎氏、森慶太氏に加えスティーブ・サトクリフやグレッグ・ケーブルの翻訳記事を読むのは最高に楽しみだったのに。web版が細々と続いているが紙で読む方が筆者は良い。

Facebookの公式ページに拠れば"2015年3月10日(火)誕生! アクセルを“踏む”オトコのスーパーなカーマガジン『tranSpeed』"だそうで、毎月10日発売。定価800円。毎号買うかも。
Tipo#291 2013年9月号
| クルマの雑誌・本 | 16:05 | comments(3) |
すでにあおさんがご自身のブログにエントリーしているが、株式会社ネコ・パブリッシング社の雑誌「Tipo」に同誌がFCJ(なんとフィアットクライスラージャパンだYO!)と実施した「フィアットパンダキャラバン2013」のレポートが載っている。


6月2日の「石巻ミッション」については大きくページが割かれており、そこにあおさんの2号さんことMiTo QVも堂々と掲載されているわけだが、P107に小さく紹介されている6月3日フィアット仙台泉の項に筆者も堂々と写っているのである!

誌面の写真はもちろんもっときっちりはっきり写っている

はいそれだけ〜。ちなみに筆者的にはTipoくらいの内容が一番しっくりくるかも〜。
雑誌定点書評:AUTOCAR JAPAN Vol.102
| クルマの雑誌・本 | 20:02 | comments(0) |

なぜこのタイミングで?という感じで編集体制が一新。旧編集部で残っているのは副編集長だけ。協力ライターもごっそり入れ替わった。今後3号かけて新しい企画や記事をアップしていくとのことなので、本号だけを以てイイ/ワルイは言わない方がいいのかもしれない。

ものすごく力が入っている「世界のマーケットは今」という特集が個人的には劇的に面白くなかったので、かなり読む部分が無いという印象ではある。ただ英国編集部からの記事は相変わらずで安心した。こっちは面白い。

もはや「感動」と言えるくらい感銘を受けたのはMAZDAのスカイアクティヴのけっこう大掛かりなレポート。正直MAZDAというメーカーに対してはどちらかと言うとマイナスなイメージ(作りが粗い、意味のわからないモデルが多い、値引き販売)を持っていたのだが、一方でRX-7やロードスターを作っている会社という男気ある会社という印象もあった。だが今回のレポートを読んでイメージ一新。HVやEVではなくガソリン(とディーゼル)エンジンを載せ、さらにクルマを構成する各要素を常識に囚われずゼロから考え直すことによって勝負するという意気や良し。これで欧州車的な挙動を持っているなら大歓迎ではないか。

旧体制から唯一残っている森慶太氏の「エンスー的名車館」も心なしトーンダウンしているように思える。単に物件が面白くなかったからだろうか(笑)。

確かに全く違う雑誌になってしまった感があるAUTOCAR JAPAN。でもここまで変わらなければ誌面刷新とは言えないだろう。好き嫌いは別として良いお手本を見ている気がする。
雑誌定点書評:AUTOCAR JAPAN Vol.101
| クルマの雑誌・本 | 00:24 | comments(0) |
AUTOCAR JAPAN Vol.97以来さぼっていた雑誌評。いや、定期購読してるのでVol.98〜100もちゃんと読んでいるのだが、個々の記事でおもしろいものはあったのだが全体として編集に迷いみたいなものが感じられて書きあぐねているうちに数日経ってしまう、の繰り返し。発売日から何日も経つと書評の意味も薄れるので見送っていた次第だが今号は面白い。


AUTOCAR JAPANを定期購読している理由はやはりこういう無茶な特集を組んでくれることだと思う。正直マクラーレンに乗ることなど一生どころか3回生まれ変わってもあり得ない気がするのだが、こういう世界があることを知るだけでも興奮するではないか。まだよく読んでいないけど(笑)。

速攻で読んでしまったのは自動車ジャーナリスト沢村慎太郎と森慶太が同じクルマを評論する「特集:Bセグメント選手権 国産代表3車VS世界王者 言い訳無用!国際ハンデ戦」という長いタイトルのセグメントテスト記事。VITZ、SWIFT、FITをVW POLOにぶつけるのだが、これに加えてMarchが無いと片手落ちじゃねえかとは思う。けどマクラーレンと正反対の、すぐ目の前に広がっている世界のことなので興味津々で読めた。前号まで連載的に掲載されていた同一車種のレンジテスト(by 沢村慎太郎)も大変興味深かったが、さすがにR8やガヤルドのベストバイを結論付けられても試乗すらできませんから!的な。でも新型SWIFTとMarchは本気で試乗したいと思っている。

ちなみにこの号を以て沢村慎太郎の連載モノは全て終了。次号から大幅に誌面が刷新されるらしい。スティーヴ・サトクリフの書いたものが読めなくなったら多分定期購読は止める。

それでもCGはあまり読む気がしないんだよなぁ。次号が楽しみでもあり不安でもあり。
雑誌定点書評:AUTOCAR JAPAN Vol.97
| クルマの雑誌・本 | 21:04 | comments(3) |
先月号は500円の送料を払ってほとんど1ヶ月遅れで読んだAUTOCAR JAPN。今月号(6月号 Vol.97)はめでたく発売日に入手することができた。

出版元のウェブサイトからもってきた
画像なのだが「5月号」になっちょる
ホントは6月号

今号は表紙がシトロエン DS3レーシングということで筆者よりも家人が盛り上がっている(笑)。だが筆者的に心穏やかに読める号ではあった(笑)。

今回フェラーリの新作であるFFのインプレッションと対比する意味でランボルギーニ アヴェンタドールの構造解説みたいな記事があったのだが、どういうわけかもう断然アヴェンタドールの方にゾッコンになってしまった。ランボルギーニってアクが強くて「カッコいいけどよくわかんねぇなぁ」と思っていたのだが。いや、もう、これサイコーですね。一生買えないと思うけど。

表紙を飾った「DS3レーシング VS. MINI JCW」の一騎打ちという記事が、結局一番楽しめたかもしれない。記事中の結論ではDS3レーシングの圧勝だったが、オーナー(の家族)としては非常に喜ばしい。まぁ、目指しているものが違うから最終的には好みの問題ってことになるのだが、実は一度も試乗すらしていない筆者としてはMINIの乗り味というのも試してみたい気はする。

森慶太氏の連載「乗らずに買えるかっ!」のお題は500のツインエア。旬な話題っていうんですか(笑)?ツインペダルM/T=デュアロジックの評価が時間の経過とともに高くなっていくのがおかしい。筆者も顧問のグランデプントでデュアロジックを体験した時は「なんでマニュアルを出してくれないの?なんかヘン!これ」と思ったものだ。動作の仕組みを頭で理解してからもう一度運転させてもらったところ評価は一変。ものすごく楽しかった。A/TでもないM/Tでもない、新しい運転の楽しみ方だと思った。自分でどうしても欲しいというわけではないが、入手したところで妥協でも我慢でも苦行でもない。

沢村慎太郎氏の今回の東日本大震災に関する記述には感銘を受けた。「慎ちゃんのクルマ寄席」、囲みの一言欄を先に読んでしまい、随分乱暴なことを書くなぁと思ったが、記事本文の記事を読んだ後では意味合いが変わる内容だった。電子楽器を弾き、化石燃料を必要とするクルマの運転を趣味とする自分としては、今回の福島原発の事故を単純に非難糾弾したり、あるいは誰かを擁護するようなことは軽率にはできない。今は自分の考えをまとめるヒントを探し回っている状態である。

巻末の連載、鹿倉純一氏による「I Here Music 効く音楽」も秘かに毎号楽しみにしているページだ。今回はスティーヴィー・ワンダーの「キーオブライフ」。実はこのアルバムについては、信頼できるミュージシャンの友人から音楽的な解説を聞いた事があるのだが、今回のこの記事で非ミュージシャンからの解説を読む事ができて良かった。
雑誌定点書評:AUTOCAR JAPAN Vol.96
| クルマの雑誌・本 | 21:25 | comments(6) |
定期購読雑誌AUTOCAR JAPANであるが、仙台は東日本大震災の影響で本の流通が長いあいだストップしたままだった。ここ最近はようやく復活しつつあるようだが、3月26日発売のVol.96は発売日には入手できず、また雑誌を読むという事自体がエラく贅沢な感じでしばらく忘れていたのだが、生活が落ち着いてくると逆に「日常」への渇望というのが出てきて、結局宅配便事情が復活してきた頃、出版社ネコパブリッシングのオンラインショップで購入。定価980円の雑誌の郵送料がなんと500円である。それでも読みたかった。


ところが実際届いてみるとメインの特集が「ドイツ製ハイブリッドの実力」という、筆者的にはビタ一文興味の無い内容で(笑)。「いつもより500円も多く払ってこんな特集かよ」と、正直なところがっかりした事は事実なのだが、それでもジュネーヴ・ショーの目立ったクルマの大きな写真は、ネットをさまよってMacBook Proの13インチの画面で見るよりも実に迫力があってほれぼれする。やはり紙媒体の魅力は今でもあると思う。そんなこんなで今号で面白かった記事は3つであった。

ひとつめ。ルノースポールの3モデルレンジテスト。すなわちトゥインゴ、ルーテシア、メガーヌのRSモデルでベストはどれかという記事。メガーヌRSに一目ぼれだった筆者としてはテストするまでもなくメガーヌだべ、と思っていたが、沢村慎太郎氏によるジャッジではルーテシアRSだった。要約抜粋すれば「トゥインゴRSは古典的な意味で最もホットハッチらしい乗り味」だが「小柄なのに粗っぽく、峠道ではリスキーなところが見られた」と。メガーヌはシャシーに関してはトゥインゴ、ルーテシアに大きく水をあける素晴しい仕上がりながら「エンジンの洗練不足が目立ってしまった」。130万円高価なVW シロッコRの実例を知ってしまうと「シャシー面ではメガーヌが圧倒する」出来だけに、(エンジンの洗練不足を)「無かった事にはできない」という。安くてシャシーは断然いいのにエンジンだけが洗練不足で惜しいというわけだ。で、ルーテシア。カップシャシーとスポールシャシーの2バージョンがあるが、カップは「Bセグメント内にいるクルマとしては、ほぼ限界に近いほどハードコアだが、その分旋回は痛快」ではあるものの、「その旋回能力を引き出すのは易しい仕事ではない」と。「それは向上心と研究心が旺盛なドライバーには楽しみのひとつになるだろう。だが一般的なドライバーには、そう容易ならぬ作業であり、またリスクもそれなりに発生する」。価格差も考慮すればルーテシアRSのスポーツシャシーという結論。筆者としてはメガーヌRSがツアラーとして乗るにはあまりにも旋回が鮮やかで、ツアラーとは割り切るには惜しいという意味の一文が印象的だった。やっぱり自分で乗るならメガーヌRSだなぁ。

多分日常でひとりで乗り回すにはトゥインゴが良いと思う

ルーテシア(=クリオ)RS
多分MiToよりも楽しいかもしれない
けどエクステリア、インテリアとも
MiToの方に筆者は萌える

だがメガーヌRSはヤバイ
文句無く欲しい
けどこの横幅じゃ家には置けない(笑)

ふたつめ。森慶太氏による1週間試乗記「乗らずに買えるかっ!」。今回はトヨタ FJクルーザー。基本的に好意的な内容だが、筆者が感心したのは乗り心地やメカニズムに関する部分ではなく、「ミラーだけ見て真っ直ぐ停められるかテスト」をやっていたところ。見た目は良いが実際に運転する場合の取り回しではそうではないという例は、むしろ昨今の複雑な曲線を持つクルマに多いと思っていたのだ。先代のプリウスなどミラーだけで真っ直ぐ停められたためしがない。筆者の腕の未熟さは置いても、室内からの見切りの良さという観点だけでは語れない、ミラーだけによる真っ直ぐ停めというのは、クルマの平常時の運転に関してかなり有効な判断ポイントではなかろうか。

実際は斜め後方視界は見た目ほど良くないらしい

みっつめ。沢村慎太郎氏による書評欄。ポルシェとVWの初期における試験車両や設計資料の話。現VWの総帥フェルディナンド・ピエヒ氏が革新的技術者だったというのを初めて知った。すみません。でもアルファロメオブランドを買い叩こうとしてるのはいかん。

Vol.97は明後日26日に発売なのだが、ちゃんと発売日に読めるのだろうか。こんな遅い雑誌レビューで申し訳ない。
雑誌定点書評:AUTOCAR JAPAN Vol.95
| クルマの雑誌・本 | 00:09 | comments(2) |
筆者が得る自動車情報、その60%を占めるという(笑)雑誌AUTOCAR JAPAN。今回俎上に上げるのはVol.95。2011年4月号である。特集は"German Cars or Not"「信頼のドイツ車か、それとも粋と個性と情熱か」ということで現在本命のドイツ製売れ筋車種とそのオルタナティブ比較。あとMINI Crossover読本。要は提灯、いや、集中特集。


現編集長になってからとにかく紙面作りが粗い。誤字脱字を根絶できないのは仕方ないとしても、特集記事の見出しが前号のままだったりってのは勘弁してほしい。お金出して買ってるのに。しかもそれ、MiToのレンジテスト記事ですよ。TCT2種とQV、3つのウチでどれがベストMiToか!?っちゅうテスト記事なのに、見出しはその前の号のゴルフレンジテスト記事の見出しだった。ベストゴルフはどれだ?って書いてあるMiToの記事ですぜ。しかもその次の号でお詫びは無かった。あとやっぱり前の号の記事のテキストデータを削除し忘れてそのまま載ってたとか。記事読んでたら「ン!?全然この文章つながらないぞ?しかもこの文章先月も読んだぞ!」という。そっちはお詫びが掲載されたけど。

まぁ苦言はともかく、読んでわくわくした記事。いきなりマクラーレン MP4-12Cとパガーニ ウアイラの試乗記事(ウアイラは試乗してないけど)。目の保養。クルマの室内ってまだまだ豪華にできるんだなぁ。

同じ試乗記だとプジョー 508がかなりツボ。プジョーはこれから508顔に変わって行くようだ(現に308はフェイスリフトして出し直し)。ネットに画像が出回り始めた時はトヨタ顔と随分ひどい言われようだったが、筆者はけっこう好きだ。むしろ207/308が動物顔として「やりすぎ」を感じていたので、ちょっと揺り戻しが入るくらいで丁度良いと思う。すっきりしていていいじゃん。

ロードテストはCITROEN DS3。概ね好評で良かった良かった。当家のDS3のオーナーである家人も食い入るように読んでいた。でも自動車雑誌で取り上げられるDS3って例外なくスポーツシックなんだよなぁ。シックの方に触れていても「ソフトな仕上げで4段ATがいまひとつだが…」的な書かれ方。こないだ書いたけど、シックに搭載されているAL4は確かに市街地では「う〜む」なチューニングだが、田舎の田んぼ道を気持ち良く走るような速度だとゴキゲンなんじゃ!きっとフランスの田舎で実験していたに違いない。断言。

いつも興味深いのは日本語の大きな記事を書いている沢村慎太郎と森慶太の正反対加減だ。沢村慎太郎は図らずも今号の書評記事中に書いている通り、情緒を排して徹底的に機械的な事実とそれに起因する現象だけに的を絞って書いている。件のレンジテスト記事(今号はアウディ TT)など白眉である。こういう機構を積んでいるのでこういう挙動になるはずなのにそうならない。なぜならここがこうだから…みたいに書く。「慎ちゃんのクルマ寄席」でのヘッドレストに関する記事は、自分のドライビングポジションの再考の参考になった。

対して森慶太はまず現象を擬音で表現している。「ビシッと決まる」と書いても情緒的なのではなく、やはり機械的事実を根拠としている。1週間試乗記事(今回はスズキ キザシ)など「ボディ、ごつ!ハンドル、ずし!ドラポジ!まとも!」とか書く。いつの間にか納得した気分になってしまう(笑)。新車の短い試乗記(要はレビュー)も同様。でもレクサス CT200hを「レクサス内では地雷度低め?」とか、新型ヴィッツの1.3L仕様の方を「ワースト地雷仕様に認定」とかちゃんと評価している。でもそのドイツ車と対抗車特集では本命車を該当無し、しかも対抗車をドイツ車から選んだりして、もう特集の前提がめちゃくちゃじゃん(笑)!まぁ自動車ジャーナリストとしての良心を感じる態度ではあるけれども。

ところで中古車の連載とか長期テスト車の記事とか、気付いたら掲載されてないシリーズがけっこうあるんですけど、どうにかしてくれ。あと相変わらずスティーブ・サトクリフの記事はおもしろい。
「乗れるクルマ 乗ってはいけないクルマ」森慶太著
| クルマの雑誌・本 | 17:20 | comments(4) |
森慶太氏の文章は、なんだかよくわからないが妙に説得力があるというヤツだと思う。基本的に「良いクルマ」の定義はブレていないが、それをロジカルに事実を積み重ねて実証したりしない。やたら擬音が多い。だが感覚的に得心するものがある。イタリア自動車雑貨店イタ雑の本棚というコーナーに氏の文章が多数掲載されているので、興味がある方はそちらを読むとよくわかっていただけると思う。というか筆者は何度も読んでいる。楽しいので。


Amazonにて中古で買った本書、第1部で良いクルマの定義を説き、第2〜3部でそれぞれ乗るべきクルマ、乗ってはいけないクルマを具体的に車名を挙げている。基本構成はシンプル。ディーラーの営業スタッフの口車に乗って、あるいはカタログに騙されて駄グルマを買わないようにと言う、どちらかというと特にこだわりも意志も無くクルマを買う人々向けの内容にしたかったのだと思われる。

残念ながらそれは達成できていない。クルマにかなり興味を持っている筆者ですら少々ピントが合わない部分がある。具体的には前述の通り「カタログの美麗な写真やスペックに騙されないように」と言いつつ「良いクルマはカタログを見ればわかる」と説いたり、「このクルマは内装(質ではなく設計)が良くないから買うな」と言いつつ「運転姿勢も良いしシートの質感も良いが、エンジンがダメだから買うな」と言った、表面だけ読むと矛盾しているような部分が時々あるのだ。また第1部の最後にある「どんなボロでもこれさえあればいいクルマである!」という章も、「作り手の愛が込められているかどうか」という結論はその通りだと思うけど、シロートにしてみたら「どうやったら愛がこもっているかこもっていないかがわかるの?」と読了前に戻ってしまう。

実は第1部のその結論に至るまでの文章に、どうやったらそれがわかるかは書いてある。森の中を歩きながらパンくずを道しるべに落としておくように、あちこちにそのヒントや極意はちりばめられている。が、ある程度クルマと真剣に付き合っている人じゃないとわからない書き方なのだ。極端な話、「トヨタ車なら壊れないだろうから、トヨタのバッジが付いてるヤツならなんでも良い」と言って今のクルマを買った筆者の老母にこの本を読ませても、次に買う時はちゃんと選ぼう!と思わせることはできないだろう。そこが惜しい。

同様に筆者が読んでクルマの評価軸や価値観が変わったかというと、これまたそうではない。大いに参考にはなったが…。冒頭に書いたように森氏の中での「良いクルマの定義」はブレていない。だが切り口が固定されておらず、クルマに興味の無い人ほど混乱するのではないかと思われる。惜しい。

ちなみに本書を読んで、では森氏がMiToを評価したらどうなるのか、ということを想像してみた。恐らくあまり良い書き方はしないと思われる。自動車評論家が指摘しそうな瑕疵はオーナーたる自分にもよくわかっている。だが筆者にとってはMiToは掛け替えのないパートナーである。

つまりそれだけ現代のクルマというプロダクトを評価する行為そのものが難しいのだと思う。MiToはたまたま筆者にとって良いクルマだったということでしかない。またどこか一点でもジャストフィットする部分があれば、それ以外の細かい不具合には目をつぶれるという場合も多々ある。エンジン周りに定期的に不具合が発生してもこのルックスだけで丼飯3杯は食える!ということだってあるのではないか(勝手ながらプジョー406を大事に乗っている人などそういう感じがする。特に後期型は本当に美しいクルマだと思う)。

人はそれをエンスージアストと言うかもしれないが、エンスーはまだ良い。駄グルマを愛するのは本人の責任だし、駄グルマを買わないように自己防衛することもできる。問題は国内国外を問わず(エンスー気質ではない)単なるユーザーをなめたデキのクルマを売り続けるメーカーが多数あるということだ。「顧客のニーズに細かく対応する」ためにセルシオもラクティスも売るメーカーとか。基本的に本書の中で書かれている「そもそもクルマは安くなりすぎた」「本当に買いたいのはメーカー渾身の一作」という意見にはもろ手を挙げて賛成するものなり。

本書は絶版らしい。また2000年1月20日第一刷という事情もあり、乗って良いクルマ、乗ってはいけないクルマとして取り上げられている車種自体がすでに古い。中古では流通しているので、そこだけはご注意されたし。
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■プン太郎■
筆者の愛車ABARTH PUNTO EVOのこと。
ブログ本文に「プントエヴォ」と
フルネームで書くと煩わしいので命名。

■R、K■
R=国道(Route **)
K=県道(Kendo **)
のこと

■S店長■
筆者のMiTo購入時の担当営業さん。
現在VOLVO仙台泉店の店長。
筆者のクルマ人生を変えた人。
一言で言えばカーガイ。

■K店長■
クライスラー・ジープ・ダッジ仙台の店長。
TCT版リリースを機に滑り込みで
MiTo1.4TSportを購入したカーガイ。
カーオーディオ地獄サバイバー。

■顧問■
筆者の友人太郎君のこと。
エンスージアストにしてドラマー。
いろんな意味で筆者の指南役にして
このブログの技術顧問(と勝手に思っている)

■朝練&夜活■
早朝に走りに行くのが朝練。
夜に走りに行くのが夜活(やかつ)。
夜の走行活動の略。
どちらもひとりであてもなく走る。
つまりひたすらクルマとの対話を楽しむ。

■EDO■
Eat and Drink Organizationの略。
親友2名と行うツーリング企画の名。
「移動に有料道路は使わない」
「同乗者無しでひとり1台」
「うまいものを食べ、飲む」が掟。
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